ドバイ あこがれた絢爛豪華なドバイで仕事をする幸せ。海外のトップのやり取りは規格外。

1)人生初めてのドバイ

ドバイ空港を出ると、BMWのリムジンが待機していた。

早朝6時のため高速道路に車は少ない。

近代的なビルが立ち並ぶ。どれも高層ビルだ。新宿や丸の内にある日本の建物とは形が違うので、異空間に来たような感覚だ。

ここは、もともと砂漠だった地帯である。その砂漠地帯に、人工都市を作り上げた。水もないし、樹もない。その地域に幸いにも石油が登場した。

ここで運命が一気に変わり、大金持ちの国になり、その金は無尽蔵で東京顔負けの大都市を作り上げてしまった。

石油は、近代社会にとって不可欠なものであり、世界社会にとって強烈な影響力があるのは言うまでもない。地中から勝手に出てくる石油だけで、ここまで一気に繁栄してしまうのは、資源の無い日本のような国がヒーヒー言いながら新しい飯の種を探しているのと感覚がまるで違うのだろう。うらやまし限りだ。

一方、車から見える人工的に植えられた木々や街並みを見るとげんなりする。中東、欧米人には良いのかもしれないが、日本人にはケバケバしく、素晴らしいと思えない。

しばらく走ると有名なバージュアルアラブがみえてくる。バージュアルアラブの周辺にある要塞のようなホテルが隣接している地域がある。その地域はJumerah Beach Resort という。その一角にある5つ星の最高級ホテルAL QASLが、われわれの宿泊場所である。

ホテルは非常に大きい。一体いくつの部屋あるのだろう。その建物はレンガ調のエンジ色をベースにつくられており、シャンデリアや高そうな絵がいくつも飾られている。欧州風の建物でもなく、アジア系でもない。なんとも不思議な出で立ちである。

そこに、アラブ人がうろうろしている。真っ白い服と帽子をかぶっている。アラブ語を聞き取ることもできなければ、読むことも出来ない。まるで異空間にポツンとおかれたような感覚になってしまう。

いままで、20ヵ国を旅行をしてきたので、外国には免疫があると自負していたものの、このアラブの世界には「ウ!」とのけぞってしまうような感覚を覚える。

世界は自分の想像の範囲をこえる深みを持っていることを改めて実感する。好奇心が刺激される。

ここへ来た理由は、中東ビジネスフォーラムに参加するためだ。そのフォーラムのセッションに社長が出席するのは14:45であり、いまは8時なので、ホテルのチェックインがおわると社長と解散した。

2)フォーラム会場を探索

アラビアンナイトを想起させる部屋だ。ロマンチックなシャワールームで体を洗い、Jumerah Beach Resortを探検するためにさっそく外へ出た。

このリゾート内での移動はバギーかバスである。簡単な移動であれば、あちらこちらに走っているバギーを捕まえて乗る方が便利だ。

まず、ホテルロビーの前に待っていたバギーに乗り込んだ。

タイのトゥクトゥクのようなバギーは、小回りが効くために裏道をグリグリ進んでいく。5分ほどでフォーラムの本会場に着いた。

関係者はここで一旦登録をしなければならないので、受付場所に行き、記名する。会場にはわさわさと所狭しと白装束がいる。アウェー感が強い。

その後、時間もあったためドバイの海岸沿いを散歩した。

海は透明度の高いブルーで、整った海岸線がどこまでも続いている。中東の気温の特徴なのか、ムワッとした熱気が体にベトベト引っ付いてくるので、少し歩くと汗だくになってしまう。

ドバイを初めて知ったとき「行きたい!」と強烈に印象に残った。それから10年経って、出張でドバイに来ている。なんとも言えない不思議さがある。ときに「人生において強く望んだことは、知らない間に叶うようになっている」なんて聞く。

誰もが、それを実感しているかは分からないが、ぼくにはいくつも思い当ることがある。そのため、人生には目に見えない、そんな仕組みがあると考えている。

米国でベストセラーになった「The secret」という本がある。「強く望んだ事はなぜか叶うような仕組が人生にはある」という内容だったが、かつてこのDVD版にはまって何度も観返した。それもあって、この見えない仕組みがあると信じる事にしている。

いずれにせよ、ドバイに来る願いが叶って嬉しいものだ。

3)VIPセッションに参加 

14時に社長とロビーで再会し、セッション会場へ向かった。

社長出席するセッションは招待客オンリーで、世界中のVIP40人が集まる特別な会議だ。日本でも聞いたことのある企業の社長ばかりなので、ドキドキしながら会場内に入ってみると、半分が白装束、半分が欧米人というメンバー構成になっている。

アジア人は誰おらず、場違いな感じがする。社長も「ちょっと場違いだなぁ~」と思ったのか、やや動きが鈍く、遠くから見ていて心配だ。ぼくはアシスタント席に何気なく座ってセッション内容を聞こうとしたが、関係者から「これは参加者限定だからでて行ってくれ」と追い出された。

そのため、セッションが終わる時間に会議前で待機した。

セッションが終わると、「おい、すげーな、こいつら」と社長が出てきた。

「まずよ~アラブの人が上手な英語を話す事にびっくりした。みな英国イングリッシュだ。大変きれいな発音だ。」と言い放ち、

さらに「彼らのビジネスに関するスタンスが、石油に大きく頼っていることを再認識した。石油を持っているからイノベーションなどはいらないというスタンスでいるようだ。シェールガスなどが脅威になる可能性も完全否定していた。また今後、新しいビジネスを拡大しようとするならば、石油で稼いだ金を使って、技術を持っている会社とパートナーシップを組めばいい。それだけを考えている。

「あいつらは、本当に石油頼みで金を稼いでいる。あそこまでスタンスがしっかりしているのは逆にすごい。アメリカのコンサルタントの意見なんて、完全否定していたぜ。だからお前たちはわかっていない、と言わんばかりだった。中国、インドに日本は注目しているが、アラブの実力はそれ以上だ。こりゃ勉強になった。」と全体的な感想を述べた。

確かにそうかもしれない。これだけ世の中に使われている石油の大元だ。かなり強気な態度で、金稼ぎ、ビジネス展開できるだろう。白装束軍団は、今後も影響力が強い立場を維持し続けるのだろう。

4)明日のプレゼン会場を下見

次は、社長を連れて、さきほどチェックした本会場へ移動する。プレゼンをするのでその下見だ。社長とバギーに乗って、会場に移動する。

プレゼンテーションする大ホールは、スターがコンサートをする会場ほどの大きさだ。スタッフに話を聞いてみると明日は1800人が参加する予定のようだ。

「1800人を前にプレゼンするのかよ!」と改めてビビっていると、社長は気にする様子もなく、マイク、PC動作の確認をしていた。内心ビビっているのではないかと気になったが、プレゼンするのは社長なので、こればかりは任せるしかない。

5)プチミーティング

インドラベンチャー社Lohia社長とミーティングをするためにホテルのロビーに戻った。ロビーで海をみつつ、アルコールを飲みながら、打ち合わせだ。

彼の経営するインドラベンチャーという会社は7千億円のタイの大企業である。社長と三菱住友銀行主催の会合で面識を持ったようだ。

今回中東ビジネスフォーラムに来ているのを機械をねらって会談依頼があった。

彼は、化学繊維を製造している会社経営だ。「グローバルで見ても、コスト競争力を持っており、今後も拡販をしていく予定である。アライアンスを組んで、商売できないか。御社の技術をうちにも活用させてもらいたい」と熱弁している。

社長ものりきで、ミーティングは盛り上がった。大きな会社が動くというのは、このようなちょっとした酒の席からなのだろう。「いい話が出来た」とお互いご満悦だった。

インド出身でタイ在住のLohia氏の話は論旨が明確。うちの社長の対応もまた明確で、トップ同士の会談は非常にレベルの高いものである。海外トップとのやり取りは、このレベル感で行うのかと、遠くのものを見るような感じがした

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