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WEB図鑑「箱根駅伝 給水」第6巻 わずか30秒の給水に魂をこめる! ~ドキュメント駒大~

箱根駅伝での給水は10㎞地点と15km地点の2か所。ということは、5㎞ごとの計測も同時に行うことになります。ランナー、監督たち、給水担当者がどのような動きをするのか、96回大会 8区 15km地点での駒大を例にして時系列で追いかけてみました。

WEB図鑑「箱根駅伝 給水」 
第1巻~第5巻はこちらから→ 目次&前書き

★8区 15km地点の場所と高低差

15km地点は下記地理院地図の赤い字の所です。
コースの分析をするときは、正確に測量された国土地理院の地図でチェックしています。(googleマップは高低差がわらりづらい)

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(地図をクリックすると、大きな表示になります。)

高低差はこんな感じ。

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図中★のところから撮影しました。
以後、ランナーの位置関係の説明はグレーの網掛けに入れておきます。

★給水の準備

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10:31 給水者が準備を始めました。駒大の給水担当はM高史さん(お笑いアスリート芸人)元主務のOBさんです。本稿では、本名の三上さんとお呼びします。
緑色のジャージは大東文化大の馬場周太さん。給水をされた時はコーチでしたが、2020年4月1日から監督に就任されます。


給水者は、①の付近の平場スペースに集まっていました。
トップ画像は、三上さんと東洋大の給水担当で競歩五輪代表内定の川野将虎さん。


★ランナーが来た!

10:54 15km手前100mのところに8区の加藤淳さんがやってきました。
後ろには大八木監督が乗った運営管理車、その後ろは第3中継車です。

加藤さんがいるのは、断面図①付近です。


15km地点 加藤さんがランニングウオッチに手を伸ばします。車中の大八木監督もストップウォッチに視線を落としています。テレビ中継車のすぐ後ろに後続ランナーの足元が見えています。

断面図の赤い矢印のあたりです。
ここから急な坂になることが解ります。

15kmのタイムを取り終えた加藤さんは、歩道側にいる三上さんに向かって走り出します。大八木監督は手元のメモを確認、後部座席から青山主務が覗き込んでいます。

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三上さんはスポーツドリンクを右手に持ち、加藤さんが受け取りやすいよう手を伸ばしながら、横走りをしています。
運営管理車内の大八木監督は青山主務と話し合っています。

加藤さんがいる位置は、断面図②付近。坂を駆け上がっているため、大八木監督の後ろの車両のフロントガラスがはっきりわかります。
道路の反対側の歩道から撮影しています。真ん中のぼんやりしているのは対向車のミラーです。

★給水は2種類!

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まずはスポーツドリンクから。青色のテープが巻かれています。
飲み終えた加藤さんが、三上さんにボトルを戻したところです。

三上さんはスポーツドリンクの次に赤いテープが巻かれた水を渡し、走りながら加藤さんの水分補給の様子を観察し続けました。


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加藤さんの唇に僅かに光る水滴。左腕には滴った跡。ボトルを再び三上さんに戻します。三上さんの安堵したような表情で、給水が上手く行ったことが解りますね。
止まっているように見えますが、1km 3分弱のペースで走っています。1秒に換算すると約6mです。

断面図★の辺りです。私の目の前ですね。ほぼ目線が平行です。

★給水が終わると

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三上さんが加藤さんに檄を飛ばします。

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並走が許されるのは50m。ぎりぎりまで寄り添います。

断面図③付近です。15kmのチェックポイントから約50mの間に5mの急坂を駆け上がったことが解ります。

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三上さんは、加藤さんを見送り、ボトルに残った量を確認されています。そしてすぐに運営管理車に連絡を入れたとのこと。
加藤さんの姿を確認してから見送ったこの写真まで、どのくらいの時間が掛かっていると思いますか?????



わずか30秒!!

どれだけせわしないか、正確に給水をやり遂げることが大変なのか、想像しただけで身震いがしました!もう無理!!  

(ランナーさんからみたら、大したことではないのでしょうけれど)

地図・断面図④付近です。子供たちの視線にランナーへの尊敬を感じます。

★沿道の観客の写り込み(肖像権)について
本写真について、観客の顔が特定でき、肖像権の侵害になるのでは?と思われるかと思います。そこで弊社の著作権研修の折に、講師の弁護士に確認しましたので、紹介します。
「箱根駅伝はテレビ局、新聞社が主催共催するイベントで、観客の顔がメディアに流れる前提になります。このような場合、沿道観戦による写真、動画への映り込みは当然想定できる「黙示の承諾」として肖像権の侵害にはなりません。どうしても顔を特定されたくない場合は、メガネやマスクなどの小物を活用しての観戦をお勧めします。」

ランナーを応援する顔、スマホに感動を記録したいと思う気持ちが詰まった顔が無くしては、この場面の写真になりません。 ランナーも自分を応援している顔を見たら嬉しいと思います。
こうした理由で、観客の顔に加工をいれることを見送っています。

★第6巻 まとめ

100m程の間にタイム計測、給水、指示出しがあります。ランナー、スタッフともほんの30秒ほどの間に、色んなことをされているのを、1本のレンズで写し止めてみました。

この様子は三上さんが4yearsの記事に詳しくお書きになっています。前出の大東大馬場さんのエピソードも書かれています。(文中に写真を使っていただきました。ありがとうございます。)

★あとがき&協力者の皆様

本図鑑の掲載写真は、すべて私が撮影したものです。撮影の位置取りについては、周りの方たちとコミュニケーションをとりながら譲り合って撮影しました。これがきっかけで今でも連絡を取り合う方もいます。ご縁をいただきありがとうございます。

選手のお名前が解らず困っていたところ教えてくださった方、作成を後押ししてくださった被写体の方々、ありがとうございました。

背中を押してくださった方 
 小松陽平さん(東海大 8区)
 M高史さん(駒大 元主務)
選手のお名前を教えてくださった方
 石崎智大さん(東京国際大 OB)
 佐藤凌平さん(帝京大 元主務)
 佐藤諒太さん(帝京大→警視庁)
投稿や記事を引用させていただいた方
 中島怜利さん(東海大)
 森圭介さん(日本テレビアナウンサー)
 朝日新聞社「4years」編集部さん

第97回大会も、給水を見届けたいと思っています。
一日も早く、平穏な日がやってきますように。

この投稿を読んでくださった方々のご健康を心よりお祈りします。




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