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書籍レビュー『薬剤師は薬を飲まない』宇田川久美子(2013)薬に頼らなくてもいいように、自然治癒力を高める



薬を使わない薬剤師

薬剤師の方が書いた本です。

薬剤師といっても、
著者は「薬を使わない薬剤師」
なのです。

著者は若い頃に、
身内が病気で亡くなっており、
学生の頃から薬剤師を
目指していました。

病気で苦しむ人を救うためです。

そして薬剤師になったのですが、
そこで一つの違和感を
持ったそうです。

「このお薬とは一生の
 付き合いになりますから、
 気長に続けていきましょうね」

薬剤師になった著者は
患者にこんなフレーズを
口にするようになりました。

この言葉は矛盾していると、
感じたそうです。

つまり、薬が病気を治すなら、
「一生の付き合い」になるのは、
おかしいのではないか、と。

そこで著者は薬局に勤める
薬剤師をやめて、
新たな道を探しました。

どんな薬も身体全体に影響を及ぼす

薬のことをよく知っている
薬剤師から見ても、
薬は決して身体にいいものでは
ないそうです。

飲まなくていいのであれば、
飲まない方がいいし、

薬を飲むことによって、
逆に体調を崩す場合も
多いという話でした。

以前、漢方の本を紹介した時に、
西洋医学では局所的に
対処すると書きました。

これは誤解を与えそうな
書き方だった気もしますが、

簡単に言うと、
「症状」を抑えるのが
西洋医学というわけですね。

ですから、最悪の場合は、
問題のある部分を
切ってしまいますよね。

薬に関しては、例えば、
咳止めを飲んだとしましょう。

本来であれば、
この薬は喉だけに
効けばいいのですが、

残念ながら、薬は、
身体全体に影響を
及ぼしてしまいます。

炎症している喉だけではなく、
身体の中を巡って、
いろんな作用を
与えてしまうのです。

それがだるさだったり、
湿疹といった症状で出る場合には、
「副作用」と言われますね。

いろいろと薬の本を読むと、

「よく効く」ということは
「副作用」も強く出る
という話が必ずといっていいほど、
出てきます。

つまり、薬の影響力が強ければ、
それだけ身体に与える影響が
大きいということなので、

副作用も大きくなってしまう
ということですね。

薬に頼らなくてもいいように、
自然治癒力を高める

著者によると基本的には、
薬の力に頼らず、
本来の身体の治癒力を
高めることが大事だそうです。

薬を飲むと、
体温が下がるのが
やっかいなもので、

体温が下がると、
身体が抵抗力を
なくしてしまうそうです。

体温を下げないためにも、
食事に気を配るのと、
運動も大事です。

著者自身も若い頃は
頭痛持ちで、
頭痛薬を常用していたそうで、

他人のことは
「そんなに薬を飲んで」
と批判的に見ていても、

自分のこととなると、
甘くなってしまったと、
告白しています。

薬を常用すると、
問題なのは、
先ほども挙げたように、
体温が下がること、

また、常用することによって、
効き目が薄くなっていき、

最初は1錠だったものが、
2錠、3錠と量を
増してしまいがちになるのが
怖いことですね。

そんな著者が薬に
頼らなくなったのは、

歩き方を改善して、
運動するようになったことが
大きいそうです。

(著者はデューク更家の
 教室に通い、
 歩き方が改善され
 体調も良くなった過去がある)

もちろん、薬が必要な場合は
ありますが、

それを絶対視せずに、
生活習慣を改善することも
長生きのためには
必要なことでしょう。

個人の体質もあるので、
「これさえやれば、
 誰でも大丈夫」
なんてものはないと思いますが、

この本の中では、
代謝を上げるための
有酸素運動なども
紹介されています。

そういうものを
試しにやってみるのも、
いいかもしれません。


【書籍情報】
発行年:2013年
著者:宇田川久美子
出版社:廣済堂出版

【著者について】
1959年、千葉県生まれ。
薬剤師。栄養学博士。

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