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ノック11本目:自分から動くことで人を動かすリーダーシップ100本ノック  ~伝説の開発プロジェクト~(前編)

<プログラム概要>
若手社員向けリーダーシップ(ジュニアリーダーシップ)を学ぶ研修。
中堅社員向け研修分野におけるアルーの最大のヒット商品。


自分から動くことで人を動かすリーダーシップ100本ノック」の開発ストーリーは、本note記事初の前後編でお届けさせていただきます。開発のポイント「DNA」については、後編にまとめて記載をさせていただきます。

<すごい開発バイブル まとめて読まれる際はこちら↓>

すごい開発バイブル

本プログラムは2008年7月~11月に開発をしました。現在はアルーを代表する中堅社員向け100本ノック研修です。某企業様の3年目研修の大型コンペで、最終的に競合であった大手研修会社様に勝利した案件でした。

お客様から案件相談をいただいたのは、2008年5月下旬でした。
こちらの企業様とのお取引は、2007年秋より2年目研修で「プロフェッショナルスタンス100本ノックプロフェッショナルスタンスシミュレーション等」をアルーが提供させていただいておりました。その実績を踏まえて3年目研修のコンペティションに参加させていただくことになったのでした。

創業メンバーで書籍「無敗営業」著者の高橋浩一さん(2009年末まで在籍)、中村俊介さん(現:アルーエグゼクティブコンサルタント)、須藤賢太郎さん(現:アルー商品開発部グループマネジャー)の3名がお客様より与件をヒアリングされてきました。

全体5日間・受講者数約300名という大きな案件」とのことで私も企画段階から参加をすることになりました。


①コンペ決勝戦は一騎打ち

お客様よりいただいた当初の研修の与件は、「他部署との折衝力、全社最適を作る力」というテーマでした。大きな組織の中で如何に他部署と連携しながらやっていくか、その力をつけるというテーマです。

前年度は、別の研修会社様が納品を担当されて「全社最適をビジネスゲームで学ぶ研修」を実施したとのことでした。残念ながら研修目的を達成することがあまりできなかった、というお話をお客様よりご共有いただきました。

対立する部署同士が「WIN‐WIN」となる選択肢を取るとゲームに勝利できる仕掛けだったそうでしたが、受講者の方々にそのゲーム構造をすぐに見抜かれてしまい、ゲーム上だけ表層的なの「WIN‐WIN」づくりの方法しか学べなかったとのことでした。

アルー内で当初企画したのはネゴシエーション100本ノック」(本note10本目)をベースとして、交渉・折衝能力を高める企画内容にしていく案でした。その案を持ちながらお客様と議論を進めていきました。

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お客様との議論を重ねる中で、お客様の中で与件がだんだんと固まっていきました。そして6月下旬の段階において、3年目社員に必要となる「5つの力」を学ばせる研修にすると与件が固まりました。

5つの力とは、
①課題発見力
②ゴールを掴む力
③周囲を巻き込む力
④他部署との折衝力
⑤後輩指導力

というものでした。

また5日間研修のうち前半3日間を外部講師が担当、後半をお客様社内で担当するという構成で固まりました。


アルー内では、この5つの力と構成を踏まえて、それぞれに企画構想段階のラーニングポイント案を設定しました。思い出深いのは、東京の四ツ谷にあるスターバックスコーヒーで高橋さん、中村さん、須藤さん+私という構成で、で議論をしたことです。

こうして約1ヶ月程度の時間を経て、当初5社以上声が掛かっていたコンペティションでしたが、最終的に2年目研修で実績のあるアルーか、新人導入研修を担当している大手研修会社様か、という一騎打ちの決勝戦となりました。

お客様からのアルーの評価は「論理がしっかりしている、ボトムアップで全員を持ち上げることができる安心感がある」ということでした。
一方で大手研修会社様に対する評価は「アルーとは全く違うアプローチです。インパクトがあります」というもので「現時点評価は50:50です」という話をされていました。

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②「リーダーシップ」というキーコンセプトで勝利!

コンペに勝つために、そして受注後納品の際に受講者の記憶に残るものを創るために、私はは「あと一つパーツが足りない」と感じていました。

それはお客様の与件にある「5つの力」を踏まえて「ひと言で受講者に伝えるキーコンセプト」となるメッセージでした。

そして、出てきたキーワードが「現場のリーダーシップ」でした。

自ら課題を発見し、ゴールを描き、周囲を巻きこみ、対立を乗り越え、後輩を育成していく、という5つの力をつなげた時に相応しい言葉が私の中では「現場のリーダーシップ」というものでした。

この言葉は論理的に考えたものではなく、ふっと落ちてきた言葉でした。そして偶然ではありましたが、この言葉に基づけば、他者に指示命令をする権限がない入社3年目の若手社員が、大きな組織の中で主体性を発揮して成果を出すために5つの力が必要になることや、現場での発揮イメージを説得力を持って説明することができました。

「現場のリーダーシップ」を学んでいただく、そのシンプルなコンセプトをお客様に提案し、共感を得ることができました。

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ただし「現場の」という表現は、お客様の中で営業現場を指す言葉であり、誤解を招いたり、イメージが偏って伝わってしまう可能性がありました。議論を重ね結果として「3年目社員のリーダーシップ」という表現に変わりました。

このコンセプトに加え、当社の実績、講師体制、ボトムアップアプローチというお客様からご評価をいただいている点、お客様パートの内製プログラムの開発支援など総合的に評価をいただき、アルーは受注をすることができたのでした。

この受注は2008年当時のアルーの経営的な観点からも非常に大きなものでした。2007年に大きな体制拡大をしたことで赤字決算だったアルーは、2008年は絶対に負けられない年でした。この受注により年間黒字が早期の段階で確信が持てました。

ライバルの大手研修会社様の提案は「受講者が自らの殻を破り変革をする」ことをコンセプトに、今回の案件向けにオリジナルでプログラムを開発するというものだったそうです。

お客様にとってインパクトのある提案だったとお聞きしましたが、受講者次第で差が出そうであったという点が懸念されたこと、またお客様チーム内での議論の結果、ボトムアップで全員の底上げをしていきたいという方針となり、アルーを選択していただきました。

後日談ですが、私は当時そのライバルの大手研修会社様の責任者だった方と会食した際に、このコンペの話は話題に上がりました。ちなみに先方はコンペティション中にお客様から「40:60でアルーの方が優勢だ」というお話をされていたとのことでした。なんとか状況を逆転するために先方も社内で全力で議論をされたとのことでした。私は50:50ということで必死に試行錯誤をしておりましたが・・・。サービスベンダー両社からよりよい提案を引き出されたお客様が一番上手ですね。


③開発スタート!プロジェクトチーム結成

幸いにして受注!ということになりましたが、次なる課題は11月の研修実施に向けてプログラムの開発をすることでした。
5日間という大型の研修であり、想定される開発工数は大きなものでした。「5つの力」という与件があるものの、若手社員向けのリーダーシップというテーマは未知のものであり、難易度は非常に高いものでした。
受注後最初に行ったことは、開発のための体制整備でした。

営業側責任者として高橋さん、メンバーに中村さん、須藤さん、開発側の全体デザイン責任者として私、メンバーとして村田直人さん(現:カスタマイズ部門責任者)、Mさん、Oさん、パスタブリッジを一緒に作ったTさん、全体責任者として落合社長が入るという大人数チームです。

全体では5日間のプログラムでありましたが、このnoteでは前半3日間のアルーパートについてフォーカスをして以降話をしていきます。

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④インタビューによるラーニングポイント調査

開発チームとして最初に着手をしたことは、ラーニングポイントの調査でした。若手社員のリーダーシップとは何か?そのポイントを押さえずして、深みのあるプログラムは作れないと考えたためです。

ラーニングポイントの調査として私は2つのアプローチを取りました。

一つは書籍調査でした。しかしこの案件に関しては、書籍調査はあまり役立ちませんでした。なぜなら「若手社員向けのリーダーシップ」について触れている書籍がほとんど存在しなかったからでした。
2000年代では「リーダーシップ」というキーワードは、経営者やマネジメントの方を対象とした学びのテーマであり、現場の若手社員向けにまとまったノウハウというものはありませんでした。

研修で扱うテーマが先進的になるほど、世の中に出版されている書籍には書かれていないものです。逆説的ではありますがこのテーマは当時それだけ先進的なものでした。


もう一つのアプローチがこの案件では大いに役立ちました。
それはインタビュー調査でした。

職場において若手社員の頃からリーダーシップを実際に発揮してきた方々から話を聞くことで、帰納的にラーニングポイントを抽出するという方法を取りました。

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私は自分のネットワークを駆使して、複数の方からアポイントメントをいただきました。
元採用支援サービス企業において入社3年目の頃に新部署を立ち上げたNさん、当時総合商社で活躍中のUさん、インターネット企業で若手ながら300人の部署の事業本部長を務めていたRさん、大手教育サービス企業で活躍されていたKさん等・・・。
またお客様社内の方にも複数インタビューをさせていただきました。

インタビューはお一人当たり2時間程度。全員のインタビューを通じて作成したメモは、印刷をすれば100枚以上を越すちょっとした小説並みの分量でした。

インタビューをする毎に、開発チームで「5つの力」に沿って学びの要点を整理しました。またその学びのポイント毎に、該当するインタビュイーの事例を整理していきました。

こうした作業を繰り返したことで、お客様がおっしゃっていた5つの力について、現場での成功のポイントと事例を多数蓄積することができたのでした。


インタビューとその抽出作業は非常に地味なアプローチでしたが、机上で考えたラーニングポイントではなく、地に足のついた事実に基づくラーニングポイントを作り上げることができたのでした。



自分から動くことで人を動かすリーダーシップ100本ノック(後編)に続く

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本noteでは別途アルーの創業からの歴史をまとめた「スタートアップ企業としての営業組織づくりノウハウ」を公開しています。ぜひご覧ください。

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