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フォローアップ研修会 実践発表 学習・発達支援員

こんにちは。NPO法人日本インクルーシブ教育研究所の中谷美佐子です。毎年開催している学習・発達支援員養成講座を修了した人を対象としたフォローアップ研修会についてのまとめです。私たちは発達障害の子どもを教室の末端で、さりげなくナチュラルにサポートしながら、周りの子ども達をつないでいく専門性のある支援員を養成して、あっという間に10年が経っていました。

先日はそのフォローアップ研修会で現場で活躍するお二人が発表をしてくれました。子ども達を大切にしたとっても心あたたまるお話でした。

発表してくださった名嘉真 文乃さん
発表してくださった小野 知之さん

さて、フォローアップ研修会が毎年必要な理由は、学校現場で学習・発達支援員が専門性をもってさりげなくサポートしようとすると何もしていないように見えるため、周りから注意を受けます。そうすると、どうしてもやってる感を出したくなるのが支援員の悩ましいところです。

支援員がやってる感を出すとどうなるかと言うと、サポートを受けている子どもが傷つくのです。「あ~やっぱり、私はサポートしてもらわないといけないダメな人間なんだ」と。そして周りの子ども達は「あの子、支援員が必要なダメな子なんだ」といった見方をするようになるのです。日本ならでは…の話です。

だから、支援員は子ども達の間で差別や偏見が出ないように、さりげなく専門性を持って子ども達を支援しないといけないのです。そのため私たちは毎年フォローアップ研修会を開いています。

子どもの傍にいる大人の動きや言葉から子ども達は多くのことを学んでいきます。子どものことを何も知らないまま関わっていくのはとても危険な行為とも言えます。だから勉強することの大切さを私たちはお伝えしています。

名嘉真さん発表中の様子

それでは、参加者の感想を紹介します。

  • ソーシャルストーリーについて教えていただけたので、その視点でクラスの子どもたちと接してみようと思いました。学習・発達支援員養成講座を希望している知人がいたので、第8回が開講されると聞き、うれしいです。知人に伝えようと思います。【教員】

  • 実際に取り組んでこられた体験談を聴くことが出来て共感する部分があったり、発見した部分があったりして聴き入ってしまいました。私は支援員なので特別支援学級の担任の先生の話が聴けて嬉しかったです。あらゆる立場の方々と出会う事で、たくさんの意見を聴いたり、自分の考えを知ってもらう事が出来て私の視界が広がったと思います。講座に参加された方々が本当に真剣に日頃から取り組んでいらっしゃる様子を知り、いい刺激になりました。幸せな時間が過ごせました。今後もたくさんの方に研修会に参加していただき、相手も自分も互いに尊重して過ごせるようになるといいなぁと思いました。【特別支援教育アシスタント】

  • 実際に実践されている方の話を、詳しく聞くことができました。また、ソーシャルライティング講座の様子や、それを実際に学校で実践されている先生のお話を聞くことができ、ソーシャルライティングがどのようなものなのか、少しでも触れることができました。今年も研修会をありがとうございました。資格を取って終わりではなく、それを実践し、実践されている方の話を伺い、気持ちを新たにしました。対話も、いろんな職種の方が集まり、長い時間お話できたので、とても充実した時間でした。実践発表の時は、毎回自分の職場と照らし合わせながら聞きますが、同じようなことがあった時、自分の職場ではどのようにできるだろう、動けるだろうと悩みます。同じようなことはできないとしても、何かひとつでもアクションできないか、今までと違うことができないかと考え、日々の自分を振り返るきっかけになります。ソーシャルライティング講座について聞けたことも、とてもよかったです。今日は少しだけでしたが、自分が指導文、命令文になっていたことに気づけました。また、本人目線で書く、本人が納得していないといけないというのも、ソーシャルライティングでなくても大切なことだと思いました。学校は限られた時間の中で、決まった課題をこなすことが重要視されるので、そのような状況でも自分が支援員としてどのように動けるのか、どのような言葉を発するのかがとても大事だと、改めて思いました。今回は対話の時間がとても印象に残りました。私よりも少しだけ人生の先輩方のお話を聞くことができ、みんなでみんなの意見にうなづき合い、自分とは違う視点のお話もあり、充実感を感じることができました。ありがとうございました。【ふれあい推進員・保護者・広島市学習サポーター】

  • 今回の体験談は、それぞれの立場での支援のあり方を知る良い機会になりました。成長するタイミングを掴むことの大事さや納得するまで話し合うことの必要性、褒めるソーシャルストリーを考えることで振り返りができるのだと知りました。学んだことを共有する仲間がいることの大切さも感じました。また、支援に行き詰まった時に話せる場所があることの必要性も感じました。これからも、学んでいきたいと思いました。【保育士・保護者】 

  • 自閉症の方へのソーシャルストーリーの有効性について、実際の現場での事例をお聞きすることが出来、ソーシャルストーリーについて勉強してみたいと感じました。先週の研修と併せ、自分の眼鏡、自分にとっての普通に相手を近づけようとするのでなく、自分から相手に近づこうとする視点を持つことが大切であると学びました。【言語聴覚士】

  • 自分も学べる場になりました。ソーシャルライティング講座の案内、多様な発想火士講座の案内、今迄なんとなく見ていましたが、参加を考えたいと思いました。【士業】

  • フォローアップで振り返ったり、新しい情報を得ることも大切だと思っています。現場で頑張っておられる方の実践は参考になります。【保護者】

  • ソーシャルストーリ講座の仲間である二人の発表を聞いて、改めて、気づきがありました。それは、本人が納得した(する)文で伝えること、そしてソーシャルストーリをかくことで、その子の行動や自分の行動の振り返りができ、その思考してるときはよい時間となることです。自分もいろんな角度から自分の生徒を見れるようになってその子の意図を感じ取れるようになりたいと思いました。【塾講師】

  • ソーシャルライティングと発想支援士講座の内容を知れたのでよかったです。【保護者】

  • 名嘉真さんの発表で、特に印象に残ったのは「困らせようとしている子は一人もいない。みんな成長したい、生きたいと思っている」という言葉です。経験者にしか言えない重い言葉だと思います。講座で学習されたことをすぐに息子さんに対して、また仕事で実践に移され、それぞれの状況が良くなっている事が素晴らしいです。グループトークは名嘉真さんと運良く同じグループで、受講後は息子さんがお母さんは自分の味方になってくれると実感できた事が彼の飛躍につながっていること、学童では2時間も同僚の支援員さん達と事前打ち合わせをして、情報共有をされておられる事をお話いただき、とても有意義なトークでした。小野先生の発表で、私の妹も特別支援級の担当をすることが多く、苦労話が重なりとても共感しました。理解のない周りの同僚達からのダメージを受けることが多く、メンタルをやられています。すべての教員?教育従事者に講座を受けてほしいという意見がありましたが同感です。最後の理想の社会について考えて発表しましたが、理想のゴールを認識する事で、私自身の明日からの行動の変化につながないければ・・・と思いつつ、いつもの日常生活に没入していく私です。【塾講師】

小野さん発表中の様子
  • 実践発表をしてくださった方々、ブレイクアウトでお話させていただいた方々が、中谷先生の講座で学んだ色々なことを周りの方、子どもたちに活用して、それが上手くできて相手が嬉しいだけでなく自分が嬉しいと感じていることがとても良いなと思いました。この度のソーシャルライティング講座の実践発表のなかでは、特にソーシャルストーリーを書くなかで「事実」の部分だけで終わるのではなく、お二方とも必ず「見解」の部分を入れていて、ちゃんと感情を持った人対人で子どもたちに対応されているところが素敵でした。【保護者】

  • 発表者の方の、何を学ばれ、学んだことをどのように活かされたのか、というお話はとても貴重で、刺激を頂きました。ブレイクアウトルームでの対話は、自分自身のインプット&アウトプットだけでなく、多様な視点に触れることが出来るとてもいい時間でした。いつもありがとうございます。【塾講師・ 保護者 】

  • 自分の子育て時代にまさに直面した状況が蘇り、実践されていたソーシャルストーリーのような関わりが出来ていれば、子どもがパニックにならなくて済んだだろうと思いました。子どもは、納得出来ないままだとずっと引きずるので、納得出来るまで話し合う…という言葉が、改めて心に響きました。現場の先生のご配慮やご苦労がとても具体的で良くわかり、ありがたい思いと、まだまだ一部の理解ある先生にとっては、厳しい環境である事も実感しました。人と繋がることの喜びを、たくさん感じられました。【保護者・ 少年補導協助員・子育て支援サポーター(ボランティア)】

  • 今まではソーシャルライティグが漠然としてしかイメージできていませんでしたが、事実と見解とをはっきり分けて書くことによって、相手に伝わることがことが理解できました。グループでの交流をすることによって、他の人の意見やお仕事を知ることができるので良いです。【教員】

  • 講座内の対話を通して、人と自分を大事にするということ、その根底にはインクルーシブな考え方があるということに気づかされ、再度自身の頭の中に入れ込み、感じています。違いを認め合える社会をつくっていく一歩はまずは自分の中にあると考え、明日からの日常を過ごしていこうと思います。【保育士】

  • ソーシャルストーリーの必要性と実践的な対応がわかって良かったです。発達障害の子どもたちに関わる先生が、ソーシャルストーリーのような学習をしていてくれたら、子どもたちが先生から傷つけられることが無いのに・・・と思います。【広島市議会議員】

  • ソーシャルストーリー、発想支援士の内容が少しわかりました。相手に伝えるとき、耳からの情報だけではなく視覚化が必要なこともわかりました。また、伝え方で「事実」と「見解文」の区別がしてあることがわかりました。【学校運営協議会委員、社会教育士】

  • 現場の実践された報告を聞くことができ、良かったです。【放課後児童支援員】

  • 今回は、お二人からソーシャルストーリーによる成功例を伺いました。予めソーシャルストーリーによるイメージトレーニングをして、起こるべく事柄を想定しておいて、不安感を減少させている事や、視覚から取り入れていることなど 前向きな活動だと思いました。名嘉真さんの伝えるべきタイミングではなかった、と言われた例を教えて頂きたかったです。小野さんは、書写の時間ではないタイミングだったので、皆がすぐにやりたいと言う、間が悪かったと言われてました。それぞれとても参考になりました。ありがとうございました。【特別支援教育アシスタント・ふれあい推進員】

  • コースを終了した後でもこうしてインクルーシブな社会を願う仲間の活動を知れたり話し合う機会があるのはありがたく、毎回元気が出ます。交流する場がもっと増えると嬉しいです。【児童デイサービス】

  • より身近にいらっしゃる方々のお話で参考になりました。今日は勉強する機会をありがとうございました。【施設職員】

  • 名嘉真さんの発表から、講座に参加して学んだことの振り返りができたことと、参加者同士のいろいろな経験から、意見交換をすることで、自分の経験と同じことをあらためて考えたり、違っていることからは新しい視点をもつことができました。【教員】

  • ソーシャルストーリーをどのよう活用するかわかりました。研究会で学んだことをどのように実践されているか聞いて、大変参考になりました。【放課後児童支援員】

  • この度の発表でよく出てきたソーシャルストーリーというものは、よくはわからないのですが、とても有効なものであるということがわかりました。これを機にもう少し学んでみたいと思いました。発表をしてくださったおふたりには、心より感謝しております。ご自身のご経験をこうした場で発表されるのは、本当に大変なことだと思いますが、試行錯誤を繰り返されながら、熱心に辛抱強く子どもに関わっておられるご様子に、私も大きな勇気をいただきました。「子どもは納得したい、やりとげたいと思っている」というような言葉が、心に響きました。この度の学びをこれからの子どもとの関わりに生かしていきたいと思います。ありがとうございました。年に一回のこの学びで、忘れかけていた知識や気持ちが思い出され、とてもありがたいです。ありがとうございます。【保護者】

ブレイクアウト後メイン画面に戻ってきた時の様子

ソーシャルライティング講座では「コミュニケーションがうまく取れない」「人との関わりが苦手」「こだわりがある」「パニックになりやすい」など特性のある自閉スペクトラム症の子どもたちにスムーズに伝えることができるように、原田さんと私(中谷)が特性理解やサポート方法、伝え方のポイントを解説しながら、グループワークを通して学んでいきます。オンラインライブで学ぶ自閉スペクトラム症の子ども達への伝え方を学ぶ ソーシャルライティング講座は2024年6月18日から始まります。定員10名のためお早めにお申込みいただいた方が良さそうです。ソーシャルライティング講座2024

インクルージョンやダイバーシティを学ぶ『多様な発想支援士養成講座』は、一緒に生きることについて考えながら、人々がゆるやかに繋がっていき、社会全体で子ども達を支えていけるよう、インクルーシブ教育について学びます。すべての子どもと大人が幸せに暮らしていけるヒントをつめこんだ動画視聴講座です。毎月25日までにお申し込みいただき、翌月1日から3ヶ月間ご視聴いただけます。詳細はホームぺージからご覧ください。多様な発想支援士養成講座

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