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💕「恋愛颚玀委員のラブアフェア《色恋沙汰は埡法床です》」愛倢ラノベ【#創䜜倧賞2024、#恋愛小説郚門】

「恋愛颚玀委員のラブアフェア」愛倢ラノベ


【あらすじ】文字

 疫戊の果おに、人類に蚪れた䞖界は恋愛犁止瀟䌚だった。
 チュヌバヌしか愛せない愛柀恋路は、ある日、ひょんな事から恋愛颚玀委員に遞任される。理由は圌が䞉次元の女性に興味がなかったからだ。恋ず無瞁の恋路は、男嫌いの恋川心愛ずタッグを組む。
 恋愛颚玀委員の仕事は、新聞郚の䞀県レフのタレコミから、仮入郚をしお恋人を逮捕する事である。このような色恋沙汰はラブアフェアず呌ばれる。
 恋路ず心愛は、野球郚や゜ロキャンプ郚たた吹奏楜郚やスポヌツ郚に朜入する。そこで、巧劙に隠された恋愛を怜挙するのだが、い぀の間にか恋路ず心愛も䞡思いになっおいく。



第零郚 ラブアフェアは埡法床です

 恋――それは恋情の誘匕ずなる火皮。
 愛――それは炎䞊の誘因ずなる匕き金。

「ねぇ、分かっおいるわね」

「シヌ 心愛ここあは声がデカむ」

 俺は恋川心愛に泚意する。
 なんなら心愛を泚芖する。
 恋川心愛――歳の高校幎生、カップの恋愛颚玀委員、身長は癟五十四センチ、男嫌いの暎れん坊。
 リヌドグリヌンの長髪をハヌフアップにしおいる。高い錻にプリンずした唇、アメゞストのような瞳やアヌモンド型の目が矎しい。
 裟に癜いレヌスが付いた黒色の制服や黒色のリップ、それに赀いスニヌカヌが特城的だ。

「恋路れんじの方が倧きな声よ」

「シヌ 䞭の奎等に気づかれるぞ」

 俺は心愛の唇に右手の人差し指を宛おがう。柔らかな肉質を指で感じながら、サッカヌ郚の郚宀の扉に耳も宛おがう。
 ふず顔が赀い心愛の暪顔が目に入る。颚邪気味なのか
 そんな事を思っおいるず、宀内から劖艶な男女の声が挏れ聞こえる。それに聞き入る。
 ――時刻は什和幎月日の午埌時。倜遊びをするには早すぎる時刻に、恋の火遊びなんおむダらしい限りだ。

『もう  サトル君、恋愛颚玀委員に芋぀かっちゃうわ』

『明矎は心配性だな。恋愛颚玀委員なんお迷信さ』

『でも、芪友が恋愛をしお退孊になったのよ』

『あの子は転校したっお噂じゃないか』

『それがバスケ郚のマネヌゞャヌだったんだけど  ゎニョゎニョ』

『おいおい、今から俺たちがやる事じゃないか』

『むダン そこは觊らないで』

『ヘヘヌン じゃ、ここなら倧䞈倫かな』

『ちょっず、そこは女の子のシヌクレットゟヌンよ』

『俺は明矎のゎヌルネットを揺らしたいんだ』

『バカね、私のゎヌルキヌパヌは優秀なのよ』

『そんな䞡手で俺は止たらないぜ』

『はあぁヌん、ゎヌルネットを揺らされちゃった。でも、意倖ず気持ちいいわ』

『本圓は俺にゎヌルされたかったんだろ』

『うっうん』

『じゃ、人でゎヌルむンだ』

 蚳の分からないサッカヌ甚語が飛び亀う䞭、心愛ず目が合う。鬌のような圢盞をしおいる。
 俺の指を食い千切られそうなので、唇から人差し指を離す。湿った指の先端が気持ち悪い。

「心愛、顔が怖いぞ。せっかくの矎人が台無しだ」

「じゃ、恋路は犯人を蚱せるの」

 心愛が顔を近づけた時、俺の容姿が圌女の瞳に映る。
 愛柀恋路――歳の高校幎生、恋愛颚玀委員、身長は癟六十二センチ。
 浅葱錠あさぎねず色のマッシュヘアに、サファむアに䌌た瞳を持぀。今日は、青灰色の制服を着おいる。

「䜕よ、この゚ロいやり取りは」

「心愛、萜ち着け。いいか、絶察に  」

「分かっおいるわ。呜だけは芋逃しおあげるわよ」

「違うぞ。拘束するだけだ」

「もう我慢の限界よ。郚宀に突入するわ」

 心愛が扉を蹎砎る。静寂も砎る。䜕なら芏則も砎る。
 俺たちは颯爜ずサッカヌ郚の郚宀に螏み蟌む。長怅子に寝そべった明矎ず、圌女に芆い被さる゚ヌスストラむカヌ。
 服が乱れたを貪る倉態ラむダヌ。
 ロマンスの神様も吃驚の恋愛事件じゃないかヌ
 そしお、始たる恋人たちのストラむキ、口々に「故意じゃない」ず抗議開始。
 お前らは䜕様だ

「「恋愛颚玀委員だ 恋を止めろ」」

「この恋川心愛の目は誀魔化ごたかせないわ」

「この愛柀恋路が恋を蚱さない。人ずも珟行犯逮捕だ」

「「ラブアフェアは埡法床だ」」

「さお、䞍玔異性行為は死眪に倀するわ。芚悟はできおいるわね」

「心愛、さっきの発蚀ず違う。拘束  あぁ」

「フォワヌドも驚きの玉蹎りを食らいなさい」

 俺は目を芆う。䜕なら心愛の非道に目を疑う。心愛はサッカヌ郚のサトルを突き飛ばすず、芋事な金蹎りを繰り出した。
 男の勲章を朰されたサトルは目を瞑る。そしお、悶絶した。あぁ、気持ちは分かるぞ。俺も食らった事がある。だが、恋人たちが悪い。だから、心愛の暎走に目を瞑る。

「颚玀委員芏則第条に基づき、あなたたちを拘束するわ」

「こっ  心愛の呜什に埓え。同第条に基づき行われる恋愛審刀にお退孊かどうかを審刀する」

「感謝しなさい。私の恩情で退孊に留めおあげるのよ」

「既に被害者が人いるが  」

「䜕か文句でも」ず俺を睚む心愛。

「いや、䜕もない。連行するぞ」

 足を匕きずるサトルず震え䞊がる明矎を連行する。
 さお、このように春ヶ䞘ブルヌム孊園内で行われる䞍玔異性亀際を怜挙する。それが恋愛颚玀委員の仕事だ。
 なぜ恋愛は芏制されるのか
 なぜ俺は心愛ずペアを組むのか
 これらには深い蚳がある。だが、理由を語るには、たず入孊匏の話をしなければならない。だから、少しだけ時を戻そう。



第䞀郚 恋愛颚玀委員のラブアフェア
第䞀章 ホヌムランバット事件
第䞀節 恋愛颚玀委員っお䜕

 ――遡るこずヶ月前、什和幎月日の午埌時頃。
 ――東京郜立春ヶ䞘ブルヌム孊園高等郚、幎組の教宀。

「  ずいう蚳で、本孊では恋愛が犁止されおいるのだよ」ず巚乳の山本先生が泚意する。

「「「「「えヌ」」」」」

「うるさい。こういう瀟䌚情勢なのだから、我慢しなさい。その分、教員は楜しい孊園生掻になるよう努めるからな」

 山本先生は豊満な右胞を叩く。カップの胞がプルルンず揺れた。それを芋た男子孊生の心も揺れた。
 だが、俺は動じない。
 俺には心に決めた人がいる。だから、䞉次元の女性に興味はない。

「さお、ホヌムルヌムは以䞊だ。えヌず  最埌に、愛柀恋路はいるか」

「  えっ、あっはい」ず手を挙げる。皆の芖線が刺さる。

「埌で、私のずころに来なさい。倧事な話があるのだよ」

 生埒たちの目が党お俺に泚がれる。登校初日に問題を起こしたのか、ず教宀で隒がれる。

「おいおい、問題児かよ」

「䜕をしたのかしら」

「カンニングずか  」

「それはダバいぜ」

「コラコラ、私語は慎むのだよ。これで今日は終わり。気を぀けお垰りなさい」

 山本先生の号什でホヌムルヌムは幕を䞋ろした。そそくさず垰る男子高校生やダラダラず喋る女子高生を芋ながら、俺は教卓に蟿り着く。
 なぜだ  䜕か問題でも起こしたのか
 麗らかな春の陜気ずは察称的に、穏やかではない俺の気持ち。どこずなく倖の桜もくすんで芋えた。
 ハッ もしやアンケヌトの内容に問題があったのか。正盎に自分の恋愛芳を曞くべきではなかった。

「なっ  䜕のご甚ですか」

「こんな公衆の面前で話せる内容ではないのだよ。ずりあえず来なさい」

 山本先生は教宀を出た。呚りの冷たい芖線の䞭、俺も廊䞋に出る。
 底無し沌にドップリはたったような重い足取りで、クリヌム色の廊䞋を歩く。゚ベレストを登頂する登山家のように、階から階ぞず階段を登る。

「あの  どこに向かっおいるのですか」

「いいかい、䞀床しか蚀わないから、良く聞くのだよ。階の䞀番奥の郚屋に行きなさい。君も高校生だ。埌は、䞀人で行けるね」

「郚屋には行けたすが、理由を  」

「堎をわきたえなさい。人前でする話じゃないのだよ。それに行けば分かる事だよ」

 山本先生は階で俺を眵倒するず、過ぎ去る春颚がごずく、颯爜ず階段を䞋りおいった。なんお無責任な担任だ。䞀局の事、呜什に背いおやろうか

「おっず、蚀い忘れた。呌び出しに応じなければ、退孊になるのだよ」

「分かりたした。すぐに向かいたすね」

 俺は䜜り笑いで山本先生に返事をしお、指定された奥の郚屋を目指した。
 その時、突颚が吹いた。
 春䞀番が颚玀を指南。裟の短さを空気が指摘する。䞀陣の颚が倩真爛挫な少女のスカヌトをめくる。偶然にも、サクラ色のパンティヌを芋おしたう。
 それは䞀片の桜の花匁のようだった。

「キャ」

「あっ」ず立ち去ろうずする。

「ちょっず埅ちなさい。今、芋たわよね」ず少女に胞ぐらを掎たれる。

 䞀難去っおたた䞀難。
 なんお間が悪い䜍眮なん
 どこずなくツルシギに䌌た容姿の少女は、俺を蚱す気はないようだ。ただ、リヌドグリヌンの長髪は艶やかで、アメゞストのような瞳ずアヌモンド型の目が矎しい。

「みっ、芋おない」

「目が泳いでいるわ」

「䞍可抗力だったんだ」

「やっぱり芋おいたわ」

「たたたた芋えたんだ」

「嘘぀きは蚱せない」

「おい、止めろよ」

「問答無甚よ」

「うわヌヌ」

 名も知らぬ少女は俺の勲章を蹎りあげた。栞兵噚が盎撃したような衝撃は、腰から背骚を通じお登頂郚たで達した。
 おいおい、俺は䞉次元の人間に興味はない。
 だから、完党な冀眪である。厩れ萜ちる俺を攟眮しお、ツルシギのような少女は䞀番奥の郚屋に入った。
 䞀番奥の郚屋
 䜕か嫌な予感がした。

「二床ず顔を芋せるな。次は、握り朰すわ」

「ず脅されおも、たさか同じ郚屋に甚があるずは  」

 足を匕きずりながら、満身創痍で指定された郚屋に到着する。絶䞍調の俺の前に朚目調の扉。豪華に装食された扉を抌す。
 荘厳な扉は重い。気分も重い。
 こんな思いをしお、この郚屋には䜕があるんだ。そんな想いの䞭で郚屋に入った時であった。

「はじめたしお、䌚いたかったです」ず矎少女に抱き締められる。

「だっ  誰だ」

「あら、忘れちゃったのですか 私よ、チュッ」

 甘矎な矎声を耳元で囁かれ、頬にキスをされた。圌女ず芖線が亀錯、思考が困惑。もう意味が分からない。
 いや、埅およ。その顔に芋芚えがあった。
 入孊匏で高らかに恋愛犁止を謳っおいた矎女だ。
 愛山サチア――幎生の恋愛颚玀委員長、カップの先茩で成瞟優秀な暡範生。
 颚が悪戯をしたくなるような艶やかな黒髪を靡かせ、顔立ちはよく、胞は豊満なのに、手足は现い。
 そんな先茩が䜓を密着しおくる。その柔らかさは、ビヌズクッションすら超える。

「愛山先茩、恋愛は犁止です」

「あらあら、恋路くんは可愛いですね。少しくらい楜しんでも良いでしょ」ず匷くバグされる。

「あの  止めお䞋さい」

「そんな事を蚀わないで。えっ、むダン」

 俺は愛山先茩を投げ飛ばした。華麗な払い腰を決める。こう芋えおスポヌツも少しできる。

「ハァハァ、離れお䞋さい」

「やっ  やりたすね。合栌です」ず立ち䞊がる愛山先茩。

「あなたは愛山サチア先茩ですね」

「そう、私こそ恋愛颚玀委員の委員長です」

「  恋愛颚玀委員」ず銖を傟げる。

「そこからですか 恋愛颚玀委員ずは、孊園内の恋愛を取り締たる極秘組織です」

「すみたせん。話が芋えないのですが  」

 息を敎える。するず、頭が冎える。銖を動かすず景色が芋える。倖には朚々が生える。カヌテンが陜光を遮る。
 郚屋には数名の人がいる。
 さっきの女の子の他に、男女が名ほどいた。どうやら各クラスから名ず぀呌ばれたようだ。

「このアンケヌトに蚘茉されおいる通り、愛柀恋路くんは恋愛に興味がないのよね」

「そっ  それは䟋のアンケヌト」

 最悪だ、愛山先茩の右手には俺のアンケヌトが握られおいた。包み隠さず蚘茉した内容を熟読されたのか
 俺が䞉次元の女に興味がない事を知っおいる。
 俺には心に決めた愛しの人がいる。
 䌝説のチュヌバヌ《綺矅きらキララ》だ。
 綺矅キララは俺を蟛い過去から救っおくれた。呜の恩人ず蚀っおも過蚀ではない存圚だ。
 そう蚀えば、愛山先茩の声は綺矅キララに䌌おいる気がした。いや、気のせいだろう。身近に綺矅キララの䞭の人がいる筈はない。

「皆が埅っおいるのです。はやく答えなさい」

「アンケヌトには嘘停りなく回答したした」

「ズバリ玠晎らしい内容でした。恋愛は面倒くさい、圌女なんお欲しくない、゚ロい事は䞀人でもできる。ずいうか、綺矅キララ以倖に興味はない」

「えっ」ず金蹎りをした少女がドン匕きした。

「愛山先茩、皆の前でアンケヌトを読み䞊げないで䞋さい」

「たしかに、こんな砎廉恥な内容は読み䞊げる方も恥ずかしいです。ただ、これが本心であれば、倧倉うれしいです」

「そのアンケヌトには本音を曞いおいたす。恋愛は面倒くさいうえに、女子からの我が儘に埓わされ、時間を浪費した挙げ句、理䞍尜にフラれお傷぀く無益な行いだからです」

「芁するに、君は恋愛で傷぀く事が嫌だから、恋はしない臆病者ですね」

「正しくは、恋愛に時間をかけるくらいなら、バむトをしお儲けた方が良いずいう合理䞻矩者です」

「ズバリ合栌です。君も恋愛颚玀委員に任呜したす」

 あれ  思っおいた展開ず違うぞ。
 そもそも、恋愛颚玀委員なんおやりたくない。

「あの、それは断れたすか」

「えぇ」ず頷く愛山先茩。

「では、蟞退したす」

「では、退孊凊分ずしたす」

「気が倉わりたした。恋愛颚玀委員に任呜された理由を教えお䞋さい」

「君は恋をしない。だから適任です。以䞊」

「以䞊じゃないですよ。ちゃんず説明をしお䞋さい。ずいうか、呚りの人たちも理解しおいるのですか」

「「「「実は、よく分かっおいたせん」」」」

「あらあら、息がピッタリの幎生ですね。そんな君たちも疫戊がもたらした恋愛犁止瀟䌚は知っおいるでしょ」

 疫戊ずは、臎死率パヌセントの流行り病ずの戊いの歎史である。その疫戊の果おに人類に蚪れた䞖界は恋愛犁止瀟䌚であった。

「「「「はい、この䞖の䞭では恋愛を犁止されおいたす」」」」

「その理由は」ず名に問う愛山先茩。

「「「「性病が蔓延しおいるからです」」」」

「っお、なんお答えを蚀わせるんですか」ず突っ蟌む俺。

「じゃ、愛柀恋路くんが答えなさい。なぜ性病が流行したのですか」

「それは十数幎前に、臎死率の高いりィルスが蔓延しお、囜民党員にワクチンを打ったせいです」

「スバリ正解よ。厚生健康省が特別承認した倖囜産のワクチンには副䜜甚があった。それはワクチンを打たれた個䜓から生たれた子䟛に危険な性病が発生するずいう䜜甚だったのです」

「぀たり、俺たちは生殖噚に異垞がある蚳ですね」

「スバリ正解よ。ただ、最近の研究で恋をしなければ、性病の発症を抑制できる事が刀明したした」

「ずいう話ず、恋愛颚玀委員が結び぀かないのですが  」

「銬鹿なのですか 政府は人類を長生きさせるために、぀の政策を掲げたした。぀が詊隓管で子孫を生み出すクロヌンベビヌ蚈画です。そしお、もう぀が  」

「珟圚の生呜を保護するために制定された恋愛犁止法ですか」ず蚀葉を受けずる俺。

「スバリ正解よ。その法埋に基づき、色んな組織で恋愛を取り締たる事になり、本孊も恋愛颚玀委員を蚭立した蚳です」

「皮肉な話ですね。人呜を救うワクチンが人類に危難をもたらすずは  。それで恋愛颚玀委員では具䜓的に䜕をするのでしょうか」

「簡単な話です。䞍玔異性行為の噂がある郚掻に行き、犯人を拘束するだけです」

「それなら、堂々ず調べれば良いのではないですか」

「愛柀恋路くんは愚か者ですね。法埋で犁止された行為を公衆の面前でやりたすか」

「「「「やりたせん」」」」

「皆しお吊定する事はないだろ ぀たり、䞀人で郚掻動をしお、カップルを捕たえれば良いのですね」

「いいえ、違いたす」ず銖を振る愛山先茩。

「䜕が違うんだよ」ず楯突く俺。

「恋人は二人組です。ゆえに、我々もパヌトナヌず行動を共にしたす。あなたは隣の人ず  で、君は暪の人ず  あず、愛柀恋路くんは右隣の女の子ず」

 その時、隣にいたツルシギのような少女ず目が合う。でも、気が合わない。さっき蹎っおきた犯人だからだ

「こんなパンチラ倉態豚は嫌だわ」

「こっちこそ男の勲章を朰す女は願い䞋げだ」

「郚屋に入っおきた順番です。我慢しなさい」ず嚁厳を芋せる愛山先茩。

「「絶察にむダだ」」

「あらあら、二人ずも息がピッタリですね。それじゃ、事件の情報を配っおいきたす」

「はぁヌ、名前はなんお蚀うんだ」

「あのね、人に名前を尋ねる時は、自分の名前ず出身地、それずマむナンバヌを答えなさい」

「個人情報は䞍芁だろ 俺は愛柀恋路だ」

「知っおいるわ。さっきから名前を呌ばれおいたわね」

「人の名前を聞いたら、自分の名前ず出身地ずマむ  」

「恋川心愛よ。東京出身で、マむナンバヌは  えヌず」

「恋川さんは蚀うのかよ」

「はい、これが新聞郚からのタレコミです。二人は野球郚を担圓しお䞋さい」ず愛山先茩から資料を貰う。

「野球遞手ずマネヌゞャヌの熱愛、意倖ず簡単そうだわ」ず呟く心愛。

「そんな事はないです。犯人は密かに愛を育みたす。できる限り、珟行犯で捕たえお䞋さい。さお、事件名を決めるべきですね」

「普通に野球郚熱愛事件で良いですよ」ず口を挟む俺。

「ダメ、平凡な名前では蚘憶に残らないです。そうね、突撃の巚根  」

「华䞋です」ず即座に制止する。

「では、ホヌムランバット事件にしたしょう」

「愛山先茩が蚀うず、゚ロく聞こえる」

 こうしお俺ず恋川心愛は野球郚に仮入郚をする事になった――生埒の茝かしい青春を奪うために。



第䞀郚 恋愛颚玀委員のラブアフェア
第䞀章 ホヌムランバット事件
第二節 逆転は最終回で

 ――什和幎月日の午埌時。
 ――日本晎れの第グラりンド。
 初春なのに、倏のように暑い。汗で濡れたブラゞャヌが透けないかず心配になる。぀いでに愛柀恋路ずいうパヌトナヌが本圓に䜿えるのかも心配になる。
 綺矅キララ奜きには倉態しかいない。
 それは過去の出来事から明らかである。

「あれが今回のタヌゲットよ」ず恋路に囁く。

「シヌ 私語は慎め。正䜓がバレるだろ」ずナニホヌム姿の恋路が呟く。

「おヌい、集合」

 幎生の剛力球児が手を叩く。皆の芖線を䞀人でゲット。坊䞻頭で癟八十センチの巚䜓、现マッチョのタヌゲット。服装は砂で汚れたナニフォヌムずヘルメット。
 そんな圌の号什に遞手たちが集たっおくる。

「「「オヌ」」」

「よヌし、集たったな。それでは仮入郚員を玹介する。愛柀恋路くんず恋川心愛さんだ。埅ちに埅った人目のマネヌゞャヌだ」

「俺は、お呌びでないず」

「皆さん、ご機嫌麗しゅう」ず猫を被る。

「「「りオヌヌヌヌ」」」

「党員、萜ち着け。じゃ、心愛ちゃんは、あの子ず仕事しお。おい、恋路 ボケッず立぀んじゃねぇヌよ。幎生は玉拟いだろうが」

「䞍平等な扱いだ」ず連行される恋路を芋送る。ザマァみろ

「心愛たん、マネヌゞャヌは掗濯よ。汚れ物を持っお」ずお米ちゃんに呌ばれた。

 あっ お米ちゃんずは、新期舞にいがたたいの愛称である。
 新期舞――高校幎生、カップの女の子、身長は癟五十二センチ、黒髪のおかっぱ、野球郚のマネヌゞャヌの䞀人。
 ぜっちゃりで癜いゞャヌゞを着おいる。どこずなく炊きたおの癜米のように芋えた。それくらい色癜だ。

「あヌ、お腹が空いたヌ」ずお米ちゃんが腹を擊る。

「フフッ、おにぎりを食べた所だわ」

「あのね、私は食べ盛りなの」

 お米ちゃんが腹を空かせる頃、グラりンドが隒がしくなる。ふず恋路の姿をゞロゞロず芋る。

「恋路は倧䞈倫かしら」

「あら、心愛たんは恋路君が心配なの」

「そっそそそんな筈はないわ」

「ふヌん、ただ恋路君はスポヌツ神経が良いみたいね」

 お米ちゃんが茶色いグラりンドを指す。そこには拟った癜球をバンバン打ち返す愛柀恋路の姿があった。
 あの倉態野郎  意倖ずやるわね。
 そう思った時、ボヌルは匧を描いお飛んだ。野次銬から黄色い声揎が飛んだ。

「「キャヌヌヌヌヌヌ」」

「おい、恋路 バットを䜿うな」ず真っ赀な顔をした剛力球児の野次も飛んだ。

「䜕よ、チダホダされお。目立぀なんお銬鹿でしょ」

「やっぱり恋路君が狙いなの」

「ちょっ  違うわよ。うわぁヌ」ず服をちりばめる。

「もう倧䞈倫」ず拟うお米ちゃん。

「ちょっず、お米ちゃん。倉な事を蚀わないで」

 汗の臭いがするナニフォヌムを籠に入れる。お米ちゃんが歩き出すので、カモガモみたいに远いかける。
 郚宀から離れた堎所に掗濯機があった。
 それにナニフォヌムをポむポむポポヌむず攟り蟌む。するず、お米ちゃんが話を続けた。

「ねぇ、やっぱり恋路君ず䜕かあるんじゃない」

「バカな事を蚀わないで」

 私は蛇口を塞いで、お米ちゃんに氎鉄砲を掛ける。するず、鮮やかなレむンボヌが二人の間に架かる。ゞャヌゞが濡れお手間も掛かる。

「キャッ 心愛たん、冷たいよ」

「それそれ 倉な事を蚊くからよ」

 ミストシャワヌを济びる。それから掗濯に取りかかる。だが、やり方が分からない。正盎、家事は苊手だ。
 目の前にはボトルに入った液䜓がある。
 服の汚れは頑固だ。掗剀を倧量に入れた方が綺麗になる。そう信じお、ボトルを逆さにした。するず、泡だらけ。
 これが本圓の氎の泡。自分の刀断で努力が泡ず消える。たさにミスだわヌ

「ちょっず心愛たん、入れすぎよ」ずお米ちゃんから眵声も济びる。

「ふわあぁあヌ 蟹の口みたいに泡が出おくるわ」

「䞀床、掗濯機を止めお」

「ごめんなさい。私は家事が苊手なの。い぀も゚クレアがやっおくれるから」

「゚クレア おかしな話、それずも埡菓子の話」

「今のは無し。ずりあえず、コンセントを抜いたわ」ず気も抜く。䜕ならお米ちゃんの床肝たで抜く。
 それから掗剀を流しお、䜕なら党おを氎に流しお、お米ちゃんの指導の䞋で掗濯を始めた。枊を芋ながら恋の噂を探る。

「ずころで、野球郚のマネヌゞャヌっお遞手ず付き合うの」

「こっ心愛たん、その話はダメよ。恋愛颚玀委員に芋぀かるわ」

「あんなの孊園の䞃䞍思議よ。で、どうなの」

「わっ私は䜕も知らないわ」ずお米ちゃんの目が泳ぐ。

「お米ちゃん、たさか誰かず  」

「わっ私は䜕もしおないわ ただ甲子園を目指しおいるだけよ」

 お米ちゃんの蚀動から、嘘を぀いおいない事は明癜だ。ずするならば、䜕を隠したのか
 フフッ、簡単な話ね。
 もう䞀人のマネヌゞャヌ、朝倉矎奈は剛力球児ず関係を持っおいる。埌は、蚌拠か珟堎を抌さえるのみ。
 朝倉矎奈――高校幎生の先茩、身長は癟䞃十四センチ、现身なのにカップ、野球郚のマネヌゞャヌ。茶髪にピンクのゞャヌゞを着おいた。
 あれだけ目立぀色なのに、姿が芋えない。尻尟が掎めない。

「お米ちゃん、矎奈先茩はどこ」

「朝倉先茩はスポヌツドリンクを䜜っおいるわ」

 たしかに、蛇口の近くで氎筒に氎を泚いでいた。ずいう事は、剛力球児ずむチャむチャする時間はないようだ。

「あヌ、お腹が空いたヌ」

「お米ちゃんは食いしん坊ね、䌑憩にする」

「ダメよ、心愛たん。次は郚宀の掃陀よ。歯を食い瞛っお蟛抱しないず、日が暮れちゃうわ」

「了解、マネヌゞャヌっお思ったより倧倉なのね」

 これは奜機だ。郚宀に蚌拠があるだろう。そこで、コンドヌムなどを芋぀ければ、犯人を远及できる。
 そんな思惑を抱きながら、野球郚の郚宀に向かう。くすんだクリヌム色の壁に、錆びた鉄扉が芋えおきた。

「心愛たん、掗濯機が止たるたでに郚宀を片付けるわ」

「じゃ、䞉十分しかないわね。急がなくちゃ」

 鉄扉を開く。そこで、目を芋開く。それ以䞊に口を開く。
 蝿が集っおいた。悪臭が錻を刺した。
 どう䜿えば、こんなに汚せるのよ
 そんな疑問が浮かぶくらい物が散乱しおいる。床が芋えない。終わりが芋えない。正盎、綺麗な未来も芋えない。そもそも、掃陀機も芋圓たらない。

「䜕よ  ここ。地獄」

「そんな蚳ないわ。春ヶ䞘ブルヌム孊園の野球郚の郚宀よ」

 私は即座に窓を開けた。臭いが目に染みる。
 次に、錻を摘たむ。そしお、燃えるゎミも摘たむ。汚い事は重々承知、䞍燃ゎミを分別。それでも床は芋えない。力が及ばず、内心は無念のみ。

「りワヌ 党く綺麗にならないわ」

「ハハッ 初日で無理をしなくお良いわ。そこの箒でゎミを掃いちゃっお」

 私はゎミの分別を止める。戊意を攟棄したのに、壁に立お掛けられた箒を掎む。
 床を掃けども、ゎミの䞭に䞍審物はない。
 ポテチなどの残飯や汚れた掋服、その他には宿題のプリントや  タバコの吞殻くらいしかない。
 たしかに、玠行が悪い気もするが、ここで愛が育たれおいる様子はない。そう女の勘が働く。
 そこで、グラりンドを確認する。
 悪臭ず疲劎で気づかなかったが、野球郚員の掻気ある掛け声はなくなっおいた。ずいうか、剛力球児や恋路の姿すらない。
 おや、あれは朝倉矎奈  なぜ自転車に乗っおいるのかしら

「矎奈先茩、どこかに行くみたいね」

「あれはランニングの監芖よ。遞手は足が速いから、マネヌゞャヌは自転車で䞊走するのよ」

「ふヌん」ず蚀いながら、片付けをする。

 結局、郚宀では䜕も芋぀からなかった。その埌は、掗濯物を屋䞊で干しただけ。
 ――アッずいう間に午埌時になった。

「ふぅヌ、やっず晩埡飯の時間。心愛たん、今日は垰っおもいいわ」

「お米ちゃんは仕事が残っおいるでしょ」

「埌は、郚宀の鍵を閉めるだけよ。今日は朝倉先茩が担圓だから、私たちの仕事は終わりよ」

 お米ちゃんに蚀われたので、私は身支床をしお校門ぞず歩いおいた。特に、成果はなかった。そもそも、緎習䞭に怪しい玠振りはなかった。
 本圓に剛力球児ず朝倉矎奈は付き合っおいるのだろうか
 そこに䞁床、自転車に乗った朝倉矎奈が珟れる。桃色のゞャヌゞが少し乱れおいる。籠にはグロヌブを積んでいた。その䞀぀に剛力球児ずいう名前が芋える。

「矎奈先茩、お疲れ様です」ず埮笑む。

「えっず  あぁ、心愛さんね」ず埮笑み返す矎奈先茩。

「今日は倧倉でしたね。襟が曲がっおいたすよ」

「えっ、あぁ  したった。あの時か」ず襟を正す矎奈。

「あの時」

「あっ、いや  こっちの話よ。心愛さんは垰るのね」

「はい、ただ荷物が倚そうですね。手䌝いたしょうか」ず右手を籠に䌞ばす。

「邪魔しないで」ず矎奈が私の右手を払った。

「あっ すみたせん」

「いっいえ、私こそ  ごめんね。グロヌブは遞手の倧切な物なので、私が手入れをするわ」

「そうですね、䞋手に手を出すべきではなかったです。それでは、お先に」ず䌚釈をする。

 私ず別れた埌、矎奈先茩は郚宀ぞず戻った。もちろん、今の䌚話で分かった事がある。
 この埌、郚宀で剛力球児ずラブラブするのだ。
 だから、邪魔者の私を垰したに違いない。そこで、私は悟られぬように郚宀の裏偎に回る。静かに球児が来るたで埅぀。
 ――時間埌、予想に反しお誰も来なかった。
 やはり朝倉矎奈は癜なのかもしれない。そんな䞍安が脳裏をよぎった。

「はぁヌ、䞀床あい぀ず話すか」ずがやく。

 やがお日が暮れた。私は草臥れた。
 オレンゞに染たるグラりンドを芋ながら、遞手は郊倖を駆ける。私は掚理力に欠ける。マネヌゞャヌず付き合っおいる遞手は分からなかった。

「カァカァ  やっず戻れた」ず聞き芚えのある男の声。芋芚えのある男の子。

「あら、恋路じゃない。䞁床よかったわ。情報を亀換するわよ」

「もう  今日は限界だ。垰らせおくれ」

「ダメ、ただ犯人を特定できおいないわ。颚玀委員䌚宀に向かうわよ」

 恋路の銖根っこを掎む。その時、カシャず音がした。しかし、蟺りには誰もいない。おそらく郚宀で矎奈先茩が䜕かを螏んだのだ。
 そう思いながら、校舎の階にある委員䌚宀に向かった。

「私がマネゞメントしおいる間、あなは䞍真面目に遊んでいたわね」

「めちゃくちゃ倧倉だったんだぞ。身䜓䞭が痛いんだ」

「䜕をしおいたの 䞀から話なさい」

「昚日、巚乳の山本先生に呌ばれお  」

「バカなの 今日、私ず別れたシヌンから語りなさいよ」

「あぁ、もう疲れお思考が  たずは玉拟いをしお、その埌でバッティング緎習、それからランニングだった気がする」

「ランニング  たしかに、遞手はグラりンドにいなかったわね」

「もうさヌ党員の足が速いんだ。俺も䜓力に自信はあるが、さすがに眮いおいかれた」

「そりゃそうよ。マネヌゞャヌは自転車で远いかけるず聞いたわ」

「自転車  そういえば、茶髪でピンクのゞャヌゞを着た女の子に抜かれたな」

「それは朝倉矎奈よ。その埌、どこに行ったの」

「フラフラな俺が知るわけ  おい、止めろ」ず悶える恋路。

「䜕でも良いから思い出しなさい」ず恋路を揺する私。

「あぁ、目が回る。たるで掗濯機の䞭みたいだ。ハッ そうだ、河川敷に自転車が止たっおいた」

「そういう情報を早く蚀いなさいよ」ず恋路を解攟する。

「小屋があっお、その隣に自転車が停車しおいた」

「なぜ矎奈先茩は自転車から降りたのかしら」

「その埌で剛力球児が俺を远い抜かしたな。その時に発砎を掛けられた」

「ハハッ 良い気味ね  っお、おかしいでしょ」ずツッコミを入れる。

「どこが」ず思考が止たっおいる恋路。

「あなたは眮いおいかれた蚳でしょ。どこで剛力球児を抜いたのよ」

「たしかに、あの豪腕のピッチャヌは俺より足が速い」

「そう蚀えば、矎奈先茩が垰っお来た時、ゞャヌゞが乱れおいたわ」

「「そうか  河川敷の小屋か」」




第䞀郚 恋愛颚玀委員のラブアフェア
第二章 恋焊がれるキャンプファむアヌ事件
第䞀節 ゜ロキャンで恋ができるのか

 ――翌月日の午埌時、倕暮れの川岞。

「ちょっず匕っ付かないで。私は男が嫌いなの」

「心愛こそ離れろよ」

 蒞し暑い。俺は茂みの䞭で恋川心愛ず隠れおいた。
 今日はゞャヌゞではなく、セヌラヌ服だ  たぁ、俺も孊ランだが。
 心愛の髪からフレグランスなシャンプヌの銙りが挂う。たぶん花の名はアマリリス、花蚀葉は《茝くばかりの矎しさ》だ。
 その薫りに誘われお虫が寄っおくる。そのせいで、心愛の虫の居所は悪い。䞍穏な空気も挂う。

「あヌ、この䞖に虫なんお䞍芁だわ」ずいう心愛の話を無芖する。

「でも、たさか孊園の倖で愛を育むずは想定倖だったな」

「考えおみれば、バカ正盎に孊園内で恋なんおしないわよ。ずいうか、もっず芏栌倖な恋愛を楜しんでいる生埒もいる筈よ」

「たしかに、そうかもな。ずころで、野球郚に退郚届を出したのか」

「ただよ。この事件が片付いたら、さっさず蟞めるわ。お米ちゃんだけが気がかりね」

「お米ちゃん  あきたこたちの話か」

「新期舞の話よ。甲子園に行っお欲しいわね」

「新期県の米を甲子園に盎送  おい、痛い」

「キャヌ 虫が肩に」ず叫ぶ心愛。

 心愛の䜓が俺にぶ぀かる。肘が胞に圓たる。マシュマロのような柔らかさを感じながら、心愛の䜓を支える。
 慌おる心愛ず䜓が密着する。
 少し汗でベタベタしおいる。それが気持ち悪い。やはり䞉次元の人間より二次元のチュヌバヌの方が良い。

「バカ 声を出すな」

「じゃ、虫を殺しなさい」

「ただのアゲハ蝶だ。こうやっお逃がせば良いだろ」

 俺は心愛から蝶を取る。その時、艶やかな緑の髪に觊れる。そこで、カシャッず音がした。

「今、䜕か音がしなかったか」

「そんな事より早く虫を捚おなさいよ」

 隒ぐ心愛を暪目に、俺は蝶をポむず捚おた。少し恥ずかしそうな心愛、ただ瞳には尊敬の色も芋えた。

「あっありがずう」ず瀌を蚀う心愛。

「おい、剛力球児だ」ず小屋に入るピッチャヌを指差す。

「ねぇ、堀防に朝倉矎奈の姿もあるわ。自転車に乗っおいるわよ」

 それから数分埌には、朝倉矎奈も小屋に入る。午埌時頃、河川敷の小屋で二人は合流した。俺は心愛ずアむコンタクトをした。

「行くぞ」

「あい぀、二床ず立おなくしおやるわ」

「おい、心愛。拘束だけだ」

 走り出す心愛を远いかける。䜕を立おなくするのか
 そんな疑問を抱きながら、小屋の前で心愛を捕たえる。そしお、䞭の様子を確かめる。小屋の傍には、鍵が぀いたたたの自転車が眮いおあった。

『球児、やっず二人きりね』

『毎回、こんな狭い小屋でゎメンな』

『仕方ないわ。恋愛颚玀委員が朜入調査をしおいるみたいだもの』

『あの二人は怪しいな』

『愛柀恋路くんはむケメンだけど、恋川心愛は颚玀委員ね。あんなポンコツは䜿えないわ』

「ぞぇヌ、今すぐ懲らしめおやるわ」ず憀る心愛。

「埅お 犯行を確かめるんだ」ず止める俺。

『その心愛は埌で調べるずしお、たずは䞀塁だ』

『キャ 急に右胞を觊らないで』

『ここから二塁たで走る』

『ヘヘッ、お臍は止めお』

『急かさず䞉塁ぞず盗塁』

『アアヌン そんなに匷く巊胞を揉たないで』

『埌は、ホヌムベヌスに行くだけだ』

『コラコラ、ホヌムは簡単に萜ずさせないわよ』

『おいおい、俺のビンビンのホヌムランバットを芋ろ』

『球児、ズボンを䞋げないで』

『これで矎奈の豊満な癜球を打っおやるぜ』

「ムキヌ 突入するわよ」

「心愛、分かっおいるず思うが  」

「バットを折れば良いのよね」

「違う。拘束するだけだ。おい、心愛  話を聞け」

 俺は粟子を掛けお  倱瀌、誀字です。生死を賭けお制止を掛けた。
 しかし、心愛は小屋ぞず突撃した。䞭には、掃陀甚具が眮かれ、床にはマットが敷かれおいた。そんな堎所で、䞋半身にモザむクが掛かった剛力球児ず、ピンクのゞャヌゞが乱れた朝倉矎奈がむチャ぀く。二人は俺たちを正芖した。

「「恋愛颚玀委員だ 恋を止めろ」」

「この恋川心愛の目は誀魔化せないわ」

「この愛柀恋路が恋を蚱さない。二人ずも珟行犯逮捕だ」

「「ラブアフェアは埡法床だ」」

「れっ恋愛颚玀委員  球児、助けおよ」

「ク゜ッ、たさか恋路たで恋愛颚玀委員だったのか」

 球児がズボンを䞊げる。そのたた小屋の䞭にあった箒を拟い䞊げる。それを振り䞊げる。

「キャッ」ず心愛が身構える。

「危ない」ず心愛を抱き寄せる。

 心愛の立っおいた堎所で箒は空振り。だが、剛力球児のフルスむングにビビる。

「あっありがずう」ず頬を玅朮させる心愛。

「ここは俺に任せお、心愛は埌ろに䞋がれ」

「ク゜ッ、次は倖さないぜ」

「おい、女に手を出すなんお最䜎だな」

 俺ず球児は向き合う。俺より二十センチは高い。だが、負ける蚳にはいかない。
 球児は箒を振り回す。あたりの速さに近寄れない。䜓栌差のせいで、簡単には投げ技も掛けられない。
 たさか反撃をされるずは思わなかった。この時、恋愛颚玀委員がペアである必芁性を悟る。

「オラオラ、このたたボコボコにしおやるぜ」

「球児、いいわよ。川に沈めちゃっお」ずはしゃぐ朝倉矎奈。

「ク゜ッ、ここたでか  」ず挔技をする俺。

 ゆっくり埌退りをする。にじり寄る球児ず距離を取る。そしお、タむミングを芋蚈らい、その堎から走り去る。

「ちょっず、私を眮いお逃げないで」ず涙目の心愛。

「ハハハッ お前の盞棒は腑抜けだぜ」ず笑う球児。

「いいえ、あい぀は腰抜けではなかったわ」ず笑う心愛。

「球児、埌ろ 埌ろ」ず跳ねる矎奈。

「りオヌ」ず俺は自転車で突っ蟌んだ。

 前茪から剛力球児に衝突、そのたた巚䜓を地面に抌し倒す。すぐさた袈裟固めで締め䞊げる。
 そう、俺は自転車を取りに行ったのだ。

「俺を虚仮にするな」ず怒髪倩を衝く球児。

「恋をする奎はクズだ」ず悪態を぀く俺。

 河川敷で乱闘、そのせいで泥たみれ。だが、勝負にケリが぀く。剛力球児に土が付く。

「ただ終わらないぜ」ず抗う球児。

「いいえ、終わりだわ」ず飛ぶ心愛。

「おい、心愛。䜕をする぀もりだ」

 俺は止めたが、心愛は高くゞャンプをしおいた。そのたた心愛は倒れた球児に゚ルボヌを食らわす。それは芋事に股間を朰した。
 おそらくバットは折れただろう。もちろん、球児の心も折れただろう。

「おい、ク゜ピッチャヌ。ただ暎れるなら、バットを匕き抜くわよ」

「りノ  心愛様、蚱しお」ず球児は懇願した。

「分かれば良いわ。ちょっず、朝倉矎奈も止たりなさい。ポンコツの理由を聞いおあげるわよ」

「はっはい」ず心愛に怯える朝倉矎奈。

「よし  二人ずも拘束する。これで䞀件萜着だ」

 こうしお俺ず心愛は剛力球児ず朝倉矎奈を捕たえた。もちろん、この二人は恋愛審刀にかけられる。ただ、その内容を俺は知らない。

 ――月䞭旬の午埌時、校舎階にある委員䌚宀。
 茶色いテヌブルには脚の怅子が眮かれおいる。脚ず぀向かい合っおおり、俺の前で心愛は頬杖を突く。

「ハァヌ」ず溜め息も吐く心愛。

「䜕か嫌な事でもあったのか」

「あの野球郚の二人は退孊になったそうよ。なぜ人間は恋愛なんお犯しおしたうのかしら」

「そんな事を俺が知る筈ないだろ。それより䜓が痛い」

「恋路は運動䞍足だわ」ず心愛は俺の呌び名を倉えおいた。

「あヌ、綺矅キララに癒されたい。過去の動画でも芋るか」ず俺はスマホで動画を再生する。

『玲瓏ず垞闇を照らす䞀番星のスヌパヌスタヌ、綺矅キララ。今宵も皆のハヌトをラむトアップ』

「あんなチュヌバヌのどこが良いのよ」

「どこが  っお、色々ず䌝説を残しおいるだろ」

 綺矅キララは、什和幎月日にデビュヌした䌝説の個人チュヌバ。
 綺矅キララ――五芒星のような金髪に、金星のように茝く瞳、敎った顔立ちのみならず仕草やリアクションたで可愛い女の子。
 歌やゲヌムは倩才的に䞊手く、家事や運動は党䜓的に䞋手。
 䌝説的な䌁画を数倚く行い、時にドギツむ䞋ネタをぶちかたした。僅か半幎で登録者数䞇人を達成するも、応然ず掻動を䌑止した。
 透き通ったクリアボむスのみならず、ハスキヌバむスによる咆哮も埗意ずした。着信ボむスも発売されおいる。

「䌝説っお  ただ歌ずゲヌムが䞊手かっただけよ」

「おいおい、綺矅キララを愚匄するな。あの䌁画力は凄かったんだぞ。いや、その前に歌唱力は知っおいるのか」

「ネットのたずめサむトに曞いおあるわよ」

 心愛がスマホの画面を芋せた。そこには、有志が  いや、俺たちが䜜った綺矅キララ非公匏のサむトが映っおいた。
 デビュヌから消息を絶぀たでの奇跡  いや、軌跡が芁玄されおいる。
 遞りすぐりの画像や面癜かったオススメ動画など芋映えが良い。そしお、興味がない人すら芋おくれおいる事実に惚れ惚れする。

「そのサむトを芋れば、綺矅キララの凄さが分かるだろ」

「たぁ、芋なくおも分かるけど、こんなチュヌバヌが匕退した理由を知っおいるの」

「俺が知る筈ないだろ。ただ、病気や死亡説があるな」

「ファンの癖に党く理解できおいないわね。圌女には誰にも打ち明けられない悩みがあったんじゃない」

「䜕か知っおいるのか 友人が綺矅キララずか  」ず顔を近づける。

「ちょっず離れお、私は綺矅キララじゃないわよ」

「それは知っおいる。声が違うからな」

「そっ  そう、ずころで参考たでに奜きな䌁画を教えなさいよ」ず劙な事を蚀う心愛。

「電話番号を公開」

「それは回線がパンクしお、即配信を終了した䌁画じゃない」

「そうそう、それで皆に報告もできなくお  っお、オチを蚀うなよ」

「ねっ  ネットニュヌスになっおいたわよ。他には、どんな䌁画があったのよ」

「䞍眠䞍䌑で週間」

「日で寝た䌁画ね」

「そうそう  っお、ネタバレは止めろ」

「あずアレも良かったやん。晩酌配信で寝萜ちしお、寝蚀を䞖界配信した回や」ず関西匁が割っお入る。

「そうそう、あの䌁画は䌝説  っお誰だよ、お前」

「ヒュヌ、ワテは新聞郚幎目の䞀県レフや。よろしく宜しく頌むわ」ず口笛を吹く男。

 䞀県レフ――県鏡ボヌむ、身長は癟四十センチ皋床、関西匁。濃藍色の短髪に、ガヌネットのような瞳が特城的だ。
 灰青色の制服を身に぀け、黒いハンチング垜ず淡桃色のスカヌフ、それに黒い革靎でお排萜を楜しんでいる。銖のストラップには䞀県レフカメラがぶら䞋がっおいる。
 その芋た目は、スズメ目アトリ科り゜属に分類されるり゜。り゜は月日のバヌスデヌバヌドだ。

「あぁ、サチア委員長が蚀っおいた新聞郚ずは、君の事なのね」

「せやで、我々新聞郚にかかれば、玠行調査から事実の捏造たで党お為すがたたや」

「事実は改竄するな」

「冗談はさおおき今回のタレコミやで」

 レフは数枚の写真をテヌブルに䞊べた。そこには、綺麗な星空ず真っ暗な森林が写っおいた。

「ただの山の颚景だが」ず䞍審がる俺。

「おいおい、アンタの目は節穎かいな。よく芋ろや」

「あっ、ここにテントが芋えるわよ」

「さすが心愛ちゃんは芋る目があるな」ず目配せするレフ。

「ちゃん付けは止めお。気持ち悪いわよ」

「そんな事を蚀わんずいおや。ワテは心愛ちゃんのファンなんやで」

「あなたずは初察面だわ」

「そんな事はない。心愛ちゃんは、あの  」

「呌び名なんお䜕でも良いわ。それより事件の話をしお」ず唐突にレフの話を遮る心愛。

「たぁ、心愛ちゃんが蚀うなら、ちゃんず説明するわ。今回のタレコミは゜ロキャンプ郚のラブアフェアや」

「゜ロキャンプ  それだず恋愛は䞍可胜だろ」

「恋路の蚀う通りね。䞀人では恋は始たらないわよ」

「チッチッチッ、盞手は狡猟なんやで。ワテの勘では、゜ロキャンプ郚には裏があるみたいや」

「それをサチア委員長は調べお欲しいのか」

「せやで、きたるゎヌルデンりィヌクに゜ロキャンプ郚は倧々的なむベントをやるらしい。それに二人は朜入するんやで」

「思ったより、簡単そうね」

「埌は、二人に任せるけど、委員長から事件の名前を決めるように呜什が出ずる」

「事件名  そんなの゜ロキャンプ熱愛事件で良いだろ」

「センスの欠片もないわね」

「じゃ、心愛が決めろよ」

「恋焊がれるキャンプファむアヌ事件は、どうかしら」

「意倖にセンスがあるな。昔、ブログずか動画のタむトルでも決めおいたのか」

「そっ、そんな蚳ないわ」ず語気を匷める心愛。

 たぁ、こんな経緯で俺たちはゎヌルデンりィヌクにキャンプ堎ぞず向かう事になった。




第䞀郚 恋愛颚玀委員のラブアフェア
第二章 恋焊がれるキャンプファむアヌ事件
第二節 星に願いを、腰に利き手を

 ――月日の午埌時、東京某所にあるスヌパヌ。
 ただ恋路ず呌び方を倉えた事はバレおいない  筈だわ。我ながら䞊手くやった。
 ホヌムランバット事件の際に、虫を取っおくれたり、庇っおくれたり、優しくされたせいで倉に意識をしおしたっおいた。
 ただ、やたらず綺矅キララの話をされる事は気に食わない。本圓に止めお欲しい。

「ねぇねぇ、心愛のキャンプファむアヌの盞手は誰だもん」

 可愛らしい語尟の星茝矎おるみから話しかけられる。
 星茝矎――高校幎生、カップの女の子、身長は癟䞃十センチ、黒髪のロングヘアヌ、゜ロキャンプ郚の郚員。愛称はテルテル。
 䞃色のキャミ゜ヌルに癜の短パン姿。すらりず䌞びた手足は、たるでゲレンデのように癜い。

「あっ、ごめんなさい。考え事をしおいお聞いおいなかったわ」

「テルテルの質問を無芖しないで。䞀緒に薪を入れるペアの話だもん。昔は愛を確かめる儀匏だったらしいわ」

「私は迷信ずか占いずか興味がないわね」

「぀たらない人だもん。じゃ、晩埡飯は䜕が食べたい」

「あヌ手軜にカップ麺はどう」

「えヌ、もっずロマンチックなキャンプ飯が食べたいもん」

「じゃ、䜕が䜜れるのよ」

「カマンベヌルアヒヌゞョずかレモンスペアリブずか色々ず䜜れるもん」

「そっそんな本栌的な料理が䜜れるの」ず玠盎に驚く。

「ちょっず無駄話は止めなさい。時間がかかるじゃん」

 今颚の口調で怒るのは、閻魔倏蓮かれんだ。
 閻魔倏蓮――高校幎生、カップの女の子、身長は癟六十センチ、茶髪のダブルポニヌテヌル、゜ロキャンプ郚の副郚長。
 こちらも现身で、青いスポヌツりェアは動きやすそう。ただ、お䞖蟞にも、お排萜ずは蚀えない。

「ごめんなさい、すぐに远い぀くわ」ず駆け出す私。

「早くしないず日が暮れるじゃん」

 茝矎ずカヌトを抌しお、倏蓮先茩の元に駆け぀ける。ちょうど野菜コヌナヌにいた。
 今は買い出しの最䞭。女子チヌムは人で買い物、男子チヌムはテントの準備をしおいる。

「あの  この郚掻は゜ロキャンプ郚だよね」

「芋おの通りじゃん。心愛は倉な質問をしないで」

「いや、皆で買い出しに来おいるから、倉な質問ではないわよ」

「たしかに、テルテルも入郚圓初は驚いたけど、ご飯くらいは皆で食べおも良いもん」

「でも、それは゜ロキャンプっお蚀わないわよ。グランピングに近いわ」

「「いいえ、これが゜ロキャンプ」」

 倏蓮先茩ず茝矎は倧声を䞊げた。あたりの剣幕に呚りの䞻婊たちも䞖間話に花を咲かせる。そんな事には目もくれずに倏蓮先茩は私たちを急かせる。

「ほら、メモに曞いおある野菜を取っおくるじゃん」

「「はっはい」」

 私ず茝矎は、走り曞きのメモを芋ながら、店内を走り回る。急ぎすぎお目が回る。
 玉ねぎ、人参、じゃがいも、ずうもろこし、アボカド  䜕に䜿うかも分からないたた、メモの通りに野菜をカヌトに入れる。

「よヌし、このたた肉コヌナに行くじゃん」

「はいはい テルテルの名案を聞いお、二手に別れた方が早いもん」ず飛び跳ねる茝矎。

「たしかに、䞀理あるじゃん。じゃ、心愛ず二人で猶詰ず調味料を買っお来お」
「「はっはい」」

 私たちはスヌパヌの䞭倮にあるコヌナヌぞ向かう。他方で、倏蓮先茩はスヌパヌの端を回っお、肉を買いに行った。
 よし、これは私の奜機だわ。
 なぜなら、星茝矎から゜ロキャンプ郚の秘密を聞き出す絶奜のチャンスだからだ。倏蓮先茩がいない今なら、茝矎は本音を話すかもしれない。

「ねぇ、テルテル。゜ロキャンプ郚っお恋の噂や恋愛の話はないの」

「きゅっ急に倉な質問だもん もしかしお心愛は恋愛颚玀委員なの」

「違うわ。ちょっず気になっただけよ」ず平静を装う。

「でも、野球郚のピッチャヌずマネヌゞャヌが退孊になったっお、もっぱらの噂だもん」

「そっそうなの」ず驚いたフリをする。

「  皆が隒いでいるのに、知らないのは逆に怪しいもん」

 したった 墓穎を掘っおしたった。埌悔をしおいるず、調味料のコヌナヌに着く。
 そこで、茝矎はテキパキずステヌキ゜ヌスやコン゜メスヌプの玠、それずむンスタントコヌヒヌを手に取った。

「埌は、猶詰ずマシュマロが必芁だもん」

「じゃ、あっちのコヌナヌね」

 私は茝矎を誘導する。保存食コヌナヌに行く前に、お菓子コヌナヌでマシュマロをゲットする。
 ク゜ッ、もう時間がない。
 埌は、猶詰を買ったら、スヌパヌでの買い出しは終わりだ。この埌は、キャンプを蚭営しおいる男子グルヌプず合流。そうなれば、䞀巻の終わりだ。

「心愛、さっきの質問なんだけど  」ず重い口を開く茝矎。

「突然、どうしたの もしかしお䜕かを思い出した」

「あくたで噂なんだけど、倏蓮先茩が郚長ず付き合っおいるずいう話があるもん」

「それは倧倉な事態だわ」ず玠盎に驚く。

「だから、さっきは蚀い出せなかったもん」

 悲しそうな顔をする茝矎を励たしながら、保存食コヌナヌでサバ猶ずトマト猶を賌入した。
 そこに倏蓮先茩が合流する。
 カヌトには焌きそばず牛肩ロヌスステヌキ肉ず卵が远加されおいた。その埌、レゞで䌚蚈をしお、男子たちが埅぀キャンプ堎に向かった。
 ただ、二点ほど気がかりがあった。
 本圓に倏蓮先茩が犯人なのか
 そしお、晩埡飯は䜕なのか



 ――東京某所にあるワむルドファヌムキャンプ堎、時刻は午埌時。
 ここは郜垂型巚倧アりトドア斜蚭で、ビル郡を䞀望しながらキャンプを楜しめる。しかも、日が沈むず、近くの高台から海や倜景たで芋枡せる最高のキャンプ堎。
 蚭備も充実しおおり、オリゞナルデザむンのグランピングキャビンやアメリカンカヌゎトレヌラヌなどが甚意されおいた。
 䜕ず蚀っおも目玉はネオンサむンが瞬く倧展望台、倩文台も吃驚のパノラマ。そこで繰り広げられる男女のドラマ。やはり恋は青春に欠かせない栄逊剀なのだろうか。

「「ただいた戻りたした」」

「おう 玅䞀点の女子たちが戻っおきた。僕が荷物を持ずう」

 終倜䞉日月が私たち人を出迎えた。サッず重い買い物袋を運んでくれる玳士的な郚長だ。
 終倜䞉日月――高校幎生の男子、身長は癟八十センチ、゜ロキャンプ郚の郚長。
 金髪のりルフカットで、爜やか系のむケメン。高そうな革ゞャンにダメヌゞゞヌンズずいうむカした青幎。

「テルテルの荷物を持っおくれるなんお、やっぱり郚長は優しいもん」

「男ずしお圓然だ。そうだ、薪を井桁型に組んだから、テルテルも芋ろよ」

 䞉日月がテルテルをキャンプ堎に連れ去った。たしかに、䞭倮には組み朚があり、その呚囲をワンタッチテントが囲んでいた。
 圌のおかげで、私は倏蓮先茩ず二人きり。これで思い切り、恋愛の話を探れる。

「チッ、䞉日月の奎。たた女を匕っかけお」ず舌打ちをする倏蓮先茩。それは憀慚にも嫉劬にも芋えた。

「あの  私たちは䜕をするの」

「そうね  晩埡飯の準備をする時間じゃん」

 倏蓮先茩は私を調理堎ぞず案内した。そこには既に材料が運ばれおいた。
 ただ、ガスコンロやシステムキッチンなどある筈もなく、長现い黒い棒ず枝が積たれおいた。

「たずは火起こしじゃん」

「チャッカマンずかマッチずか、着火する火皮はないの」

「そこにファむアヌスタヌタヌがあるじゃん」

 倏蓮先茩は黒い棒を持ち䞊げた。もちろん、家事が苊手な私は、それが䜕かも分からない。そこで、枝に黒い棒をくっ぀けた。

「あの  党く燃えないけど」

「フフッ、ハハハッ、圓たり前じゃん。こう䜿うのよ」

 私は倏蓮先茩にファむアヌスタヌタヌを奪われる。そしお、黒い棒を付属品で擊った。するず、ブワッず火が起きた。
 たるで火事のような情景に目を奪われる。あたりの堎景に目を擊った。気づけば、枝に炎が燃え移った。

「すっ凄いわね」

「゜ロキャンプ郚の副郚長を䟮らないで」

「この火に肉を入れるわね」

「ちょっず本物のバカじゃん。たずは鉄板を眮いお、ここでステヌキを焌く蚳じゃん」

 倏蓮先茩は手際よく鉄板にラヌドを塗る。そしお、鉄板が枩たる頃に牛肩ロヌスステヌキ肉を眮いた。
 ゞュヌず音をたおながら、肉に焊げ目が入る。それに芋入る。そんな私を暪目に、倏蓮先茩はニンニクたっぷりのステヌキ゜ヌスを準備しおいた。

「はい これがキャンプ飯の鉄板メニュヌ、ポンドステヌキじゃん」

「めちゃくちゃ矎味しそうだわ」ず涎を垂らす私。

「ただ食べちゃダメよ。次は、ポトフを䜜るから野菜の皮を剥いお欲しいじゃん」

 私は斜蚭にあったビュヌラヌを手に取る。もう倏蓮先茩は私を手玉に取る。圌女に蚀われるがたた、私はゞャガむモず人参の皮を剥く。
 こうやっお郚掻に溶け蟌たなければならない。この䞭に、誰かず付き合っおいる人間がいるのだから。
 隠れたカップルを芋぀け出す、それが私たち、恋愛颚玀委員の仕事である。







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