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「人間あるある」な行動経済学🎁

こんにちは!事業会社でデザイナーをしているhukuroです。

この記事は「株式会社エイチームフィナジーのAdvent Calendar 2019」用に寄稿した記事です。


突然ですが、私は学生時代からやるべきことを後回しにしがちで、夏休み最終日に苦しみながら課題をしていた記憶があります。そして大人になった今でも、アドベントカレンダーは最終日(12/25)を予約し、期限を先送りするようなところはまるで変わっていません🎅🎄

理性を持って判別できる(と思う)頭があるのに、計画性をもって取り組めないのは何故なのでしょうか。

このような不合理性を紐解くのが、「行動経済学」です。

行動経済学を理解することで、ユーザー行動をよりリアルにイメージ出来ると思います。特にユーザーへの共感の精度をもっと上げたい!と思っているデザイナーさんにおすすめしたいと思い記事にしました。


行動経済学ってどういうもの?

経済学は「人は経済的合理性に基づいて行動し、自己利益を追求する性質を持つ」という定義を元に考えられてきましたが、それに対して「必ずしも合理的な行動をするわけではない」と定義したのが行動経済学です。

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また、行動経済学は、いわゆる「人間臭さ(感情)」をベースに分析され、経済学と心理学をかけ合わせた領域の学問だと言われています。

もっと簡単にいうと、「人間あるある」な不合理行動を説明する理論、それが行動心理学です!

問題です!あなたならどっちを選ぶ?

以下の2つの選択肢の内、どちらかを選べと言われたらどうしますか?

問題1
(1)100%の確率で1万円もらえる
(2)10%の確率で10万円もらえるが、90%の確率で何ももらえない

この場合、大半の方が(1)を選択すると思います。

では、この場合はどうでしょうか?

問題2
(1)100%の確率で1万円失う
(2)10%の確率で10万円失うが、90%の確率で何も失わない

もらえる・失うのが逆になっただけのもの(数学的に期待値は変わらない)ですが、(2)を選んだ方が多いのではないかと思います。

【利益や嬉しいこと】につながる選択では、リスクを避ける傾向に
【何かを失うこと】につながる選択では、リスクを受け入れやすくなる

つまり、このような性質があるということになります。

人は利益を得る喜びよりも、失う悲しみの方が大きく感じられる(損失回避)

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ふむふむ。○○名様限定!や、△△日まで!のような、限定を煽るキャッチコピーはこの性質を使ったマーケティング手法になりますね。


その他にも行動経済学の面白い効果や性質をいくつか紹介します。

【不合理な性質その1】 先延ばしの問題

冒頭のわたしの話のように、目の前の誘惑に負けて物事を先延ばしにしてしまうのには、以下のような人の性質が関係しています。

人は常に「今」の楽しみを重視しすぎて、未来に対する合理的な意思決定・行動ができなくなる

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これを克服するためには、誰かに対して決意表明することが効果的です。

よって、私の場合は、

\アドカレ用の記事執筆、1週間前までには完璧に終わらせます/
\もし終わらせられなかったら、ラーメンおごります🍜/

と社内のみんなに決意表明をしていたら、少しは早めに行動出来ていたのかもしれません。(かもしれません)

また、アプリマーケティング研究所さんが紹介していた「チャレンジャーズ」という韓国の目標達成アプリが、まさにこの性質を利用したサービスでしたので、参考にリンクを置いておきます。

【不合理な性質その2】 捨てられない選択肢

例えば、大好きな歌手のコンサートをなるべく良い席でみたいと思ったあなたは、努力の末に3枚チケットをゲットしたとします。

<あなたがゲットしたチケット>
・A席 10番
・C席 20番
・H席 30番

そのチケットの座席の場所がはっきり分かるのが当日だったとしたら、余る2枚は譲渡するとして、どのタイミングで譲りますか?
明らかにA席のチケットが良席っぽそうには見えますが…

私なら、【事前に譲渡】するのではなく、【当日座席を確認してから譲渡】するだろうと思います。当日の譲渡は時間も短く、面倒にも関わらず、です。

人は、価値の低そうな選択肢や興味のないチャンスも「失いたくない」という衝動を持つ性質がある

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導入での「損失回避」の話と繋がってきますが、明らかに「補欠」のような選択肢であっても、人は失うことへの嫌悪感を感じてしまうようです。

この場合は、座席の場所にヤキモキするのも楽しみの一つかもしれないので分かりにくいのですが、ソシャゲのログインボーナスを毎日途切らせずに回収する行動なんかもこの性質由来なのかもしれません。

【不合理な性質その3】 予測の効果

効き目があると思い込みながら偽薬を飲んでも、薬と同等の効果が出るという「プラセボ効果」を代表として、人にはこのような性質があります。

人は、予測どおりの体験をする性質がある

コンビニで見る某ショコラアイスを、新作スイーツと偽り高級店でデザートとして提供するという、公式によるドッキリ企画を思い出しました。

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高級店の雰囲気と、高級感のあるお皿、テーブル、空間…そんな場に居たら、「高級で絶品なアイスに違いない」と思って食べるでしょう。

食べたときに人がどう感じるかというと、「高級で絶品なアイスだ」と感じるそうです。つまり、人は予測通りの体験をそのまましてしまうということですね。


デザイナーとして行動経済学をどう扱うか

人が無意識にとってしまう不合理性をいくつか紹介してきましたが、如何でしたでしょうか。

薄々感じている方もいるかと思いますが、これらの性質は悪用することも出来てしまいます。ユーザーの意図しない方向へとミスリードしないよう、知識を持った上で判断をしていきたいところですね。

また、人がどのように行動すべきかではなく、実際にどのように行動するかを基盤として考えることで、より人にフィットしたモノづくりを意識出来るのではと思います。

何か皆さんのヒントとなりますように!メリークリスマス🎄🎅➰🎁




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