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ガラガラ
「洗濯物を干しましたか?」
「干しっぱなしにせずに取り込みましたか?」
ガラガラ…ガラガラ…
その音を聞いてはいけない。その音はあなたの遠い後ろから聞こえてくる。
振り返らずに聞こえたら洗濯物を差し出すのだ。何でもいい。ハンカチでも靴下でも、目を閉じたまま持てばガラガラは満足気に去っていく。
「オイシイ…オイシイ…」
ただしパンツは駄目だ。なぜ駄目なのかを知ってるのかって?それは…
貴方がパンツになってしまうからだ。私は今もガラガラに干され続けている。
目を開けたもの、音につられて近寄ってくるもの達の姿を見た。
ガラガラは馬乗りになりその者達を殴り続けた。
「ヨコセ!ヨコセ!」
気を失ったもの達から身ぐるみを剥いでガラガラは衣類を食べる。だがパンツは食べない。ガラガラにとってパンツは人格のあるものなのかもしれない。
私は今人格のあるパンツになっている。自分の差し出したパンツに人格が入ってしまった。どうやって元に戻れば良いのか分からない。噂を流すならもっとハッキリ流して欲しかった。パンツを差し出したが故にこうなってしまった。
そしてどうせならもっとシンプルなパンツが良かった。よりにもよってウケ狙いで貰ったゾウさんパンツだなんて
誰か私をここから出して欲しい。もしくは消し去って欲しい。
今日も他のパンツ達と一緒に干されている。
ガラガラはそこに居る。
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