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ハノイで読んで考えたこと

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こちらは自分の読書記です。ベトナムに関するものが多くなるかとは思いますが、その他中国に関してや、また全く違う分野の本についても、読んで感じたことを、書き綴っていきたいと思います。
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#読書

【読書記】「傀儡政権」と日越中仏の歴史が交わったハノイの瞬間

【読書記】「傀儡政権」と日越中仏の歴史が交わったハノイの瞬間

さて今回はまた読書記シリーズ、に加えて少しハノイ歴史探訪も入っています。今回読んだのはこちら、「傀儡政権 日中戦争、対日協力政権史」(広中一成・著)です。

「傀儡政権」側の人たちの思い「漢奸」(中国を裏切った中国人、売国奴)と自国民である中国人に罵倒されてまで、日本に協力して傀儡と呼ばれる政権を担った人たちは誰なんでしょうか?これは自分の素朴な疑問でした。著者も書いています通り、中国の歴史の中で

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【読書記】「低度外国人材」の送り先で読んだ『「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本』

【読書記】「低度外国人材」の送り先で読んだ『「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本』

4月末の連休から続く読書週間は、ベトナムにおける新型コロナ感染の再燃によりすっかり電子書籍「読書月間」。あちこちに行きづらいのはストレスたまりますが、これだけは唯一ステイホームの良いところでしょうか。

少し前の「【読書記】ハノイで読んだ「現代中国の秘密結社」とベトナムの秘密結社?」に続き、今回はまたしても安田峰俊さんの著作。そして舞台は日本ながら、ベトナム人に関することも多いと楽しみにしていたこ

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【読書記】「太平天国 皇帝なき中国の挫折」(そして黒旗軍へと…)

【読書記】「太平天国 皇帝なき中国の挫折」(そして黒旗軍へと…)

ゴールデンウイーク読書週間(もう月間?)読書記第三弾、今回はこちら「太平天国 皇帝なき中国の挫折」(岩波新書)です。

「秘密結社」大躍動、としての太平天国の乱「何でまたいきなり太平天国?」と思われるかもしれません。実は、こちら少し前にnoteで紹介した「現代中国の秘密結社」著者安田峰俊さんと、今回紹介する「太平天国」著者の菊池秀明氏が対談をしておりまして(以下ツイート先参照)、こちらを見て二つと

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【読書記】ハノイで読んだ「現代中国の秘密結社」とベトナムの秘密結社?

【読書記】ハノイで読んだ「現代中国の秘密結社」とベトナムの秘密結社?

再び感染拡大云々で少し騒がしくなっているベトナムなので、4連休から続いている「読書週間」。今回は発売以来読みたいなあと思いつつようやく今回手を付けられましたこちら「現代中国の秘密結社ーマフィア、政党、カルトの興亡史(中公新書)」を読んでみました。

いつも新刊が出るたびに楽しみにさせて頂いている安田峰俊さんの近著です。彼の著書に関するnoteは以下などもご覧ください。

アウトローとオーソリティー

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土葬の国で読んだ「土葬のある村」:日本とベトナムの土葬文化比較

土葬の国で読んだ「土葬のある村」:日本とベトナムの土葬文化比較

ある日ツイッターのタイムラインにふと紹介されていた、この本に目が引かれました。

土葬の村、少しおどろおどろしげなタイトルとカバーですが、ふっとその場で電子書籍版を衝動買い。というのも、実は最近ベトナムの身内に不幸があり、家族ともども悲しみに暮れつつ、至近距離でベトナムでの葬送文化に触れていたからです。そして土葬と言えば、ベトナムはまだ「土葬のある国」であるからです。

日本にもまだ(僅かに)残る

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「幸福な監視国家・中国」を読んで、ベトナムについても考えたこと

「幸福な監視国家・中国」を読んで、ベトナムについても考えたこと

夏休みの帰国を機に、ちょうど発売のこの本を読むのも楽しみの一つでした。今回はその読書録、そしてまたちょいとベトナムに翻って考えたことをお届けしようと思います。

監視されている人の視点からの「監視国家」検証「中国はカメラだらけで…」「新疆ウイグル自治区住民への監視は酷く…」というニュース報道は多くあります。その中で本著では、それを一見「進んで」受け入れているかのような中国の普通の人たちの行動を「功

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【読書記】ベトナムで読んだ『さいはての中国』(小学館新書)安田峰俊(著)

【読書記】ベトナムで読んだ『さいはての中国』(小学館新書)安田峰俊(著)

最近はすっかりベトナムにいる時間が長くなった私ですが、大学時代から中国に留学をし、更にさかのぼれば中学時代に三国志を読んで中国語を勉強し始めたという自分、隣国にいながらも、中国には常に関心を持っているところです。ただ近いとは言え、常にリアルで中国を感じられるわけではない在ハノイの昨今、今の中国をしっかり感じさせてくれる何人かの中国に関する書き手の中で、安田峰俊さんの著作は毎回好感を持って読ませて頂

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