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テレビレビュー『ムチャブリ! わたしが社長になるなんて』(2022)彼氏なし・出世欲なし・30歳の女性社長

彼氏なし・出世欲なし

企業には、2種類の人が
いるような気がします。

その2種類とは、
「バリバリ働いて出世したい人」
「ほどほどに働いて
 プライベートを充実させたい人」

完全に二分するわけでもないですが、
私なんかは、圧倒的に後者ですね。

出世なんてしたくありません。

働く時間は極力短く、
もっと自分の時間がほしいです。

本作の主人公も後者の人間でした。

主人公・高梨雛子(高畑充希)は、
ベンチャー企業で社長秘書を
務めていました。

出世欲はなく、
ほどほどに働いて、
目立たないように、
そんな働き方の彼女でした。

一方、社長の浅見(松田翔太)は、
会社を一から立ち上げ、
大企業にまで成長させたカリスマです。

社長は、秘書である主人公に
数々のムチャブリをしてきたのですが、
最大級のムチャブリをしかけてきます。

そのムチャブリとは
新しく立ち上げる
子会社の社長に主人公を
抜擢することでした。

支えたくなるリーダー

子会社は、外食産業を展開する事業で、
社長が見つけた小さなレストランを
再生することが目的でした。

そもそも、出世欲がなく、
人を引っ張るようなことも
したことがない主人公です。

たくさんの失敗を重ねながらも、
一つひとつのステップを
クリアーしていくことになります。

子会社に出向してきた社員の中には、
主人公とは対照的な
出世欲の強い人間もいました。

それが、大牙涼(志尊淳)です。

大牙は、ことあるごとに
雛子にくってかかります。

しかし、いつも困った時に、
アイディアを出し、
すぐに動いてくれる
優秀な社員でした。

徐々に大牙は、
雛子の右腕のような存在に
なっていきます。

リーダーにも2種類の
人間がいるんですよね。

浅見のように
圧倒的なカリスマ性で
みんなを引っ張るリーダー、

雛子のように
ドジだけどどこか憎めなくて、
みんなが支えたくなるリーダーです。

いつもほんわかさせてくれる

本作はビジネスを
中心に描かれてはいますが、
シリアスタッチではなく、
ラブコメの作品です。

主人公は、30歳という
人生の節目に大きな岐路に立たされ、
仕事に恋愛に四苦八苦します。

シリアスに描こうと思えば、
それもできた作品のようにも
感じますが、
敢えてそこを外したのでしょう。

ライバル企業の妨害、
社内での反社長派との対立、
といった障害も出てきます。

しかし、いつも最終的には、
観ている者の心を
ほんわかさせてくれるんですよね。

これはもちろん、
脚本によるところが大きいですが、
出演者の力量にも
大きく左右される内容でもあります。

何かと、昨今のドラマには、
リアルさがもとめられがちで、
現実世界を忠実に描いた作品も
それはそれでおもしろいです。

しかし、私がテレビの娯楽に
特に求めているのは、
本作のようにホッとする
ドラマかもしれません。

心がヒリヒリするようなことは
現実社会にあり溢れていますから。
(もうお腹いっぱいなくらい)

そうして、現実社会で、
傷ついたり、疲れたりした心を
癒してくれるのは、
本作のように観ている者を
笑顔にしてくれる作品です。

今後もこういうドラマが
途切れることなく作られ続けるのを
私は観ていきたいです。


【作品情報】
2022年1月~3月放送(全10話)
脚本:渡邉真子
演出:猪股隆一
   狩山俊輔
出演:高畑充希
   志尊淳
   松田翔太
放送局:日本テレビ
配信:TVer、Hulu

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