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スモールカンパニーの生産性を上げる

こんにちは、戸田です。
本年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

さて今年、私がフォーカスしたいのは「スモールカンパニーの生産性を上げること」です。

マクロ経済の視点で中小企業の生産性を論じたものが沢山ありますが、結局、1社1社において生産性をいかに上げるかは、あくまで経営の問題です。

どのようにスモールカンパニーの生産性を上げるのか、基本となる取組みの視点をいくつか挙げてみたいと思います。

1.    企業の新陳代謝を促す「止める経営」

中小企業を取り巻く環境においては、経営者の長寿化や、金融サイドの緩和や支援策等によって、全体としては自ら変化を起こすことへの動きはまだ鈍いように感じます。

ここで本来、企業の経営者ができることは、環境の変化に先んじて、お金を生まない事業、価値を生まない資産、利益を生まない取組み≒時間・人材投下を、まずは止めることです。

そして、時間も含めて余った経営資源を、原点たる強みを伸ばしたり、新しい市場進出や事業開発に振り向けたりすることが、健全な経営の在りようです。

短期に生産性を上げる第一歩は、止めることを決め、止めるべきを止めるに尽きます
もちろん、こんな初歩的な原則なんぞは言われずともわかっている、でしょうか。」

だとしても、実際に私が接してきている多くの会社では、「ここだけは別」という聖域が非常に多く、かつ、その聖域がオーナーや経営者の周辺に「価値観」として根付いているため、市場環境と照らして合理的に判断することも決して簡単ではない、と感じます。

したがって、成長局面であっても、再建局面であっても、集中こそが生産性を上げる経営の鉄則であり、企業がシンプルに徹しようとするだけでも、事業と組織の新陳代謝が自ずと進む構造が生まれる、と私は考えています。

2.    戦略の時間短縮を促す「情報の経営」

今や戦略の中身だけで絶対的な競争優位を築くことは難しく、戦略の運用力において差が出る時代です。

そのため、私は、中小企業において真の競争優位をもたらすものは、戦略のスピードだと思っています。

もちろん、明確なポジショニングの違い(市場フォーカス)があり、圧倒的な商品やダントツのサービスがあり、決定的な価格・コスト戦略などがあれば、別なのですが、経験上、言うは易く行うは難し、です。

結局は、どれだけ早く市場に投入し、顧客に早く届けられる仕組みを作れているか、が鍵を握ります

その中で、今や常識となったデジタル(情報)の活用は、ただそれだけでは、直接的に経営上の優位をもたらしません。

しかし、戦略の(実行と検証を伴う)スピードには、大きく寄与します。

蓄積されたデータ(情報)と振り返り検証・考察が唯一無二の知的資本=無形資産となって、幾何級数的に経営上の優位を増幅するための基盤になります。

これから先、全産業におけるOMOやMR(Mixed Reality)の進化、さらなる技術導入コストの低下とAIの一般化によって、社会と市場が今まで以上にデータ化(情報化)され、ネットの範疇を超えたリアルを巻き込んだData is King時代にさらに進むでしょう。

デジタル(情報)の活用によって、戦略のスピードをどれだけ高められるか。

この戦略のスピードこそが、実に経営の時間軸を左右し、事業と組織の期日(締め切り)とサイクルを支配しています

デジタル(情報)を活かし、経営の時間軸と事業と組織の期日を短縮することが、生産性に差をつけていきます。

3.    環境リスクの分散を促す「共用の経営」

環境の変化とは、常にスモールカンパニーの経営にとっては大きく、かつ突発的でインパクトも甚大です。そして、ほとんどが自社ではコントロールできないものばかりです。

たとえば、人口減少。

生産年齢人口は、2022年7,500万人 ⇒ 2040年6,000万人割れが見込まれています(出所:国立社会保障・人口問題研究所)。約20年で20%の減少ですが、年率では1%程の減少なので、年々の経営努力で吸収できない範囲ではありません。ただ、地方によっては、より大きな減少が見込まれています。

他には、地政学リスクの増大。

「新たな戦前」ともいわれる時代の中で、切っても切れない関係にありながら、関税や法規制による地域保護主義の台頭があります。同盟国圏外の排除と分断、海外進出先の制限と事業継続不能リスクの増加、さらには、海外からの原材料・エネルギー調達に頼らざるを得ない少資源環境(原料高)などが、目の前に次々と経営の喫緊の問題として提起されます。

これらのリスク以外にも、いつかまた来る天災(大地震)など、スモールカンパニーを揺るがし得る環境の変化リスクは、枚挙にいとまがありません。

しかしながら、かといって一つひとつのリスクに対して、自社単独で備えていたのでは生産性は大きく下がってしまいます。

この点、これからは、環境の変化に自社単独では対応しきれない認識を前提とし、コアではない領域や業務、共用可能な資産について、企業の枠を超えた連携をもう一段進め、産業と地方における業務再編を契機として部分統合を進めていくことが肝要、と考えています。

サプライチェーンや固定費を可能な限り共用化することで、自社の経営資源を、より強みを伸ばし、競争力を増すために優先して振り向けることができます。

これからの環境変化のリスクに対しては、他社と手を握りながら共用していくことが、スモールカンパニーの生産性を上げるための一つの手段となるのではないでしょうか。

本日は、以上となります。
本年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

TRAIL INC.(トレイル)
経営変革のための伴走パートナーシップ
Open Management®
(オープン マネジメント®)


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