終着駅
新幹線に乗る度に顔も名前も知らない中学生の女の子を思い出す。
当時の私にはとてもセンセーショナルなニュースだったけど、どこか他人事だった。同じ部活の子とお菓子を食べながら「弁償するお金幾らするんだろう、自己破産するのかな」「他に方法は無かったのかな」と死を悼むというよりも容赦の無い現実の話をらしていた。
その女の子はイジメを苦に新幹線の線路に飛び込んだのだ。
高いフェンスを登って横たわったのだろうか、即死だろうか
祈る事もせずただ座席に座って思い返していた。新聞の一面記事、ニュースにもなった。
今はもうすっかり風化して話題には登らない。
私もしばらく考えた後、ぼーっと車窓を眺め始め、新幹線は車窓が早くてトンネルばかりだ、とすぐに切り替えた。
新幹線の様に時が流れるのは早い。有名な芸能人でさえ、すぐに忘れられてしまう。
「終点博多駅に到着します。お出口は右側です」
私はすぐに席を立たずに急ぐ人達をしばらく眺めてから降りた。最後はみんな同じ道へ辿り着く
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