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【No.1】Tech Lake Sprintを終えて ~若い世代の教育観点~

こんにちは。インパクトラボです。

今回は、2021年9月にインパクトラボ・メンバーが運営・プログラムのサポートを実施したサービス開発プログラム「Tech Lake Sprint」について、運営サポートメンバーの目線からレポートをお伝えします。

本レポートは、プログラムに参加した若い世代の教育の観点からお伝えします。

Tech Lake Sprintとは
「滋賀県庁」をフィールドに、県庁職員の普段の仕事からヒントを見つけ、職員だけでなく県民に役立つようなサービスを、参加者の皆さんと一緒につくりあげるものです。4週間という限られた時間のなか、膨大な調査や開発を行うのではなく、「利用者の本音に応える必要最小限の改善」を目指しました。
参照:https://shiga-lg.jp/techlakesprint

プログラムの流れや詳細、実施の想いについては、メインファシリテーターで滋賀県庁職員の筈井淳平氏が公開している下記noteで詳しく記されてます。

また、インパクトラボによる、運営の観点からのレポートは下記noteで確認できます。

概要

まず、インパクトラボが考えるプログラムとしての教育的効果は以下の2つが挙げられました。

・従来の教育で主に求められていた「効率」の向上ではなく、「効果」を向上させる実務的解決策の視野を得ることができていた。

・参加する大学生などは社会で働いた経験がないため「すぐに取り掛かれる」アクションについて、全体の参加者でも特に、利用者目線、一般人目線で考えることができていた。

一方で、課題として以下の点が挙げられました。

・デザインスプリント、デザイン思考などの知識を抑えず、その場の流れでプログラムに参加し、実践するにとどまっていた。また、終了後にフォローアップとしての講座等もできなかった。

ではそれぞれ、詳細を紹介したいと思います。

教育的効果について

①「効果」を向上させる視野を得られていた。

・民間のコンサル的視点から、実際の業務改善に対する意識を得ていた。
・ヒアリングによる声だけでなく、その先の影響について考える意識を得ていた。

特に、大学生はこれまで、受験勉強や資格取得等、「効率」が物を言う世界で生きてきたことが多いと思われます。今回のプログラムでも、データの収集効率や、分析効率を向上させるところからイメージを膨らませていた人が多くいらっしゃいました。

しかし、大学生とは異なる、多様な参加者と話をする中で、行政ハックによる「効果」について、最終的な策を見出した学生が多いように見受けられました。

普段からインパクトラボでも実施しているアントレプレナー教育や、SDGs教育においても目の前にある問題に直接向き合うのではなく、その発生原因や「なぜ」を考えられる大学生ほど、より良い解決策の提案につながる場合が多いです。

このような経験も踏まえ、今回のプログラムにおける「効率」→「効果」への意識変革は、大学生をはじめとする若い世代にとって実践的な教育をする上で非常に大きい影響を持つと推測しました。

②専門性や業界のバイアスなく、議論ができていた。

・うちの業界なら~は当たり前、県庁なら~は考えているだろう等の経験に基づくバイアスが存在せず、ニュートラルな発想で議論に参加できていた。
・自身の意見が如実に大人たちの議論に取り入れられる成功感を得ていた。

これは、大人と大学生(若い世代)が参加するイベントによく発生するものです。一般的なイベントではこれはネガティブに捉えられ、大人主導で大学生がそれにしたがって、プログラムが進むパターンが往々にしてあります。

しかし、本イベントでは到達目標が指定されていたこと、参加頂いた大人の方々の理解もあり、その経験の差が良い方向に作用していましたと見受けられました。

特に、大学生はバックグラウンドや、業界の当たり前を知りません。それ故、ニュートラルな発想から疑問を覚え、それを議題に上げることができていました。これはグループ内での議論に良い影響を与えていただけにとどまらず、県庁の方への問題提起やヒアリングの際にも、顕著に現れていました。

筈井氏のnoteで示されている「アクセシブルになると、そこにデザインは生まれる。」というフレーズについて、若い世代の発想がユニークになっていたとも考えられます。

このような、バイアスなく議論ができる場所を設けられたことは、成功体験や達成感の醸成にも非常に深い繋がりがあったと考えられます。

課題について

業務をデザインするという知識面でのフォローができなかった。

今回のプログラムは、時間が限られていること、そしてプログラム実施ごとにその到達中間目標が定められていたこともあり、「習うより慣れろ」というイメージのもと、プログラムが進行していました。

その結果、最終的なプロダクトの検証結果や提案は、プログラム目標である、膨大な調査や開発を行うのではなく、「利用者の本音に応える必要最小限の改善」を目指すことと大きくずれることなく、達成できました。

しかし、実際に活動を行った中で、今回行った解決策の提案や提案プロセスについて、フレームワークをベースに再検討、自己評価するような時間を設けることができませんでした

特に、若い世代は、このような新しいグループで何かを生み出す・改善するという経験を得ることは難しく、何度も行っていく事で、自然にその手法・考え方などが習得するようなことは難しいことが多いです。

そのため、今後このような企画を行う場合は、最終的な自己フィードバックや、フレームワークに落とし込んだ考え方をするなど、プログラム自体の自己復習、フォローアップを行える機会を設けることが、参加する若い世代の教育の観点から重要と考えました。

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最後に

ここまで、お読みいただきありがとうございました。

今回のTech Lake Sprintは、小規模ながら行政の実務に対して直接アプローチするユニークなプログラムでインパクトラボとしても、新たな発見のある企画でした。

活動レポートは文頭記載の公式ページに公開されておりますので、そちらもチェックしてみてください。

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