見出し画像

映画レビュー『ビッグ』(1988)たまには童心に返ってみませんか?

早く大きくなりたい願望

子どもの頃に何度も観ていて、
忘れられない作品がいくつかあります。

本作もその一つです。

主人公は12歳の少年で、
ある時、家族で移動型の遊園地に
遊びにきていました。

ジェットコースターの列に
前から好きだったクラスメイトの
女の子を見つけた少年は、

彼女に近づくために、
その列に並びます。

家族できているのは隠して、
彼女に声をかけてみたものの、

彼女のボーイフレンドらしき
男性が現れ、
少年は見事に玉砕しました。

おまけにジェットコースターの
身長制限にひっかかり、
肩を落としながらその場を去るんです。

心の底から「大きくなりたい」
と願う少年は、その後、遊園地で、
不気味なコインゲーム機
「ゾルダー」を発見します。

ゾルダーは魔術師のような人形が
ガラスケースに入った機械で、
コインを入れて願い事をすると
なんでも願いを叶えてくれるのです。

少年は「大きくなりたい」と願いながら、
ゾルダーにコインを投入しました。

ゾルダーからは「願いは叶える」
という小さなカードが出てきて、
少年はそれを大事に持ち帰ります。

次の朝、起きてみると、
少年は30代くらいの大人に
成長していたのです。

ある日、突然大人になったら

30代男性になった主人公は、
不審者と勘違いされ、
実家を追われます。

その後、学校に行き、
親友をなんとか説得して、
助けを求めることに成功しました。

親友の助言で、ニューヨークに行き、
おもちゃメーカーに就職した主人公は、
自由な発想力で、
一目置かれる存在になっていくのです。

(そりゃあそうだ。
 子どもの発想力には誰も敵わない)

一方で、主人公は、
このまま大人のままでいいと
思っているわけではありません。

親友に頼み、移動型遊園地にあった
ゾルダーを探してもらっています。

果たして、ゾルダーが見つかって、
主人公は元の子どもに戻れるのか、

一方で、仕事に恋に、
子どもの心のまま
「大人の生活」を満喫する
主人公の活躍も目が離せません。

たまには童心に
返ってみませんか?

その昔、本作を観た時は、
私自身も子どもだったので、
やはり「子どもの目線」で
本作を楽しんでいました。

クリームをサンドしたクッキーを
クリームだけ舐めて、
クッキーを捨ててしまったり、

おもちゃ屋さんに
ディスプレイされているおもちゃで
夢中になって遊んだり、

主人公は大人の姿なのに、
子どものようなことをするのが、
今の目で観ても抜群におもしろいです。

主演のトム・ハンクスは
もともとコメディアン出身で、
こういう役を演じさせたら、
右に出る者がいないほどでした。

その演技力は、若い頃の彼の代表作
『フォレスト・ガンプ/一期一会』(’94)
などでも発揮されています。

彼の表情には、
曇りのないまなざしが
感じられるんですよね。

一方で、大人になった今の目で
本作を観ると、
「大人のままでいいんじゃないの」
とも思ってしまいます。

それくらい、日々の暮らしが
充実しているように見えますし、

遊んで稼いでいるような感覚は
社会人となった今の自分からすると、
うらやましく見えるんですよね。

「子ども」と「大人」の違いについても、
いろいろと考えさせられてしまいます。

子どもは人の目を気にしません。

好きなものを好きなだけ、
自由に行動することができます。

大人になると、
人目を気にするようになり、
自分が何を好きかさえも
わからなくなる人も多いでしょう。

「こんなことをしたら」と、
小賢しいことばかり考えて、
どんどん本来の自分から
離れていってしまいます。

そんな社会の中だからこそ、
子どもの心を持った主人公が
異彩を放つのは
当然のことなんですよね。

大人のあなたも本作を観て、
童心に返ってみませんか。

本来の自分を思い出すかもしれません。


【作品情報】
1988年公開
監督:ペニー・マーシャル
脚本:ゲイリー・ロス
   アン・スピルバーグ
出演:トム・ハンクス
   エリザベス・パーキンス
   ロバート・ロッジア
配給:20世紀フォックス
上映時間:104分

【同じ監督の作品】

【子どもが急成長する作品】


この記事が参加している募集

#映画感想文

66,844件

サポートしていただけるなら、いただいた資金は記事を書くために使わせていただきます。