怪獣コールセンター

はい、こちら怪獣コールセンター。怪獣ですか・星人ですか。慣れた口調で答えているのは昨年戦隊を退役したA氏だ。

「だいじょうぶです、落ち着いて。リゲル星人はコーヒー牛乳で酔っぱらう性質があります。近くの自動販売機で買って渡してみてください。すぐに隊員を向かわせます」

夜も更けてくると間違って開けられたワームホールから、ひょっこりやってきた星人の対応に追われることもしばしばある。しかし、そこは歴戦のA氏である。豊富な知識と長い隊員活動により獲得した経験で柔軟に対応している。

ある日、1隻の船が軌道に入ったことで国防総省からアドバイスを求められた。まだ接触したことのない星人だそうだ。彼らの船にはレーザー光線やミサイルの発射口にようなものも見受けられる。怪獣案件として対処します、そう言うとA氏は久しぶりに赤い戦隊服に袖を通すと、懐かしい高揚感に眉間に皺を寄せた。

軍艦を使って侵略目的でやってくる星人など滅多にない。こちらも然るべき船で接触を試みるよう課員に指示を出す。ファーストコンタクトを試みたが返信はなく、冷たい銃口だけがこちらを向いているのが確認できた。小型機を切り離して接近するA氏。

「こちらはA戦隊だ、目的を述べよ」

返事はない。近くで見るととても旧式の船のようだ。

「応答しろ、その船では侵略はできない。我々とのテクノロジーの差は明らかだ。投降しろ」

無線が入る。

「A隊員、彼らの星がわかりました。ここから200光年先の地球という小さな星です」

A氏は操縦していた8番目の手を4番目の耳にあてて無線を聞いた後、次の対応を考えていた。

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