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プロモデラーの師匠と情けない俺の話 最終話~あとがきのようなもの~

最後に何を書こうか考えながら机の引き出しの中を見たら画像のプラモデルが目についた。発売前に仕事で師匠が作っているのをみたプラモデルで凄く懐かしい気持ちになった。発売されてから真似して作ろうと思ったが途中で辞めてしまっていたのだ。今でも家の中には師匠の事を思い出す物がたくさんある。
師匠と出会ってからの事を改めてじっくり思い出す時間を週に一度作り、文章にしてきて今はとてもスッキリしている。今まで頭の中だけでグルグルしていたアクのような何かモヤモヤするものを吐き出せたようなそんな気分になれた。

ガンダムという作品、プラモデル、師匠、この出会いは俺の人生にとても大きな影響を与えてくれた。多分出会った当時はそんなことは考えもしないし思いもしなかった事だけど好きなものをずっと好きでいたから今のような心境になっているんだと思う。奇跡的な出会いから大切な思いみたいなものや、大切なものをいつの間にか粗末に扱い後で後悔する歯がゆさみたいなものまで経験として計り知れないものを貰っていたと改めて感じた。

この文章を書き始めた最初の頃は正直色々な動機があり何が一番の目的だったかわからなかった。今のガンプラブームの中で師匠の事を少しでもガンプラファンに知って貰いたいという思い、自分の経験を知って貰うことで何か感じてもらえるんじゃないかという思い、色々考えながら書いてきたのだけれど書き終えたことでようやく一番書きたかった目的が何だったのか自分自身明確にわかった。

ちゃんと師匠にさよならをしたかったのだ。

お通夜も告別式も当然参列できていないしお墓参りにも行けていない。自宅の場所は知っているけれど、コロナ禍の中突然お邪魔してお線香をあげさせてくれっていうのは自分勝手な行動でご家族に御迷惑な気がして何度も行こうと思ったが実際には行っていない。何も悪い事をしたわけじゃないのに心の中で何度も手を合わせて思い出してもありがとうよりごめんなさいばかり溢れてきて苦しかった。一つ一つあの頃の事と思い出し文章に起こすことで今までの様々なことや想いを師匠に報告出来たような気がした。結局のところ自分の気持ちを整理したかったんだと思う。

来年のお盆にはコロナ禍も治まってほしい。
そうしたらお仏前の香典を持って師匠の自宅にちゃんとしたかたちでお伺いして、十数年ぶりに師匠に直接色々伝えたい。

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