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変革の初手

こんにちは、戸田です。

経営には、事業・組織・財務の構造そのものを、同時並行で一体的に変えていくことが求められる「変革の局面」があります。

典型的なものは次の4つです。
1. 新規事業やスタートアップの立上げるとき
2. 分社化(グループ化+組織再編)やM&Aをするとき
3. 経営/事業を承継するとき
4. 企業再建や事業再生をするとき

それぞれ異なる局面でありながら、それでも、共通して「変革の初手」となるものはあるのでしょうか。

最初に何をすれば、変革がうまく進む(可能性が高くなる)のか、今日は少し考えてみたいと思います。

危機感は、いきなり醸成されない

よく言われる変革の初手はなんでしょう。

危機感を共有すること、かもしれません。

でも、私の経験では、これは「初手としては」ちょっと違うと思っています。

そもそも、企業全体の変革が求められるような局面は、カオス(混沌)な状態にあるため、何が正解かが分からないし、一番重要な問題が何かの認識も人によって、立場によってバラバラなことが多いです。

そのような中で、トップから「危機感を持て!」といったところで、人それぞれに“危機”と感じていることは異なり、したがって、危機への接し方も、時間軸も、まとまりません。

なによりも危機感を全体に浸透させ、共感を得ていくには、相応の時間が必要です

スピード感が求められる変革局面において、すぐには醸成できない危機感の訴えを初手にもってくることは、したがって、この時間軸に合わないように思います。

※注:念のため誤解のないように書きますと、財務上の問題などで、現実の認識に正しく至っていない場合にこれを共有すること自体には当然、意味があります(だからといって、組織や人の中に危機感がすぐ共有されるとは限らない、期待するような正しい行動が起こるとは限らない、ということです)。この点、現実を見せたとしても、どこまでも他人事のように捉えたり、自己保身の立場から様子見したりする人が案外多いのが現実です。

組織の一体感は、変革ができたからこそ高まる

次に、組織の一体感を高めることで変革が実現できる!といったことも言われます。

成功した企業のストーリーとしても、巷にはこの手の事例に関して枚挙にいとまがありません。

しかしながら、これも一見して正しいようにも思えますが、これも決して初手ではなく、順序が逆ではないか、と感じています。

つまり、組織の一体感が高まってから変革が実現するのではなく、変革が(ある程度)実現してきて成果を実感できる(た)からこそ、組織の一体感がおのずと高まっていくのです。

目の前に変革による成果が表れてこない、感じられないのに、組織の内々でコミュニケーションの密度を高めるだけでは、言い方は別としても、単なる自己満足、慰め合い、仲良しごっこにしかなりません。

組織の空気感を変えることは、間違いなく、変革の重要なテーマの一つではあります。

ただそれも、上記にも述べた通り、カオス(混沌)状態にある企業における初手として、いきなり組織の一体感を持たせようとすることに期待するのは、少々無理があるのではないでしょうか。

ビジネスの勝ち筋を示す「経営の意志」

私の限られた経験からすると、変革の初手には、ビジネスの指針(勝ち筋・目論見・シナリオ)をトップが示すことこそが最も適切だと感じています。

もちろん初手ですから、「仮説」に過ぎません。

しかし、これから目指すべき未来の結論でもあります。

時々、何も現場のことが分かっていないのに、詳しくデータも分析していないのに、ちょっと乱暴ではないですか?と言われることもあるでしょう。

それでも、私はそれこそ、経営からすると違うと言わざるを得ません。

むしろ、現場の改善やデータ分析の積み重ねだけでは突破しようもないほどの大きさの変革を乗り切ろうとする局面において、最初にあるべきは、ビジネスの指針(勝ち筋・目論見・シナリオ)たる「経営の意志」であるべきです。

経営の意志があってこそ、企業をどの方向へ進めればよいのかが明らかになり、想いを同じくする中核メンバーが集まり、いくつかの成長仮説が検証され、本当に何を問題(イシュー)にすべきかが分かり、組織をまとめていくカタチが見えてくる、のです。

変革とは、私はこうしたい、会社をこんな形にしたい、という経営の(が内に秘める)意志の表出が第一歩です。

だからこそ、変革の初手においては、自分なりの経営イメージを描くことが、とても大切だと思います。

ただし、経営のイメージを初手として描くにあたっては、経営の(失敗)経験と場数が相当に必要になります。

生身で何度も経営の当事者として、ぶつかってきた経験があってこそ言えること・・・、という前提が必要であるため、これは自戒も込めて、記しておきたいと思います。

本日は、以上です。

TRAIL INC.(トレイル)
経営変革のための伴走パートナーシップ
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(オープン マネジメント®)



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