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人生を俯瞰する視点【読書記録】#17
1年程かけてゆっくりと読んできた本がある。
宮沢賢治、須賀敦子、神谷美恵子、リルケ、プラトン、小林秀雄、ユングといった文章に秘められた人生の悲しみが26編に渡ってまとめられている。
人生の悲しみについて詩的かつ奥深い考察がなされていて心が洗われた。
特にあとがきと解説パートに惹かれた。
衝撃的な、ということとは少し性質を異にする、忘れがたいとしか言い得ない人生の瞬間は誰にもあるだろう。特別なことではない。むしろ、昨日までは何ら変わりがなかった日常で、静かに幕が上がるようにして、これまで分からなかったことがぼんやりだとしても感じられるようになる。
想いを書くのではない。むしろ人は、書くことで自分が何を想っているのかを発見するのではないか。書くとは、単に自らの想いを文字に移し替える行為であるよりも、書かなければ知り得ない人生の意味に出会うことなのではないだろうか。そう感じるようになった。
見失いがちな「人生を俯瞰する視点」を
宝石のような言葉が思い出させてくれる
俵万智
悲しむことによってしか見出し得ない知見や思考がある。
そして、書くことによって自身の感情を俯瞰的に捉え正確に解釈することが可能になる。
共感しかない。
僕も恐らく今後の人生において重要な局面になるであろう悲しみを経験したばかりである。
だが、その悲しみは人生を俯瞰で眺めると間違いなくプラスに働くと思っている。
人生って面白いですね。
✳︎
本書を読んで、書くという営みを大事にしていこうと改めて感じた。
もしあなたが今、このうえなく大切な何かを失って、暗闇のなかにいるとしたら、この本をおすすめしたい。 あるいは、目の前のことに追われすぎて、ささいなことでイラついたり、何が大事かということさえ考える余裕がなかったりするなら、やはりこの本をおすすめしたい。
神戸・元町の喫茶店でモーニングを食べながら。
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