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連載(35):人類の夜明|人類法の制定「法の目的」

この記事は『かとうはかる(著)「人類の夜明」』を連載しています。

法の目的

法には目的法と手段法があります。

目的法は、衝突や争いを回避するルールを定めた、いわゆる信号のようなものです。

たいして手段法は、目的を成就させる方法論を定めたものです。

今日、交通事故を防ぐ目的法として交通規則がありますが、別に交通ルールを守らせる手段法として罰則が用意されています。

しかし本来法は、諌めの道具になってはならないのです。

ところが今日の法は、罰を全面に出し諌めることを主目的としています。たとえば刑罰を科す、罰金を収めさせる、といったふうにです。

要するに今日の法は、諌めの道具として使われ、犯罪をなくす道具にはなっていないのです。

それを端的に表しているのが刑法です。

刑法では人を殺してはいけません!、盗みをしてはいけません!、とは書いていません。

「暴行又ハ脅迫ヲ以テ他人ノ財物ヲ強取シタル者ハ強盗ノ罪ト為シ五年以上ノ有期懲役二処ス」

これは罪を犯すことを前提としており、罰を科すことによって犯罪をなくそうという、一種の威嚇法(おどし)なのです。

これでは犯罪がなくなるわけがありません。

犯罪も争いも人の心がつくり出すのですから、いかに刑法で威嚇しようと人の心の中に罪の種がある限り、いつか芽を吹き犯罪へと発展していくのです。

犯罪をなくしたいなら、罪の種をなくす方法を明確に示すことです。

人類法では人を罰する決まりはありません。

また国を罰する条項も用意されておりません。

あるのは、どうしたら犯罪をなくせるか、争いをなくせるか、その解決方法だけです。

つまり、目的を達成する手段としての仕法書(方法を書いたもの)があるだけです。

(つづく)

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