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『レベッカ』ダフニ・デュ・モーリエ

はじめに:甘いマスクを被ったサスペンス小説

本日も小説を紹介したい。デュ・モーリエ著のレベッカだ。本小説は、恋愛小説の仮面を被ったサスペンス小説である。

純粋な心を持った主人公と、前妻を亡くしたというお金持ちで優しい紳士が出会い、恋に落ちる。彼らは結婚し、主人公の持つ立派で美しい屋敷マンダレイにて生活を送ることとなる。

しかし、その前妻が人々に残していった記憶や思い出の数々が、主人公を襲う。

異郷から来た女史が何者か知りたい人はこれを読んでくれ。

そして、女史のnoteをどう読むか、こちらを参考にしてくれ。

魅力的なキャラクター:亡霊レベッカ

なんといっても本小説では亡き前妻レベッカの魅力が止まらない。レベッカは、死後もなお、人々の記憶の中にくっきりと残り、主人公を苦しめ続ける。

レベッカは美しかった、人を惹きつける魅力があった、素晴らしい女性だったetc... 主人公が出会う人は皆レベッカの思い出を大切に抱き、親しみ慈しんでいた。なぜ亡くなった女性の思い出にこうも苦しめられるのか。夫は、まだ前妻に未練があるのだろうか。主人公は、亡き女性に対する嫉妬や羨望で胸を痛め続ける。

ここまで読むと恋愛小説なのだが、実は彼女の死には大きな秘密が隠されている。ネタバレをしたくないので記載しないが、亡霊レベッカによる大どんでん返しが読者を待ち受ける。

おわりに:頁をめくる手が止まらない

女史は、ここまで頁をめくる手が止まらないと思ったことはなかなかない。それほど、この小説は面白い。

なんと言っても、キャラクターの創り方と伏線の張り方が卓越している。ふさわしいキャラクターが、ふさわしい時と場所で意味深な発言をする。後のどんでん返しでその伏線を全て回収する。

小説とは、哲学や学術書を読むだけでは学びきれない表現技巧を読者に伝える。もちろん、空想世界を探検するというスリルも味わうことができる。

自粛期間中外出できずに家で悶々としている人も多いかと思う。この機に是非本小説を手に取り、スリルを味わってみるのはどうだろう。

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