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いのちの色〜森のイスキア 旅の記録

以前、一度書いたことがある森のイスキア。 

最近、本や書類を整理していたところ、2010年(私たちが訪れた二年後)に書いたエッセイが見つかりました。読み返してみると、忘れていたこともあり、より詳しく書いてあります。長いのでお時間のある時にどうぞ。2010年に書いたものを少し修正して載せます。


佐藤初女(さとうはつめ)さんという88歳(※2010年当時)になる女性がいる。青森、岩木山のふもとにある「森のイスキア」という宿泊施設で、悩みや苦しみを抱えた人々を受け入れている。
いちばん有名なエピソードは、自殺を考えていた青年が森のイスキアを訪れ、帰りがけに渡されたおむすびを食べて自殺を思いとどまったという話だろう。初女さんは青年と特別な話をしなかった。青年は、初女さんが心を込めて握ったおむすびを食べて、生きることを選んだのだ。

2008年の6月「森のイスキア」を訪れた。
晴天に恵まれ、新緑のうすい緑色の木々たちが迎えてくれた。
森のイスキアがどんなだったか私の旅を話すと、泣く人が多い。みんな目の端から小さな涙を一粒流す。
私はそれを見るたび驚いてしまうんだけど、きっと現代人はみんな切実にああいった場所を求めているんだと思う。

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