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ワインが連れて行ってくれる、想像の世界旅行

自由に移動ができないようになってから早1年半。ワインの仕事をしていると年に何回か海外のワイン産地に行ける機会がありますが、それももう懐かしいです…。

でも、ワインを飲む楽しさは、それを飲みながら造られた場所を想像すること。ワインごとに味は異なりますが共通する法則というのもあって、それを少し知ればこのワインはこんな場所で作られているんだな、ということが想像できます。

例えば、一番分かりやすい違いだと気温。日本国内で作られる他の果物で考えてみると分かりやすいのですが、九州のような温暖な地域では、マンゴーやパイナップルなどいわゆる「トロピカル」と言われる香りがある果物が多く、北の冷涼な地域ではリンゴなどそこまで糖度が高くない、どちらかというとすっきりとした風味の果物が多いです。

ワインの味と産地の風景がリンクすると、よりワインを飲むのが楽しくなります。
今回は、ワインの味と共に今まで訪問した世界の産地をご紹介したいと思います。旅行に行けるようになったら、ぜひワイン産地を訪ねてみてください!

破壊された岩石と容赦ない太陽。ダイナミックなフランス・ラングドック

ワインと言えばやっぱり最初に思い浮かぶ国はフランス。フランス南部にあるラングドックは、お手頃で飲みごたえのある美味しいワインが有名な産地。ワインを造っている畑もとても大きく、日本でのワイン造りとは全く規模が異なります。

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この土地の一番の特徴は岩石と強い太陽の光。ある本にラングドックの特徴は「破壊された岩石と容赦ない太陽」だと書かれており、行く前はそんな大げさなと思っていたのですが、行ってみると正にその通りの景色!ラングドックの太陽の光が強すぎて、帰国してからしばらくは日本の景色がセピア色に見えました。(大げさでなく)

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ラングドックのブドウ畑。ブドウの葉の緑と空の青のコントラストが強いです。

最初にも書いた通りラングドックのワインは果実味が濃く飲みごたえがありますが、それは太陽の強い光と水をほとんど溜めることのできない岩石が大きく関係しています。あの光と、日本の土のように水が溜められず、常に水が少ない土壌の状況によって凝縮したブドウになるのです。

そして凝縮感のある赤ワインはこちらもラングドックの名物である牛肉のタルタルがよく合います。日本ではなかなか生肉は食べられないので、この組み合わせがとっても恋しいです…。

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ラングドックのワインを飲む時、私はいつもあの太陽とカラカラの岩石を思い出し、生の牛肉が食べたくなります。

幻想的な美しい山間 オーストリア・シュタイヤーマルク

次にご紹介するのはオーストリアのシュタイヤーマルク。

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ワイン産地は、ほとんどが都市からかなり離れた場所にあるため、出張で都会にいくことはあまりありません。
シュタイヤーマルクもそうで、いわゆるオーストリア(恐らく多くの人がウィーンを想像すると思います)のイメージではなく、いくつもの山が重なりあっており、お目当てのワイナリーに行くまで何回か山を登ったり下りたりしました。

私が行ったのは7月下旬と夏真っ盛り。と言っても緑ばかりの山の上は涼しく、天気も少し悪かったので霧がかっていました。
この濃い緑と霧のコントラストがとても美しく、山の上ということもあり浮世離れした雰囲気でした。

この場所にあるのは「マリア&セップ・ムスター」というワイナリー。
当主のセップ・ムスターさんはこの場所で長年暮らしているからなのか、元々なのか分かりませんが、この場所の主に相応しい落ち着いた大らかな雰囲気。私はムスターさんの、大らかで静かで滋味あふれる、そしてしなやかなワインが大好きで、決して行きやすいとは言えない、むしろこんなに行くのに大変な場所まで行ったのですが、この場所に来てムスターさんとお会いした時に、この場所にいるこの人でないと造ることができないワインだと実感しました。

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ほとんど家族のみで造っているようなワインのため、生産量が少なくなかなか沢山の方に紹介できませんが、見つけたらぜひ試してもらいたいワインです。その時は、ぜひこの霧がかった美しいブドウ畑を思い出してもらえると嬉しいです。

まだまだご紹介したい場所はあるのですが、長くなってしまいそうなのでまた次の機会にしたいと思います。

ぜひ、皆さんも今まで訪ねたことのある場所のお酒を飲みながら、旅行気分を味わってみてください。

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