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フィーリングで人は最適解を選べるのか

こんにちは!事業会社でデザイナーをしているhukuroです。

何かを判断するときに、「フィーリングに頼ったら上手く行った!」という経験は誰もが1度はしたことがあるのではないでしょうか。
一方で、複雑な判断をしなければならない時には情報を見比べ、情報に優先度をつけ、どれを選ぶべきか熟考することの方が多いと思います。

私は仕事柄、「Webサービス上でユーザーに選択や判断を促すにはどうしたらいいか」を考える機会は多いのですが、決断がされなかった場合には「検討材料になる情報を提供したらどうかな…」といったように、情報を見させて熟考を促す考え方になりがちです。

しかし、本当に「複雑な判断をしなければならない時には熟考が適している」のでしょうか。フィーリングで選ぶと果たして失敗をするのでしょうか。

目次
・ジョーゼフ・マイクルズの3つの実験
・主な実験内容
・実験① 最良のものを選択できるか
・実験② 「最良のものを選んだ」という実感はあるのか
・実験③  熟考することで選択に差が出るのか
・まとめ
・デザイナーはどうすればいい?


ジョーゼフ・マイクルズの3つの実験

その答えとなる、心理学者ジョーゼフ・マイクルズの研究内容がとても興味深かったので、今回はそれをnoteにまとめてみることにしました。

以下はこちらの書籍を参考に、研究内容を要約しまとめた内容になります。

主な実験内容

マイクルズは、次の2つのグループに分かれ複雑な決定を行ったとき、よい決定が出来るかどうかを調べる実験を行いました。

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実験① 最良のものを選択できるか

架空の装置を装備した、自動車4車種の属性を被験者に示し、「どの車が最良か」を判断してもらいました。

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被験者の半数は4車種、4属性(単純条件)で、残り半数は4車種、12属性(複雑条件)で実験に参加したところ、以下のような結果が得られました。

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単純条件では、フィーリング派と情報派の結果に差はありませんでしたが、複雑条件では大きく差がありました。フィーリング派では約7割の被験者が最良のものを選択したことに対し、情報派では約3割程度という結果になりました。

実験② 「最良のものを選んだ」という実感はあるのか

マイクルズは次に、客観的な正解をなくした選択技で実験を行い、
さらに以下の2点を被験者に評価してもらいました。

・自身の選択したものに対する満足度
・自分の選択にどれだけ自信があるか

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すると以下のような結果が得られました。

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フィーリング派はよりよい判断をしているだけでなく、自分の判断により満足しており、かつ正しい判断をしたという自信を持っています。

実験③ 熟考することで選択に差が出るのか

実験③では熟考するかどうかでどのような差が出るのかを実験しています。

複雑条件下でのみの実験とし、被験者の半分を「意識的熟考グループ」、半分を「注意散漫グループ」としました。

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そうすると、以下のような結果となりました。

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情報派で熟考した被験者は、フィーリング派の熟考しなかった被験者と同等の正解率でした。また、情報派で熟考しなかった被験者の正解率は、フィーリング派より成績が劣ることが分かりました。

フィーリング派については、注意散漫になっても正解率は下がらないが、熟考させると正解率が低くなる傾向にあるようです。

まとめ

以上の研究をまとめると、以下のようになると思います。

① 複雑な判断をする時、フィーリングで選ぶほうが失敗しない
② フィーリングで選んだ方が、満足度が高く、かつ正しい判断をしたという自信をもつ傾向にある
③ 複雑な判断をする時、フィーリングで選ぶ際に熟考すると失敗しやすくなる

③に関しては、熟考したことでフィーリングで選択出来なくなっている(情報派になってしまった)のでは…と思ってしまいましたが、どうなんでしょう笑。

デザイナーはどうすればいい?

マイクルズの研究から、複雑な判断をさせなければならない時にデザイナーが出来ることはこういうことなのかなと思います。

重要な情報を明示し、フィーリングに頼るように指示する(データを分析させない)。
そして、すぐに決断を促す。

フィーリングを重視するように仕向けることは難しいので、判断を促し、判断がされたら情報の提供を取り下げることが最善のようです。

いかがでしたでしょうか。全てのケースが当てはまる訳ではありませんが、人の性質の1つとして覚えておきたいと思いました。


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