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筋肉減少による緊急事態なので、ジムへの入会をぶちかました話

僕は毎朝、20分ほど散歩をしている。

毎日、同じ時間に歩いていると、出勤中であろうサラリーマンの顔ぶれや、コンビニの店員さんの顔を覚え始める。「あ、今日もこの人いるね」と。

とあるマンションの横を通ると、管理人らしきおじさんが毎朝草を刈っている。これも日常のひとつ。

黙々と草木を整えているその人物を「草刈りおじさん」と心の中で呼んでいる。

今日も草刈りおじさんを横目に散歩をし、いつもならこのまま帰宅するところだが、寄り道をする。今日からジムに行くからだ。

今の家に引っ越すまでは、別のジムに通っていたが、引っ越してきてからはジム通いを自粛していた。

ところが、コロナの緊急事態宣言解除と同時に、筋肉減少の緊急事態宣言(マッスルアラート)が出てしまった。

早いとこ、筋繊維を密にしたい。小池都知事に名指しで「あなたの筋肉、密です」と注意されたい。

給付金ももらったので、健康に課金しよう。


いろんな気持ちを抱えて歩いていくと、気が付けばジムの目の前だった。初めて入店するジムなので、おそるおそる扉を開ける。

対応してくれたスタッフは、引き締まっているが女性らしいボディの「フィットネス女子」という感じ。

グラマラスで、赤いアイメイクの派手な目元。誰かに似ている。

そうだ、紅蘭(くらん)さんだ。この感じは!草刈正雄さんの娘の!
そう見えてしまったら、そうとしか見えない。

入会の説明やマシンの紹介など、紅蘭さんが一通りしてくれた。

「スリッパお渡ししますね」が「これ、履いちゃって」に聞こえる。

「同意いただけましたら、こちらの用紙に署名をお願い致します。」が「てか、これでもうウチらのサークルメンバーっしょ」に聞こえる。

サークルに無事入会を済ませ、「とりま、ぶちかましますわ!(今日から使っても大丈夫ですよね…?)」と言って、マシンでトレーニングをした。

トレーニングをしていると、遠くで紅蘭さんが電話対応しているのが聞こえた。

ふと、本当の紅蘭さんは、今なにをしているのか気になった。すかさず検索した。パーソナルトレーナーらしい。

このジムの紅蘭さんと本当の紅蘭さんの違いが、いよいよわからなくなった。各地に存在するのかもしれない。ご当地紅蘭が。

そうか。紅蘭って、"クラン(clan = 一族)"だったんだ。

草刈一族で、全国各地のジムをすべて制圧するためのクランだったんだ。

そう考えると、草刈正雄さんもたくさんいるはず。

帰り道、草刈りおじさんがいつもより男前に見えた。

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