川上郁雄

複数言語環境で成長する子どもたちの研究をしています。オーストラリアに留学し、クィーンズ…

川上郁雄

複数言語環境で成長する子どもたちの研究をしています。オーストラリアに留学し、クィーンズランド州教育省に勤務したとき、娘は現地の小学校に入学し、土曜日には補習校に通いました。そして日本に帰国すると、娘は「帰国子女」と呼ばれました。その経験から、「移動する子ども」学を立ち上げました。

最近の記事

MY BOOK REVIEWS ④海の向こうの「移動する子どもたち」の日本語教育―動態性の年少者日本語教育学

 このシリーズの4冊目にレビューする書籍は、『海の向こうの「移動する子どもたち」の日本語教育―動態性の年少者日本語教育学』(2009, 明石書店)。 この本は、2009年に刊行した『「移動する子どもたち」の考える力とリテラシー―主体性の年少者日本語教育学』(明石書店)と同年に刊行した、「移動する子ども」シリーズの第3弾として編んだ本である。この本のカバーデザインも、桂川潤さんにお願いした。海の向こうをイメージする青色が印象的。  内容は、前著と同様に、私の論考のほかに、大

    • MY BOOK REVIEWS ③「移動する子どもたち」の考える力とリテラシー―主体性の年少者日本語教育学

       このシリーズの3冊目にレビューする書籍は、『「移動する子どもたち」の考える力とリテラシー―主体性の年少者日本語教育学』(2009, 明石書店)。 この本は、2006年に刊行した『「移動する子どもたち」と日本語教育―日本語を母語としない子どもへのことばの教育を考える』(2006, 明石書店)に続く、「移動する子ども」シリーズの第2弾として編んだ本である。私が早稲田大学に着任してから7年後の刊行であった。  内容は、前著と同様に、私の論考のほかに、大学院日本語教育研究科の院

      • MY BOOK REVIEWS ② 「移動する子どもたち」と日本語教育―日本語を母語としない子どもへのことばの教育を考える

        このシリーズの2冊目にレビューする書籍は、『「移動する子どもたち」と日本語教育―日本語を母語としない子どもへのことばの教育を考える』(2006, 明石書店)。 この本は、2002年に私が早稲田大学に着任してから最初に編んだ本であり、のちに「移動する子ども」シリーズと呼ばれる研究書群の第1冊目となる本である。「在日ベトナム難民家族」の人類学的なモノグラフ、『越境する家族―在日ベトナム系住民の生活世界』(2001)から5年後に刊行した本書の主題は、子どもの日本語教育に関するもの

        • MY BOOK REVIEWS①  越境する家族ー在日ベトナム系住民の生活世界

          このシリーズは、私が「移動する子ども」学を構想するようになった経緯や問題意識を、私の書籍をセルフ・レビューする形で述べてみたいと思う。 最初にレビューする書籍は、『越境する家族―在日ベトナム系住民の生活世界』(2001, 明石書店)。 この本は、「ベトナム難民」として日本に定住した人々について人類学的調査を行い、1997年に大阪大学へ提出した博士論文をもとにした書籍である。科研費の出版助成を受けて出版社に相談したところ、書名を「在日ベトナム人」にしてはどうかと提案された。

        MY BOOK REVIEWS ④海の向こうの「移動する子どもたち」の日本語教育―動態性の年少者日本語教育学

        • MY BOOK REVIEWS ③「移動する子どもたち」の考える力とリテラシー―主体性の年少者日本語教育学

        • MY BOOK REVIEWS ② 「移動する子どもたち」と日本語教育―日本語を母語としない子どもへのことばの教育を考える

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          「移動する子ども」学と私ープロフィール

          2024年4月、フリーランスになったので、noteを始めました。 複数言語環境で成長する子どもの研究を行なっています。そのきっかけは大学院生の頃、ベトナム難民家族の調査で出会った子どもに、習いたてのベトナム語で話しかけたところ、「そんな言葉、知らない」と言われたことだった。その子の両親も、家庭内ではベトナム語を使っているのに、なぜ知らないと言ったのか。そのことも、その時の少女の気持ちも、理解できなかった。30年以上前のことだった。 その後、オーストラリアの大学へ留学し、さ

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