恋は生きる活力になり得るか


隣に住んでいる男性は、夜になると、弾き語りを小一時間ほどした後にいつも眠りにつくようでした。割としっかりと聞こえてくるので、思わぬ観客がいるとは知らなかったと思いますが、私も寝る前に、歌ったりギターを弾いたりしているので、何だか仲間意識みたいなものが芽生えてきて、知ってる曲が聞こえてくると、慌ててコードを見つけて一緒に弾いてみたりしました。調子がいい時なんかは勝手にハモったりもしていました。そして今日も、いつもの心地のいい音が聞こえてくるはずでした。何故かギターを持った彼はそこには居らず、女性と楽しそうにテレビを見ている彼が居ました。いやもうテレビなんかもはやもう見ていません。終いには愛の営みが始まってしまいました。何故か目を手で塞ぎました。耳を壁にくっつけにいく手間がかからないほどの部屋の壁の薄さに、少し悲しくなりました。その一方で私は尾崎豊の l LOVE YOU を聴きながら、不透明な安心感に確かに包まれながら眠りにつきました。

その夜から、ギターの音も歌声も聞こえてくる事は無くなり、睡眠と引き換えに、微笑ましいような幸せなような呪いのような音だけが連日聞こえてくるようになりました。こんな生活の小さな憂鬱でさえも、豊の音楽は、優しさで全てを攫っていってくれます。豊に恋をしていて本当によかったと心から思いました。なんてったって17歳とゆう若さで軋むベットの上で優しさを持ち寄れた男性です。なんてロマンチスト豊。本当にカッコいいです。そういえば、隣に住む男性は何歳なんだろうか。二人の秘密を勝手に覗いてしまった気分で少し申し訳ないな〜 悲しい歌に二人の愛がしらけてしまわぬように、邪魔にならない適度なボリュームで愛の歌を隣人は歌いたいと思います。おやすみなさい。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?