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「あなたのまんま、そのまんまでいい。一人じゃない。」ママの笑顔あってこそ

こんにちは。
産後のリアルストームに埋もれている人を全力でサポートしたいSaharaが、日本の「子育てが孤育てで始まらない世界」をご紹介するこの企画。

2回目の今日は、新潟市中央区で活動されているNPO法人はっぴぃmama応援団が実現している世界をご紹介します!

自分が出産したあの頃、もしこんな居場所が近くにあったなら、迷わず日参しただろうな・・そんな風に感じる素敵なママの居場所。

できれば新潟まで行きたかったのですが、コロナの影響で断念し、代表の松山さんに、オンラインでお会いして色々とお話を伺いました。

その前に少しだけ、産前産後の女性を取り巻く社会について整理します。


産後のリアルと社会のアンテナのずれ


折しも4月17日(土)のNHK Eテレ「すくすく子育て」で「メンタルクライシス① ~はじめて親になるとき~」という放送がありました。

はじめて親になるとき、なぜ心が追い詰められてしまうのか。
産後の支援制度はあれど、なぜ利用のハードルが高いのか。

子育て支援の現場にいる身としても、産後のリアルストームを経験した身としても、とても心に響く内容でした。

これまでの記事でも、産後のリアルストームに埋もれ、女性が自分を見失わないために「産前からの切れ目ない支援を活用することが非常に重要」だとお伝えしてきました。

産前に産後の支援の活用を想定しないのが、妊娠中のフツウ。

産後の女性が自ら産後ケアの活用に至れないのが、産後のフツウ。

つまり、活用する女性が少ないから需要がない、わけではナイ。

むしろ「出産する全ての女性に産後ケア支援が必要」とも言えます。


声なき声をキャッチできるアンテナが社会になければ、その仕組みもまた、産後女性の笑顔を守るには不十分になってしまうのは当然です。


しかし、現実にちゃんと答えを提供している「はっぴぃmama応援団」

是非、その活動を多くの方に、広く知っていただきたいと感じています。

はっぴぃmama応援団のここがすごい!


はっぴぃmama応援団のすごいところ、それは・・

保健師、助産師、看護師、保育士、調理師、カウンセラー、小児科医などの専門家が連携し、切れ目ない多様な支援を実現していること。

そしてもう一つ。

自治体の産後ケア事業と同程度の価格で専門家のケアを提供していること。

私の説明よりまず先に、HPをご覧になってみてください。

こんな場所あったらいいな~と感じた方、多いのではないでしょうか。

ママが「ありのまま」で過ごせる居場所を


はっぴぃmama応援団の代表 松山さんは、ご家族の転勤に伴う引っ越しの多い環境で3人のお子さんを育てられた保健師さんです。

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画面越しからも包み込まれるような優しさが溢れてくる松山さん

ある時、ボランティアをしていた助産院で出産する女性の多くが、出産や子育てに対して自然と肯定的な感情を抱く様子を見て、産前産後の女性に寄り添う存在の大切さに気付いたといいます。

そして「ママたちの居場所を作り、親子のありのままの姿に寄り添ってあげたい」と、新潟市西区の一軒家で活動を始めました。


その活動からご縁が繋がり、現在は新潟市中央区にある小児科に併設された「はっぴぃmamaはうす」が拠点になっています。

併設している小児科の先生が、2軒続きの長屋を新改築してくれたそうで、玄関右の28畳のホールでは主に子育てサロンや中央区の子育て支援事業を、左の2つある個室では産前産後のデイケアを行っています。

特に利用が多いのは産前産後のデイケアだそうで、通常、家族の同伴が難しい産後ケア事業も多いのですが、こちらは兄弟姉妹も一緒に来所が可能です。

「妊娠期にはっぴぃmamaはうすを利用したことのある初産婦さんは、産後もデイケアや子育て相談に来るタイミングが早いのを感じます。経産婦さんは産後ケアの必要性をわかっているので、産後早い段階で利用される方が多いです。」

とのこと。初めての妊娠中にこうした産後ケアができる場所を知っておくだけでも、産後の行動が変わってくるのです。

だからこそ、松山さんたちも妊娠期から産後までの継続支援を大切に捉えています。

他に、子育てサロン、訪問サポート、カウンセリング、小児科医による相談会などもあり、ママにとっては本当に心強い存在。また、新潟市中央区の子育て支援事業も受託しています。


専門家含め、関わっている皆さんは有償ボランティア。
様々な専門分野を組み合わせ、その時々のママのニーズに合ったサービスや情報を提供しているのです。


さらには、クラウドファンディングで送迎に対応できる専用車も購入。

「施設まで来られないというハードルを下げるだけでなく、送迎中のママとのコミュニケーションが、サポートを提供する上で非常に大切な役割を果たしているのです。」


ママの「じゃあどうすればいいの?」に答える


抱っこしても寝かせても反り返り、ベビーマッサージもできない・・
抱っこしていないと寝てくれなくて、毎日ヘトヘト・・

じゃあどうすれば、反り返りを軽減できるのか
じゃあどうすれば、子どもを寝たまま起こさず布団におろせるのか


松山さんは「ママの『じゃあどうすればいいの?』にできるだけ答えてあげたい」と話します。


そして、「ママに試してみて」ではなく「ママと一緒に試してみる」。


特に親子のフィジカルサポートに力を入れているそうで、

「最近は、妊婦さんの足腰が弱くなっていると言われており、腰痛などのトラブルにつながっています。その予防法や、あかちゃんの抱き方、寝かしつけ方をアドバイスする機会が増えています。」

とのことでした。

産後ケアを費用で諦めないために


女性はご存知の方も多いと思いますが、一般に産後ケアサービスにかかる費用は高額です。
誰もが利用しやすい料金とは言えません。

ならば「自治体の補助がある産後ケア事業を受ければよい」と思われる方もいるでしょう。

しかし、自治体が提供する産後ケア事業の利用実態については2020年に厚労省が発表した産後ケア事業の利用者実態に関する調査に目を通すと、現実的な理解が深まると思います。


公的な産後ケア事業そのものは大変優れた仕組みですが、利用数は非常に少ないのが現状です。
国からの補助金は2分の1しかなく、自治体の予算や現場の人手不足により実施していないところもあります。

6歳未満の児童がいる世帯のうち、核家族は9割近いと考えられる昨今、産後うつも虐待も「個々の理性でカバーしている」実態は多いだろうし、実感してきたことでもありました。

そして、この問題を解決する手段である公的産後ケアは、現時点において「利用数が少ないから需要がない」のでなく、「支援へ辿り着くハードルが高く、誰もが利用できる仕組みではない」のです。


だから諦めるしか、ないのでしょうか。
そうした環境にない人は、追い詰められていくしかないのでしょうか。


はっぴぃmama応援団は、市の産後ケア事業と同程度の価格で、専門家のケアをママたちに提供しています。

これは一重に、代表の松山さんらが、その財源を確保するために毎年様々な助成金や補助金申請にチャレンジし、得られた資金を最大限、ママの笑顔のために活用しているからです。
その努力なしに実現する価格ではありません。

はっぴぃmama応援団はNPO法人として設立5年目ですが、毎年続けていくだけでも、簡単に真似できることではありません。
だから、すごい。

全ての産み育てる女性が利用できる仕組みを


No one will be left behind. 誰一人取り残さない。

SGDsの大切な理念でもあるこの言葉。
今、本気で少子化を食い止めるなら、真摯に向き合うべき現実があります。

それは国や自治体の福祉サービスに対する公的資金の使途を見直すことも含まれる、と私は考えています。

松山さんたちの活動は現在、助成金申請や賛助会員による寄付が収益の柱であるため、モデルケースのような素晴らしい事業も、残念ながら持続可能なステージには達していません。
今後、県や市など公の機関が積極的に参入してくれることを、心から期待したいと思います。


最後に、松山さんがいつもママに伝えていることをご紹介して終わりたいと思います。

子どもがかわいいと思えなくてもいい。
お産で大変な思いをしたり、子育てが思うようにいかなかったり。
そこにも全部意味がある。
あなたのまんま、そのまんまでいい。
ひとりじゃないからね。


これからもはっぴぃmama応援団の活動を応援し、励みにしていきたいと思います。

お読みいただきありがとうございました:)

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