ヤコブソン・バレエ団 ダンサーインタビュー No.1 キリル・ヴィチュジャーニン（後編）

皆さま、あけましておめでとうございます。
2021年もぽつぽつと投稿していきたいと思いますので、
どうぞよろしくお願いいたします！

ヤコブソン・バレエ団（ロシア国立サンクトペテルブルグ・アカデミー・バレエ）のことをもっと知ってもらいたい！
ということで始めた企画第一弾・ダンサーインタビュー。

本日は、期待のソリスト　キリル・ヴィチュジャーニンへのインタビュー【後編】をお送りします！

（写真：『白鳥の湖』より パ・ド・トロワ、　
ソフィア・マチュセンスカヤと ）

★プロフィールと【前編（Q1~7）】はこちら★
URL：https://note.com/impresariotokyo/n/nea56b4cae922

Q８．尊敬しているダンサーはいますか？

ワガノワ・バレエ・アカデミーのすべての男の子と同じように、いつも自分の携帯電話でレオニード・サラファーノフの動画を見ていました。私たちは彼のダンスに魅了されていました。
それと、ダニール・シムキンにも強い印象を持っています。
彼は、私にとって”スーパーマン”のようなダンサーです。

少し年を重ねてから、ダンスの歴史について読み進めていくうちに、ルドルフ・ヌレエフへの尊敬が高まりました。
彼は信じられないほどの自信と、”他の人より上手に踊る”という意志を持っていました。舞台にいる彼は単なる舞台上のダンサーではなく、それ以上の存在となっているのです。

Q9.コロナ禍はどのように過ごしましたか？

コロナウイルスは、ヤコブソン・バレエ団が約2か月間のヨーロッパツアーから戻ってきた直後に襲いました。ロックダウンは怖いものでしたが、最初の数週間はゆっくりと過ごすことができました。
しかし、日がたつにつれてバレエが恋しくなりました。
ロシアにはこのようなことわざがあります—「何かを失ったときだけ、それが自分にとってどれほどの意味があるのかを理解し始める」
このことわざ通り、バレエが私にとって必要不可欠な存在だということがとても明確になったのです。そして、この不幸な状況を自分の利益に変えられるよう時間を使うことに決めました。
コロナ期間で、日々の深い反省、自己改善、内部リセットをすることができたので、私にとって有意義な時間ともいえる日々でした。

Q10.踊るときに大切にしていることはありますか？

最も大切にしていることは、観客に”見ている物語が本当に起きているように信じさせるように演技する”ということです。
舞台でのダンサーのすべての動きは正当化されなければなりません。
ジェスチャー、視線、ステップ、ジャンプ…すべてに意味が必要です。
観客は束の間、現実世界から逃れるために劇場に来ていると私は思っています。ですから、私は観客のために新しい現実を創造するよう努めています。

（Photo:バール版『眠れる森の美女』より 王子）

Q11.プライベートではどのように過ごしていますか？

自由な時間がある時には、ギターを弾いて楽しんでいます。ギターを手に持ち、音楽の振動を感じるのが好きで、とてもリラックスできます。
それと、仕事から離れたい時には、ドラゴンラージャ（※オンラインゲーム）をプレイしています。現実から離れた世界への脱出を楽しんでいます。

Q12.日本にはどのような印象がありますか？

日本を初めて訪れたのは16才の時でした。ワガノワ・バレエ・アカデミーのツアーで来日したのですが、その12月を今でもはっきりと覚えています。
空港を出ると、”ナルニア国物語への扉”が開いたような気がしました。
寒くて暗いサンクトペテルブルクとは対照的に、すべてが明るく澄んでいたのです。そして、天気や清潔さだけではなく、日本の人々に感動しました。
それから数年後、ヤコブソン・バレエ団と日本を訪れたのですが、驚いたことがありました。初来日した時に写真を撮ってくれた観客が、その写真をプレゼントしてくれたのです。日本の観客の応援には、本当に感謝しています。

（Photo:コボー版『ドン・キホーテ』より、
ソフィア・マチュセンスカヤと　©Stepan Demin）

キリルの愛らしい笑顔と若々しく軽やかなステップやジャンプは、見る者を惹きつける力を持っています。昨年は、『スペードの女王』の主役ゲルマンで精神が崩壊していくという難しい役どころにも果敢に挑戦し、賞賛を受けました。まだまだ伸び盛りの23才、バレエ団から一身の期待を受け次々と挑戦し成功をおさめる彼の今後から目が離せません。
「好きな役は何か？」という質問に数年後なんと答えるか…楽しみですね！

★キリル・ヴィチュジャーニンの【Instagram】アカウントはこちら★
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https://www.instagram.com/kirill_vychuzhanin/

♦インタビュー・文♦
インプレサリオ東京/ヤロスラフ・ティモフェーエフ（ヤコブソン・バレエ）