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連載(32):人類の夜明|政治目標

この記事は『かとうはかる(著)「人類の夜明」』を連載しています。

政治目標

「さて今日政治家は、一体何を目指して舵取りしているのでしょうか?。

『一国の政治は何よりも先ず自国の利益を考え、他のすべての動機はこの考えに従属させるべきである』、とする国家行動の基本準則がそれならば、何と悲しむべきことでしょう。

自国の利益を何よりも優先するなら、他国の利益は無視して構わないということになります。

そんな考えに立って政治を行うから、他国が飢えていても平然と見過ごせるのです。

国家は人であり、人は国家ですから、国家と国家は人の結びつきとなりましょう。

したがって、人道主義の精神が垣根を越えて貫かれなくてはならないのです。

それが我が国に不利益になろうとも、それが人道精神に適うなら、万難を排して事に当たるのが正義の政治ではないでしょうか。

それが、人種・言語・思想・宗教などの障壁を乗り越えてゆける唯一の方法なのです。

“これをしてくれたら、これをしましょう”

では、あまりにも心が貧しいのではないでしょうか?。

そんな醜い心で、どうして物事の解決が図れましょうか?。

本当に困っており、助けを必要としているなら、利害を越えて援助の手を差しのべるのが、人道政治・正義政治ではないでしょうか?。

“与えれば与えられる。与えてもらってから与える”

この違いは天と地の差があるでしょう。

したがって奉仕政治の第一番目の目標は、

『人道主義を貫き、相互扶助の絆を堅くする』

ということになりましょう。

次の目標は、

『人格を極める教育の充実』

ということになるでしょう。

宇宙心が体現化したものが人間です。

人間は人格形成を目的に地上に降り立ちましたが、これまでの地球は荒地でした。

その荒地で修行を積み、やっとここまで成長してきたのです。

ここから以降は、豊かな土地で修行したいものです。

そのためには、国家が率先して人格教育に加担すべきで、学校教育はその重責を担わねばなりません。

国家が率先してということは、取りも直さず政治家が率先して人格教育に当たれということで、これは政治家になった以上逃げられぬ宿命と思わなくてはなりません。

ところが今日、“人心向上(魂の向上)”を政策に掲げる政治家は、ただの一人もおりません。何ともお寒い限りです。

さて次の目標は、

『生活の充実と福利の増進』

でしょう。

この世は物質世界ですから、生きるためには物が必要です。

その物の生産をスムーズに行い、国民に健康で文化的な生活を提供するのは国家として当然の役務でしょう。

また、ただ生きるだけでは味も素っ気もありませんから、この世に生を受けた喜びも享受させねばならないでしょう。

したがって国家は、物質的かつ精神的喜びを整える、経済の充実と文化の創成に力を注がなくてはなりません。

さて次の目標は、

『法科学の充実』

ということになりましょうか。

“科学は人類に幸せをもたらすだろう!、”

との切なる願いをもってこれまで人類は科学の振興に力を注いできましたが、どうしたことかその科学が、今日人類を暗雲の下にさらしているのです。

これは明らかに、どこかに誤りがあったからに外ならないのです。

そうです。二面性の構造をもつ宇宙を一面性と勘違いし、物質科学だけに力を入れてきたところに誤りがあったのです。

これを解決するには、精神科学と物質科学をミックスした法科学の充実以外ありません。

それには、国家機関の中に精神世界を研究する特別班を設け、徹底してその解明に力を注がなくてはなりますまい。

もしこれによって法科学が花咲けば、今日に見る不都合はすべて解決されるでしょう。

さて最後の目標は、

『人類の使命と目的を知らしめる』

ことでしょう。

どの道を行けば良いのだろうか?、

人は分かれ道を前にして迷います。

それほど人は迷いやすいのです。

もし大きな力を持つ国家が道標を示せば、国民は迷うこと無く勇気をもって前進できるでしょう。

今日国は国民に、何処へ向かいなさいといっているのでしょうか?。

どのように生きなさいといっているのでしょうか?。

何もない、何とも悲しい限りです。

(つづく)

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