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連載(28):都市国家の使命

この記事は『かとうはかる(著)「人類の夜明」』を連載しています。

都市国家の使命

そもそも奉仕世界における都市国家は、『都市市民の生活は都市市民自らの手によって守り、できるだけ中央国家の手を煩わさないようにする』、といった前国家的発想から生まれたものです。

したがって、そこに独立国家としての固有の権能を持った政治形態を求めるようになるのは当然でしょう。

つまり地方という諸器官の正常な機能維持には、地方の実情にあった政治が行われるべきであり、それは国家の安定にも寄与するものであるから、できるだけ地方の働きを萎縮させない配慮が必要としたところから、国が持っていた許認可権限や事務権限をすべて地方に委譲し、更に立法権(人類基本法あるいは国法に抵触しない範囲で)も委譲して独立国家としての権能を高めたわけです。

こうして見ると、どうも国家の権威が失墜したように見えますが、地方の政治が円滑に行われ地域の人達が幸せになればそれが国家の権威ともなるのですから、都市国家を準国家的存在として認めるのは、何も国家の品格や権威を失墜させたことにはならないのです。

その都市国家の役目を要約すると、次のようなものになるでしょう。

① 奉仕議員を国会に送り、中央国家の体系を固める。
② 都市国家の融和を国の内外へ結ぶ。
③ 正しい情報の提供により、国民の意思・社会の意思・国家の意思の統一を図る。
④ 都市国家間の融和・協調・相互扶助を図り、相互の生活基盤を確かなものとする。
⑤ 国際協力を通して人和の輪を広げる。
⑥ 国民の奉仕労働力を有意義に活用し、有機的な都市生活機能を完成させる。
⑦ 徳育を通して人心を輝かせ、法教育によって人格を向上させる。
⑧ 文化交流の促進を図り、特色ある風土の上に理想の文明を築きあげる。
⑨ 自然の循環機能に即したエネルギーの安定供給を図り、自然との共生を確かなものにする。
⑩ 徹底した環境保護を行い、地球生命の大意に報いる。
⑪ 法科学の振興を図り、人類悲願の使命を達成する。
⑫ 福利の増進を図り、人生修行道に明りを灯す。
⑬ ほど良い娯楽を提供し、家に、街に、国に、地球に、笑いの声を響かせる。

人間は一人で生きられないようにできています。これは、一人で人格を磨くことは不可能との配慮から、神は人間を肉体的にか弱くつくられ、集団で生活するよう仕向けたからです。

人間社会はこのように、必然的用命によって生まれたわけですが、その人格を磨く舞台を奉仕世界では、都市国家という形で実現したわけです。

人類の目的がはっきりしている以上、都市国家の役目もそれに沿うのは当然で、それが前述した役目です。もちろん各都市国家の特色が、この役目の中に盛り込まれるべきですから、ここで述べた役目はあくまでも標準的な目標と思ってもらいたい。

都市国家の特色といえば、これは非常に深い意味合いが込められています。つまり都市国家の色、匂い、肌触り、これが人々を引きつけ引き離す要因となるからです。

したがってそこの住民たちの色、匂い、肌触りも、必然的に似通ったものになるのは避けられますまい。(類は類を呼ぶ法則により)こうして都市国家は特色ある様態を育むこととなり、それがまた住民の転入転出にも微妙な変化をもたらすのです。」

(つづく)

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