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パワーマネジメントしか知らなかった私が組織変革を実践したワケ【後半】

前回の記事では、弊社ENERGIZEがなぜ組織変革を実行したのか、その経緯についてお話しました。今回は、社内で具体的にどう変革を成し遂げているのかお伝えしようと思います。
組織変革を検討されている経営者や人事の皆様のお役に立てますと幸いです。

弊社が最も大切にしているのは、社内の信頼関係

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「パワーマネジメントしか知らなかった私が組織変革を実践したワケ【前半】」でも触れましたが、会社を設立してからの5年間、私はメンバーに対して正しいマネジメントができていない状態でした。仕事のミスばかりを追求し、強い言葉で批判する。褒めたり励ましたりなどは一切しない、いわゆる「パワーマネジメント」を実行していました。

そのせいで、メンバーは次々に辞めていく。この時、はじめて自分のマネジメントスタイルが間違っていることに気が付きました。

どうすればメンバーがイキイキと働き、活躍できる会社にできるだろうか?

この問題と向き合うために、私たちはさまざまな対策を試みました。例えば、新卒採用の取り組みをはじめるなど。そして、お陰様で長年の変革を遂げ今では「働きがいのある会社」として認められるようになりました。

もともとパワーマネジメントを実践していた弊社が、なぜここまで変われたのか?気になる方もいると思います。私達が大切にしていることは、社員同士の信頼関係を築くことです。

弊社の具体的な取り組みをご紹介する前に、まずは私たちが参考にしているマネジメントの原理原則について触れておこうと思います。

セムコスタイル「奇跡の経営」

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私たちが組織づくりで参考にしたものはSEMCOスタイルと呼ばれる、『奇跡の経営』という書籍で紹介されているブラジルのSEMCO社のマネジメントスタイルです。SEMCO社はブラジルで就職したい企業ランキング毎年1位20年間で平均47%成長し続けており、年間離職率2%というまさに奇跡のような経営を実現している会社です。

SEMCO社の経営スタイルをオランダのコンサルティング会社(Semco Style Institute)が原理原則を抽出し、体系的に実践できるようにまとめ上げました。私たちは2018年からSemco Style Instituteとアライアンスを組んで日本の企業様にSemcoスタイルのコンサルティングを提供しています。その事例第一号として自社の組織づくりを行って来ました。

Semcoスタイルのマネジメントには5つの原則があり、それぞれの原則に3つの柱が付属しています。私たちが組織づくりで最も大切にした信頼は、5つの原則の1つで、その他の原則の基礎となるものでした。

数多くの打ち手が積み重なり信頼関係が構築される

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私たちの組織づくりの旅路でわかったことは、「これをやれば組織が変わる」といった魔法の施策はなく、組織変革の原則に沿って様々な打ち手を打つことで「働きがい」と「生産性」を高い次元で両立する組織に近づけるということです。

様々な取り組みにチャレンジしていますが、この組織変革の原則をベースに弊社が取り組んでいることをいくつかご紹介します。

・メンバー間の信頼を厚くする為に個人の興味関心を会話する時間を設ける
・メンバーが仕事をする上で必要な情報を開示する
・出社ルールを自分たちで決めてもらう
・メンバーに「給与の決め方」を決めてもらう
・メンバーが正しくディスカッションできるために勉強会を徹底する
・会社の問題はテーブルに上げ自分達で解決する。
 経営チームはその場を仕組み化する

「これが効果的だった」という打ち手は、ありません。すべての打ち手が積み重なり、今ある社内の信頼関係が構築された私は思います。

メンバーに給与のもらい方を決めてもらうというのは、弊社独特の取り組みでしょう。多くの会社では、自分の固定給がなぜその額なのか、上がったとしても下がったとしても理由が不明確です。納得のできない給付が続けば、メンバーの離職率も高まります。

だからこそ弊社は、報酬に関してディスカッションするチームを作り、どのようにしてもらうのが効果的なのか、毎年話し合ってもらっています。加えて、メンバー全員に情報を開示し、報酬の説明をしているのです。給与を明確化したため、メンバーのモチベーションがアップし、給与に対する不満が減りました。

とは言え、組織変革をはじめたばかりの頃はメンバーもさまざまな葛藤と戦っていました。中でも不安要素として大きかったのが、コミュニケーションの取り方です。たとえば、新卒のメンバーが日報を出すと言ったのにもかかわらず、出さなかったとします。昔であれば、「おい、日報出せよ」と強く言ってましたが、組織変革をしてからは「何が起きたの?」とアプローチすることが求められました。パワーマネジメントをしていた時代から一緒にいるメンバーは、この状況を「ぬるくなった」と指摘しました。

そこで弊社は、新たな取り組みを始めました。それは、「対話」です。

組織変革をするときこそ、今まで以上の「対話」が必要

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何か問題が起きたとき、多くの人は「対話」をしません。とくに、パワーディスタンスのある職場では、自分の思ったことを素直に言ってしまうと、働く上でマイナスになります。不満を心の中に閉まっておく、もしくは愚痴に変えてしまうのが一般的。しかし、これだと解決に至りません。

組織変革をするとき、間違いなく葛藤や問題は発生します。だからこそ、一つひとつの不満を問題として取り上げ、解決に導くことが重要なのです。弊社は、2ヵ月に1回、社内のメンバーが全員で話し合う時間を設けるようにしました。

ちょっと疑問に思ったことを経営のお題として捉えるかどうかで、メンバーのモチベーションや満足度は変わります。

「こうゆうことが起きているよね」
「どうやって対処しようか?」

経営陣が「こうやれ!」と命令するのではなく、メンバー間で話し合い、メンバー間で解決策を考えます。お題に対してメンバーが、真摯に向き合い解決策を出そうとしてくれるそのプロセスこそ、心理的安定性を産むのです。

経営者として心がけたいのは、問題自体を解決するのではなく、問題がお題として挙がるように仕組化すること。また、解決策に導くためのプロセスを作ることです。対話をしたときにその問題が解決されないと、誰も挙げなくなってしまいます。

実を言うと、弊社でも最初は各メンバーが恐る恐る手を挙げていました。しかし、繰り返し対話を行ったことで、「実は私もそう思っていたんだ」と声が聞こえるようになり、話し合える雰囲気になりました。

組織変革を実践した結果、「セルフマネジメント」が進んだ

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企業様に組織づくりのご提案をするとき、よくこのような声を耳にします。

「(経営者自身が)リーダーシップをまったく発揮しなくなるのでは?」
「厳しいことが言えなくなるのでは?」
「職場の雰囲気がぬるくなるのでは?」

私もはじめは似たような疑問を持っていました。たとえば、メンバーが自由に働けるようにしたとき、「ちゃんと、会社に来るのかな?本当に家で仕事するのかな?」と不安になりましたし、給与の方針を変えたときも「僕、1000万円ほしいです!」と言われるのではないかと、ドキドキしてました(笑)。

しかし、どれもただの心配ごとで終わりました。というのも、弊社で組織変革をスタートさせたとき、まず初めに「どうゆう組織にしたいのか」や「なぜこのビジョンを掲げて経営をしたいのか」をメンバーに伝えました。また、決めたことに対しては一貫性を持ち続けるように心がけたので、メンバーも一人の社員として責任を持つことができました。

組織のあり方を見直し、マネジメントスタイルを180℃変えた結果、弊社はマイクロマネジメントがベースとなった「管理型経営」から、メンバーに意思決定の権利を与える「セルフマネジメント」へと変革を遂げました。

昔は「こうすれば成果が出る」と分かるような時代だったので、マイクロマネジメントでもメンバーをある程度育てることできました。しかし、これからの時代、何が起きるのか分かりません。たとえば、まさか2020年にコロナによってテレワークが主流になるなんて、去年は誰も思っていなかったはずです。

そんな時代で、「あれをやれ。これをやれ。あれ、ちゃんとやったのか?」といった管理は通用しなくなります。今後は時代の変化に対応でき、自分で考え行動できる人材が求められるのです。

「組織変革と言っても、何から手を付ければいいのか分からない…」

そう悩んだときは、メンバーのせいにするのではなく、まずは自分から変わることが大切だと私は思います。経営者が「働きがいのある組織づくり」にどれだけ真摯に向き合えるのか、が最も大切なのかもしれません。

最後までお読みいただき、誠に有難うございました。

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ENERGIZE-GROUPでは「Work is Awesome!」というビジョンを掲げており、組織の「生産性」と「働きがい」を高い次元で両立させることが私たちのミッションです。
コスト削減、売上向上、新規事業開発、人材育成、人材採用、組織開発などあらゆる経営課題に対してオーダーメイドでコンサルティングを提供しております。

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