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〈小説〉ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム

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少女売春組織の中間管理職である鈴木が仕事中に遭遇した爆弾テロをきっかけに政治的陰謀に巻き込まれていく。名古屋によく似た街を舞台にした冒険小説。 全25回前後を予定
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#爆弾

<小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第二十一回 夏祭りのラウドスピーカー

<小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第二十一回 夏祭りのラウドスピーカー

Chapter 20 夏祭りのラウドスピーカー 公園は午前中から人混みだった。
 ニシから川を挟んだエリアにあり、公園は市内で最大の面積があり、敷地内にはスポーツ施設や公営図書館、よく手入れのされた花壇や噴水広場もある。
 横はすぐ堤防になっていた。堤防からツインタワーをはじめビル群も見ることができるし、夏になれば河川脇の開けた視野のおかげで遠くの花火も見える。近所の住民にとっては格好の散歩スポッ

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<小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第二十回 夏祭り実行委員会

<小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第二十回 夏祭り実行委員会

Chapter 19 夏祭り実行委員会 井上と入れ違いにサングラスが俺の横に立った。俺をここに連れてきてからずっと他のテーブルにいたのだ。こいつはサングラスをつけたまま何を食ったのだ?
「ホテルに戻るぞ」
 サングラスが言った。ここからなら歩いても帰れる距離だがそうはさせないのだろう。大人しく席から立ち上がりサングラスのあとについて行く。店内の客から盗み見るような視線を感じた。
 ツインタワー東側

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<小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第七回 テロリスト・ワナビーと老婆

<小説>ハロー・サマー、グッバイアイスクリーム 第七回 テロリスト・ワナビーと老婆

Chapter 6 テロリスト・ワナビーと老婆 その夜は爆弾も花火に紛れて爆発していた。
 花火も爆弾も基本構造は同じだ。殻の中に爆薬を詰めて点火して、中に詰めた金属片が赤や緑に燃えながら飛び散って観衆を楽しませるのが花火で、殻の破片や釘やベアリング玉など思い思いの詰め物で周辺の人間を吹き飛ばすのが爆弾だ。
 爆弾魔は暇を持て余した16歳の少年で、爆弾は地味なものだった。そいつは人気のない雑居ビル

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