【本紹介】養老孟司:バカの壁
□本
□メモ
*バカの壁について
「話せばわかる」は大嘘
例:出産の映像 —> ほとんどの女性には響いたが,ほとんどの男性は響かなかった.
わかった気になっている怖さ.
雑学を仕込むのと,実際に体験してわかるのとはわけが違う.
—> そもそも「わかっている」とはなんだろう?
ニュースでは伝わってこない,当事者,目撃者の感情などの情報がある.
それらの現実のディテールはわからない.
だから,「確かなもの」として宗教が生まれた.
人間にはわからない,世界のディテールを知った「神」を設けた.
—> 人間にとっての「正しい答え」を追求できるようになった.
—> 一方,日本は八百万の神がいて,そこには絶対的真実はなかったそう.
NHKなどのTVメディアなどは,
知らず知らずのうちに,私達に彼らの「客観的真実」を
「絶対的真実」であるかのように信仰させられている.
—> 汚職した悪いやつだ,吊るし上げろ,以上.
(実際に汚職した人の思いや,感情の揺れ動きはそこに反映されない.)
—> そこには思考停止があり,常識と雑学の混同が起こっている.
その人の世界によって,異なる常識が存在する.
科学は絶対的か?
地球温暖化の原因はCO2ガスの増加
(しかし,これは本来,単に1つの説に過ぎないものだ)
地球温暖化で確かなことは年々平均気温が上昇していること.
CO2の増加は1つの説にすぎないのではないか?
科学は多数決じゃない.
多くの学者がそう言っているから事実とはならない.
「科学的事実」と「科学的推論」は別物.
この違いを意識せよ.
科学的事実について.
真に「科学的事実」というものは,「反証されるかどうか」である.
例えば,
すべての白鳥—>白い
についてであれば,
白くない—>白鳥はいるか?
を考える.
科学的推論について
推論は可能性である.
普通,無事に自宅に帰れる可能性は限りなく高いだろう.
人に騙される可能性だってある.
だから,「何も信用できない」なんて悩む必要はない,すべて可能性なんだから.
カルト宗教に走る必要もない.
「すべて不確かというわけじゃない.」,可能性はほぼ100%の場合や,0%の場合だってある.
*脳の中の変数
入力されたら,何らかの行動になんらかの変化が起こる(変化しない場合もある).
(脳は入出力の関係を持つ.)
脳は計算機で,IQとか,EQは一つの定量化指標.
*個性を伸ばすという欺瞞
みんな同じ教育を受けて,同じゲームやテレビを見て.
個性を伸ばすことと矛盾している.
変わり者や病気と呼ばれる人こそ個性豊かでは?
つまり,個性を発揮することは周りからすると,迷惑になる.
個性や独創性を共通の教育目標にするのはリスク高い.
学者の世界も,個性を求められるけど,
「論文は英語じゃないと評価されない」とか
どこが個性なんでしょうね.
そもそも,誰が,研究者を評価しないといけないなんて決めたのか.
がんじがらめの「共通了解」に従いながら,
意味わからない「個性」を求めなくちゃいけない.
—> その組織にとって嬉しい「都合のよい個性」を発揮するということ.
・マニュアル人間
—> なんて,傲岸不遜な態度だろうか.
なぜなら,
「私自身,本当は個性があるけど,マニュアルがあればそのままその通りに従いましょう.」
という態度である.
なんだって,マニュアル通りにできるという,なんて全知全能な人間なのでしょうか.
—> マニュアル通りにできないのが普通の人間だろう.
—> 本来,仕事をしているうちに,コツがわかってくるものだ.
個性を求めることを想像してみよう.
—> 例えば,自分の個性として,「ペルシャ語」で話してみよう.
—> 誰も理解しない,聞かないでしょう.
—> 意識というのは,その社会,組織のもつ「共通性」を徹底的に追求するものである.
ぱっと個性的な人を考えると,スポーツ選手とか,有名人が出てくる.
—> 生まれた時点で備わった身体が「個性」なのである.
—> あとから,伸ばそうとするもんじゃない.
*万物流転・情報不変
ヘラクレイトス「万物は流転する」
人間で言えば,寝て起きたら,細胞が入れ替わったりして,別人になっているわけだ.
しかし,情報は不変だ.ちゃんと記憶はあるし,テープの録画は残っている.
「万物は流転する」けど,「万物は流転する」という情報は流転しない.
#読了日
22/08/08
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