リベンジ、モネ。
あと3分。
予約していたチケットの入場時刻は17時。
上野駅の長い長い階段を駆け上り
PCの入った重いリュックを揺らしながら全力疾走。
今日は、朝からソワソワしていた。
先々週、久々にとれた有給でゆっくり堪能するはずだったモネ展。
前日からの娘の発熱が長引き、
泣く泣く(いや、実際のところ悩む暇もなく)断念した。
今日は私の「リベンジ、モネ」の日。
なんとか仕事を調整し、1時間早く早退。
乗り換えを一回でも失敗すると入場時刻に間に合わない可能性もある。
改札出口をシュミレーションしながら、
絶対に間に合って見せると、全神経を集中させた。
結果、無事に滑り込み、ありつけた
「モネ 連作の情景」
それはそれは、贅沢な静かな至福の時だった。
作品を前に、ひたひたと満たされる感覚があった。
私に足りなかったのはこの時間だ。
一枚の絵の前で、モネの気持ちを想像し、
波音や風を感じながら
没入していくこの時間。
妻でもなく母でもなく
ただ私として絵の前に立っていた。
難しいことは分からないし、絵画に明るいわけでもない。
でも、モネの見た風景を時代を超えて私が見ている。そんな気持ちになるだけでワクワクしたし、自分の心の中に言葉が溢れてくるのがわかった。
印象派とは
色と色を混ぜずに、見る人に色彩をゆだねた新しい技法だという。
これは私なりの解釈だが
見る人によってその絵の捉え方が異なるから
曖昧さを所以として印象派というのかもしれない。
私には寂しそうに見えた絵が、
誰かには賑やかに見えたり。
そんないろんな解釈で楽しめる素敵な技法。
モネも同じ風景を、時間を変えて何度も描いているように。
寒い日、暖かい日、雪の日、雨の日。
そしてその時の自分から見た景色を
連作として残したのだろう。
モネの作品には風が吹いている。
一瞬を切り取っているように見えて
移りゆく時間の流れを描いてる。
水面のゆらめきや、
流れる雲の一つ一つを
逃すまいとキャンバスに吹き込む
モネの力強さと忍耐強さのようなものを感じた。
あぁ、幸せである。
こんなかっこつけた言葉が
つらつら溢れてくるということは
私のリベンジ、モネは大成功ということだ。
今年はこんな没入できる時間を少し増やして
こころを満タンにしていこう。
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