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「買う」を遠ざけるものについて考える。

日常生活で、行動を細かく分析する癖をつけたくて(分析大好き)、いちいち自分の行動を俯瞰するよう心掛けているのですが、その中で「購買を遠ざけるもの」について気がついたことがありましたので、そのことを書いてみます。

たとえは、「飴玉を買う」とします。

いきなり本題です。「飴玉を買おう」と思ったとします。正直なところ「飴玉」は、日常生活でそこまで重要ではないケースがほとんどです。飴玉が今日無くても、まぁ生きていけますね。

私が飴玉を欲するのは、昨日しゃべりすぎて喉がイガイガするなーとか、小腹減ったけど固形物は食べたくない、飲み物もちょっと違うんだよな、飴でも舐めとくか。そういうときです。(好きです、飴ちゃん)

で、「今日は喉がイガイガするから飴玉を買おう」と思ったとします。そんなとき私は近所のスーパーかコンビニ、ドラッグストアで飴玉を買おうとします。

でも私はめんどくさがりやなので、近くにちょうどいいお店がなかったら「ま、いっか。今日は帰って紅茶にはちみつでもいれて飲むか。」と飴玉を買うこと自体をやめることもありそうです。飴玉を買いたいという気持ちはあるのに、わざわざ少し遠くまで足を延ばすまでではない。

たとえコンビニが視界に入っていても、大きな横断歩道を渡らないと行けなくて、信号がたまたま「赤」だったら、「あー、今日はもういいや」ってなるかもしれません。

信号がなくて歩道橋だけだったら間違いなく「やめとこ」となりそう。小雨がちらついていていたら「今日はやめとこ」となるだろうし、子どもの帰宅時間(お迎えの時間)が迫っていたらやっぱり「今日はやめとこ」となるでしょう。コンビニで飴玉を買うなんて、通常であれば数分あれば十分できることなのに、ジブン結構シビア。

ではここで、飴玉を売る側の気持ちになってみます。

飴玉を売る(製造)側になってみると、喉の不調(=飴玉が必要な状況)がある人物がいたら、これは恰好のお客様です。うちには自信作の商品があります。他社には負けないこだわり、効能、パッケージデザイン、もちろん味も。すべてに全力を注いで開発した自慢の飴玉。

きっと他の商品ではなく、うちの飴玉を選んでくれるはず。きっと。
…ただし商品棚の前に来てくれたら

そうなんです。まずニーズがあろうとなかろうと、お客様が、商品を並べている陳列棚の前まで来てくれたら、選ばれる自信がある。条件付きの自信。

昨日しゃべりすぎて喉がイガイガするので飴玉を買いたい私は、とてもめんどくさがりやで、飴玉が欲しい状況にあるのに、信号が赤だったり、歩道橋しかなかったり、小雨が降っていたり、子どもの帰宅時間が迫っていたりしたら、陳列棚の前まで行かないのです。ニーズを感じているのに、です。

これでは勝負が始まらない。せっかく自信作を引っ提げて挑んでいるというのに、売り場まで来てもらわないと選ばれるものも選ばれない、売れない。

赤信号のせいで、歩道橋のせいで、小雨のせいで、数分の時間ロスのせいで、他商品との比較にも到達させることができないままになるかもしれないのです。

こういう人がたった一人だったら「そりゃそんなこともあるよ。考えたって仕方ないじゃん。」と切り捨てることもできます。実際こんなことまでいちいち考えていたらやっていられない。

でももし、私みたいに欲しいのにめんどくさいと思う人が、一日5人いたとしたら、10人いたとしたら。もしも、もっといたとしたら。小さく商売をしている人たちにとっては、バカにできない機会損失になるかもしれません。

どうしたら、信号や歩道橋や小雨や子どもの帰宅時間などの万難を排してまで、商品の前に来てもらうことができるか。どうしたら試合開始に漕ぎつけれられるのか。

陳列棚までたどり着いたお客様に、どう選んでもらうかを考える人は多そうです。商売をしている人はおそらく全員考えているでしょう。

でも、そのまえに、商品棚までどうやって来てもらうか。どうしたら「今日はやめとこ」の壁を乗り越えて「やっぱり行こう」となってもらえるか。

時々は、そういう広い視点でお客様の購買行動をみてみるのも、いいかもしれません。

今日もどなたかのヒントになったら嬉しいです。


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