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書けない地方中小企業のための「10の社内ルール」

ブログやWebコンテンツを書くのが得意な企業ばかりではありません。むしろBtoBの地方中小企業は多かったりします。今までその必要がなかったから無理もなく。

ただ、時代や社会が大きく変わり、事業にWebを活用するならばそのスキルが必要になってしまった。それが地方中小企業の現状だと思います。


「書けない」問題を抱える地方中小企業

「書くスキルの必要性はわかる。でもできない」
BtoBを含む地方中小企業はこの問題を解決する必要があります。

まず単純に選択肢はふたつあります。

A. 予算を作って、外部に発注する
B. 何とかして書けるようにする

多くの地方中小企業はWeb活用やコンテンツ制作への投資マインドを今はそこまで持てていないので、Aは難しいのが実情です。

だから、多くの地方中小企業様から、「どうやったら自分たちで書けるようになりますか?」とご相談いただきます。

ただ、この問いは正確ではないんですよね。
だって、書くことは誰でもできます。
ポイントは「書けるかどうか」ではない。

コンテンツが書けなくて…と言っている地方中小企業の方々の本質的な問題は「怖い」という感情です。「正しくないことを書いたらどうしよう」「炎上したらどうしよう」「クレームがきたらどうしよう」という恐怖が皆さんにあります。その恐怖が問いの本質です。


「正しくないことを書いたらどうしよう」という恐怖

これも仕方がないんです。これまでやらなくてよかったのだから。誰だって初めて自転車に乗るときは怖い。当然です。

まずは恐怖を取り除き、慣れることが肝なので、「コンテンツとは」とか「ターゲットを決めましょう」「コンセプトを決めましょう」といった教科書的なアドバイスはほぼ効果がありません。すでに情熱を持っている人でないかぎり。ロジックで人は動かないし、ましてや恐怖は取り除かれません。

まず慣れること。そのためには恐怖の原因を徹底的に取り除く必要があります。

それでは、初期のWeb運用で「正しくないぞ!」とあなたに突っ込む人は誰か?

同僚と上司です。

ユーザーはそこまで丁寧にアクションしてくれません。そもそも見てくれない。無人島に看板を置くようなものですから。見てくれないから炎上も起きません。恐怖の源泉は社内だと思った方が最初は分かりやすいはずです。

「書くことへの恐怖」「書けないとは何か?」について詳しく書いている本があります。『ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論』(千葉雅也、山内朋樹、読書猿、瀬下翔太/星海社新書)です。興味がある方はぜひ一読ください。


意外と見逃されがちな選択肢

恐怖の源泉がつかめたら、次にやることはそれを止めることです。
これが難しい。特に製造系や技術系のBtoBは「正しさ」が価値のベースにあるので、マインドチェンジのハードルがグッと上がります。でも、自分たちでコンテンツを書けるようになりたいなら、「これまでの自分たち」を変える必要があります。

ここでまた選択肢が二つあります。

A. あきらめる
B. マインドを変える

意外と見逃されがちですが、あきらめるは大切な選択肢です。

企業のWeb活用においてコンテンツは手段であり、「書けるようになる」はそのための戦術のひとつに過ぎません。自分たちを変えることがどうしても無理、正しさは何より大切な価値という考え方も別に間違いではありません。

また、「自分たちができること/できないこと」を明確にすることはWeb活用において重要です。かなり重要です。手持ちの武器を把握していなかったら、どう戦うか(戦術)を決められないですよね。
手持ちの武器が刀なのか、槍なのか、弓矢なのか。馬はいるのか。乗れる人はいるのか。それらを把握しないで「◯◯で戦いたい」と戦術を決めるのはナンセンスですし、意味がありません。

「コンテンツの内製化はあきらめる」と決めるからこそ、次の施策を考えることができます。外部委託やWeb広告などですね。
ここでも、「予算がない」という問題が生じる企業も生まれるかと思いますが、そうしたら、「Web活用はあきらめましょう」と決めることができます。

Web活用も手段の一つに過ぎません。(時代的に重要な手段ですが)
目的は事業や営業活動への貢献ですので、Web活用以外の施策を考えた方がいいし、考えるべきです。

「あきらめる」は悪いことではありません。「自分たちの武器をきちんと把握して、ないならちゃんとあきらめる」というステップは戦術を決める際にかなり重要です。


マインドを変える

次の選択肢「マインドを変える」ですが、これが難しい。人の気持ちの変えるために有効な方法論をご存知ですか?ぼくは知りません。すみません。

方法論を知らないので、ぼくが提案できることは「行動を変えましょう」ということだけです。行動を重ねていくなかで、気持ちが変わってくるということは体験上あります。

孔子もこんな風に言っています。

知之者不如好之者
好之者不如楽之者

これを知る者はこれを好む者に如かず。
これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。

「知っている」は好きなやつに及ばない。
「好き」は楽しんでいるやつに及ばない。

そして、ぼくのツイートに何度も何度も登場する『のうぎょうカレッジ』の個人的座右の銘。

好きだからやるんじゃない。やるから好きになるんだ

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孔子にものうぎょうカレッジにも共通していることは「何かを始める/学ぶ」とPlayの関係性であるとぼくは思っています。

これについて詳しくは下記のnoteに書きましたのでご覧ください。


書けない人のメカニズム

つまり、何かを新しく始めるときは、やる(Play)を優先する。やるから好きになる。好きになったら楽しめる。楽しめると行動量が自然と上がる。行動量が増えるとスキルが身につく。この循環です。

書けない人のメカニズム

1.「書くスキル」がないから「書けない」というのは逆
2.「書かない」から「書くスキルが身につかない」です
3.「書けない」理由は「上手く書くこと」が目的化しているから
4. スキルが身につく順番は「たくさん量を書く」→「書くスキルが身につく」→「上手く書くスキルが身につく」です
5. それを逆から求めているから「書けない」になる
6. そもそも「上手く書くスキル」は絶対条件ではありません
7. ビジネスで必要なスキルは「書くスキル」です
8.「書くスキル」を身につけるには「たくさん量を書く」です
9.「たくさん量を書く」ための社内環境を作りましょう

これについて詳しくは下記のnoteに書きましたのでご覧ください。


書くことの恐怖心を取り除くための10の社内ルール

とはいえどうすれば。ですよね。
書くことの恐怖心を取り除かなければ、社内環境が整いません。

もし、中小企業の取り組みとして本気でWebコンテンツが書けるようになりたいのなら、まずは下記を社内ルールにしましょう。

書くことの恐怖心を取り除くための10の社内ルール

01. 最初の一年はコンテンツの数で評価する。質は問わない
02. 最初の一年はコンテンツの数で評価する。長さで問わない
03. 最初の一年はコンテンツの数で評価する。成果で問わない
04.「違うじゃないか」「間違ってる」から始まる社内評価は厳禁

05. 修正するときは、まず書いたことを褒めてから
06. 書いた人をちゃんと評価する
07. 書くことを仕事として会社が認める。明文化する
08. 上司の仕事は褒めること
09. 上司の仕事は責任を取ること
10. 上司が率先して「書くこと」に取り組む

常識的に見ると真逆なことを書いています。
「質を問わない。成果を問わない」などは自分の仕事とは真逆です。Web活用ではコンテンツがかなり重要ですので、質・成果は問います。当然です。

しかし、それは書ける人向けの指標です。
そこから始めるから続かないし、恐怖心がなくならないのです。

書けない人のメカニズムを思い出してください。 スキルが身につく順番は「たくさん量を書く」→「書くスキルが身につく」→「上手く書くスキルが身につく」です。

質・成果を問うのは書くスキルが身についてからです。
最初は「たくさん量を書く」こと。
そのために書くことの恐怖を取り除き、社内環境を整えるための社内ルールです。

・最初は「正しさ」を求めない
・書いたこと(Play)を賞賛する

自社はそれができる会社かどうか?そこから考えることをおすすめします。


補足1 10の社内ルールだけでは足りない

10の社内ルールだけでは足りないこともあります。それはそうですよね。「書くこと」を今までまったく評価していなかった会社が、「評価します。いっぱい書いてね」なんて急に言っても信用しません。ぼくだったらしない。

ロジックでは人は動かない。
できるのは行動を変えることだけです。

じゃあ、どうするか?
行動できる人がまず行動するのが一番です。

つまり、率先して書く人が必要です。
じゃあ、誰が書くのか?

それは社長であり、役員であり、営業部長や技術部長や総務部長ですよね。もちろん。

自分たちが変われてないのに、部下にだけ「変われ」なんてオーダーするくらいなら「書けるようになろう」という目標はやめた方がいいと思います。自分たちが率先して「変わろう」という意思を行動で示さなければ会社が変わるはずありません。

社長、役員、営業部長、技術部長、総務部長、どなたでもいいので書いてください。
月に一本は必ず。
(ぼくは実際、Webマーケ支援しているお客様にそういうオーダーをよくやります)

それを一年続けたら、書けるようになっています。というか、書ける会社の社風になっています。それはつまり、「書いたら怒られるんじゃないか」という恐怖心を払拭できた状態です。それがすごく大切です。「書けない会社」から「書ける会社」に変わることが主目的ですから。

*年50本の記事を書いた営業部長
事例ですが、ぼくがWebマーケ支援を担当しているBtoB企業のQ社様では営業部長に技術ブログを書いていただきました。最初はスロースタートでしたが、成果と共にコンテンツ化の意義を見出していただき、半年で「書くこと」が習慣化し、一年でなんと年50本の以上のWebコンテンツを書いていただきました。
その結果、Q社様Webサイトの集客力は一年で2倍に成長しています。引き合い数は3倍に。今は営業活動の手が足りないのが課題です。

これについて詳しくは下記のnoteに書きましたのでご覧ください。

もう少し補足すると下記の2点です。

メンターになる外部企業(Webマーケ支援)の協力はあった方がいいです
・第三者の視点でコンテンツの評価をしてもらうのが大切です

書くことが得意な社内スタッフを発掘しましょう
・社員さんは50人いたら、一人くらい得意な人がいるはずです
・書けるスキルが評価基準になっていないので見つからないし、自主的に手を上げないだけです
・その人に技術的知識が足りないなら、知識がある人の話を聞いて書いてもらいましょう(社内取材の推進)
・書くだけでなく、動画やSNSが得意な人がいたら、会社の武器になります(社員スキルの把握)


補足2 今の社員評価制度だと「書ける人」は見つからない

書くことが得意な社内スタッフを発掘できたら最高ですが、そもそも、今の社員評価制度はそのように設計されていません。
これは今の評価制度の穴だと思っています。時代のニーズに追いつけていないままの穴がぽっかり空いています。この数年で外部環境が凄まじいスピードで変化したから無理はないのですが。
この社員評価制度の穴も「書けない問題」の大きな背景だと思います。

・外部環境の変化が凄まじく速い。企業は対応必須
・特に地方のBtoB企業は中央との差を埋める努力が必要
・BtoB企業のWeb活用はより重要度を増していく
・Web活用にはコンテンツの供給が必須(質・量ともに)
・「何をすればいいか?」より「何ができるのか?」
・適性を知ってから、やることを決める。逆はNG
・適性を知らないのが現状
・今の評価制度では適性が分からない=社内リソースが見つからない
・評価制度に穴がある
・SNSやコンテンツ作りを日常から推奨するカルチャーの醸成が大切

これについて詳しくは下記のnoteに書きましたのでご覧ください。


まとめ

・書けない人のメカニズムを理解する
・書くことの恐怖心を取り除くための社内ルールを作る
・まず、社長、役員、営業部長、技術部長、総務部長が書いてください
・メンターになる外部企業の協力は必須
書くことが得意な社内スタッフを発掘しましょう
・自分たちの武器を把握する
・無理だったらあきらめることも大切な選択
・今の社員評価制度だと「書ける人」は見つからない

以上です。
「書くスキルの必要性はわかる。でもできない」とお悩みの地方中小企業様にこのコンテンツが何かしらのお役に立てば嬉しいです。

すでに「書ける」企業の皆様にはそぐわない内容ですのでご注意ください。

書けることを前提にしたコンテンツばかりで、書けない企業向けの解説がないなあ…でも一番困っている企業はその人たちだよなあ…と思って生まれたコンテンツです。お役立てください。


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長野県BtoB企業の皆さまへ

ぼくが所属している株式会社JBNでは「BtoB企業への成果貢献」を目的とした戦略策定・Webサイト制作・Web運用支援・Webマーケティング支援を一気通貫で行なっています。

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稲田英資について

株式会社JBNで戦略策定とWebマーケティング支援を担当しています。
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