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若手社員に圧をかけられなくなった時代に生まれた新しい課題。

10歳以上年下の知人との雑談で、「ブラック企業みたいなのは論外ですが、それでも過酷な場や圧があったからこそスキルや経験を得ることもあったわけじゃないですか。そう思うと今はマイルドに接するようになった分、ぼくたち世代やその下の若い人たちのスキルや経験を伸ばせる機会が減ったともいえるなあ…と思っていて」と言われました。

たしかにぼくの場合、20代後半から30代半ばまで虎の穴のような地方出版社で働いたのはスキルや経験の習得に大いに役立っている。当時は考えもしなかったWeb制作会社への転職後もそこでのスキルや経験が今の土台になっている。色々大変だったので少しのことでは動じなくなったし、市場や時代を鑑みない製品やサービスはあっという間に駆逐されることも学んだ。とはいえすごーく大変だったので、また働くかと言われたら絶対に嫌だけれど。

だから知人の趣旨は分からなくもない。スキルや経験を得るには虎の穴方式が役に立つことも知っている。でも、結局のところゲームが変わったんですよね。ゲームが変わったのなら新しいルールに適応しなければならない。

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虎の穴じゃなくてもスキルや経験を得て若手社員が成長できる仕組みや環境や評価基準を企業それぞれが作らなければいけなくなった。そんなの当然じゃんと思われそうですが、地方中小企業には重い話です。これまで雑にやってきたんだから。体系的な知見も仕組みも理念もない。それでもよかったんです。辞めても補充できたから。

でも、これからはそうはいきません。退職されたらその穴はずーっと欠けたままかもしれません。しかも断続的に増えるかもしれない。企業にとってこれは恐怖です。分からないなりに死にものぐるいでやると思います。特に地方中小企業にとっては死活問題だから。

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前述は企業側の話でしたが、労働者側の視点でいったら今の若者の方が大変だろうな…と思うことがひとつあります。

これから雇用の流動性が更に高まり、「自分は◯◯ができます」と市場価値のあるスキルや経験を得ることが個人にとって重要になります。でも、虎の穴のような場はなくなるので外的圧力によってスキルや経験を得ることは難しくなります。つまり、“自分の意思によって” スキルや経験を獲得しようとする人しか身につかないかもしれません。基本的にだらしない人間のぼくが少なからず獲得できたのは虎の穴だったからです。今ぼくが20代だったら多分だらしなく生きています。

その意味からも、今の若者たちの方が大変な一面はあると思っています。外的圧力には期待できず、自分の意思でスキルや経験を獲得し、更新する必要があるから。皆が立派に意識高く生きていける訳ではありません。ぼくのようなだらしない人間がいて当然です。でもそれだと生きづらい。大変ですよね。

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「スキルや経験なんていらないよ」と思う若者も一定数いると思います。でも、このテーマを考えるときにベースにせざるを得ないのが下記の2点です。

  • 令和の安定は「いつでも転職できる人材になっている」こと

  • 「転職しないことのリスク」がリスクになる可能性がある

「いつでも転職できる人材になっている用意」を各自がしておかないとリスクが高い社会にこれから突入するかもしれません。これは個人の望みや好き嫌いとは関係なく。生き方は人それぞれですが、時代による社会変化は選べません。個人レベルでは無視できない要素だろうな…とぼくは思っています。

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さらに厄介なのが、「転職しない方がリスク」と多くの人が思う前に企業は下記を猛スピードで手掛けなければいけません。

  • 社員が辞めないための社内改革

  • 他社から引き抜かれないための待遇改善

  • 他社から引き抜くための待遇改善

中小企業にとってほぼ無理ゲーですよね。でもやらないと生き残れない。すごい時代だと思います。


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