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ノック2本目 プロフェッショナルスタンス100本ノック ~計算と偶然の産物~


<プログラム概要>
G-PDCAサイクルのフレームに合わせて仕事の基本動作を身につける新入社員向け研修プログラム。代表的な100本ノック研修の一つ


プロフェッショナルスタンス100本ノックは、ロジカルシンキング100本ノックと並ぶアルーの看板プログラムです。開発に着手したのは2006年7月。教育研修ビジネスをいよいよ大きくしていこうというタイミングでした。


創業後、様々な分野に取り組んできたエデュ・ファクトリー(アルーの旧社名)でしたが「企業向け研修ビジネスでいける」と確信をしたのが2006年の頭くらいでした。
徐々に営業が順調になっていく一方で、拡大のためには研修プログラム不足が懸念されました。

当時はロジカルシンキング問題解決思考プレゼンテーションの3種類しか研修プログラムがありませんでした。

当時の営業のSさん(2005年入社~2008年まで在籍)はお客様からの与件を全て聴いた上で、ビジネススキルの話であろうと、部下育成の話であろうと、新入社員研修であろうと「全てロジカルシンキング100本ノックの提案に落とし込んでいた」という逸話がありました。


それくらいロジカルシンキング100本ノックは時代が必要としていたテーマだったと思いますが、とは言えそれだけでは、お客様の多様化するニーズにお応えすることは無理だという判断をいたしました。

<すごい開発バイブル まとめて読まれる際はこちら↓>

すごい開発バイブル


①仮タイトル「仕事の進め方100本ノック」

2006年7月。落合社長の開発方針に基づいて、複数の研修プログラムを開発するプロジェクトをスタートしました。企画/デザインは社内、実際の資料化部分については、外部パートナーのお力を借りて一気に開発するというプランで見切り発車的にスタートをしました。


プロフェッショナルスタンス100本ノックは、その大型開発プロジェクトの中の一つのテーマでした。開発段階の仮タイトルは「仕事の進め方100本ノック」。このテーマをどうして選定したのか・・・。当時、新入社員向け研修の提案機会が増加しており、アルーとしての新入社員向けの代表的な研修プログラムを開発するということを目指していました。


仕事の進め方100本ノックのコンセプトは「ビジネスマナー以外で新人に必要なものは全部入っている」というものでした。


ロジカルシンキング100本ノックはどちらかというとコミュニケーションよりの研修テーマであったため、段取り、ホウレンソウといった業務推進・管理に関するテーマを取り上げようと考えました。


②競合を徹底的に研究

アルーは、企業向け研修サービス会社の中では、最後発の会社だと認識しています。新入社員研修というのは、古くから市場として存在しており多くの競合研修企業がプログラムを保有しています。


当時新人向けでは先行していた、複数社の研修プログラムをベンチマークして徹底的に研究しました。「G-PDCAサイクル」という仕事の基本サイクルが、本プログラムの骨子となっています。これは競合企業商品の研究成果からインスピレーションを得て全体を取りまとめるフレームワークとして採用することにしました。

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(※上記画像は2009年Ver4以降のもの)


こうして研修の全体的な枠組みが定まり、そこから詳細な学びのポイント=ラーニングポイントの検討を進めていきました。


ラーニングポイントの選定に関して一つ留意したことは、G-PDCAサイクルという枠組みに一つずつ意味合いを持たせて仕事の基本動作を身につける構成にすることでした。


G=「ゴールの確認」
P=「重要度と緊急度」
・・・・という形で、一つ一つの枠組みに対して、受講想定となる新入社員の方に身に着けてほしいポイントを設定していきました。


企画した内容を、実際の資料に落とし込むところは、外部パートナー企業のP社様にご協力をいただいて一緒に制作を進めていきました。


そうして完成した仕事の進め方100本ノックは、2006年10月に生命保険会社様の2年目社員研修にて初の納品をさせていただきました。
研修自体は高評価をいただきましたが、いくつかの点が「エッジが立ちすぎていた」ことにより改善が必要というご評価をいただきました。


当初ノック3本目(3つ目の演習)は「クイック&ダーティー」というポイントを学ぶ演習でした。コンサルティング業界等企画系の職種では必要な仕事の基本動作でしたが、金融機関の方向けラーニングポイントとしてはあまり適切ではなかったのかと思います。


こうして幾つかの課題はありましたが、受講生の方より「もっと早く学びたかった!知っておけば仕事で苦労をしなかったことがこの研修には詰まっている」という声を多く頂き、ポテンシャルのあるプログラムという印象を持ちました。

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(※画像は2006年Ver0時点の演習問題の一つ。現在は使われておりません)

③「プロフェッショナルスタンス」への改称


しかしそれ以降アルー内では販売がなかなか進みませんでした。
実は、このプログラムを大々的に販売し、アルー社内の知名度を高めたのは、当時業務提携をしておりましたF社様でした。


2006年8月にスタートしたF社様は、新人若手に特化した研修プログラムを提案する会社です。創業初期においてはアルーが研修プログラムの主力供給元としての位置づけを担っておりました。


そこでF社様から、新入社員向けのキラープログラムを用意してほしいというご要望をいただいたタイミングと、この仕事の進め方100本ノックの開発タイミングが合致しました。


F社のW社長の案で、仕事の進め方100本ノックは「プロフェッショナルスタンス100本ノック」というタイトルに変更することになりました。
このタイトルは、元々F社設立段階からキラーコンテンツに付ける予定でした。アルーの主力プログラム「プロスタ」(プロフェッショナルスタンス100本ノックの略称)は実はF社W社長による命名だったのです。


そして「プロフェッショナルスタンス100本ノック」に改名してから飛ぶように売れるようになりました。「普遍的であるが差別化されたプログラムタイトル」を命名することは研修商品作りには極めて重要であると、このケースを通じて学びました。


2007年4月には、プロフェッショナルスタンス+マナー2日間プログラムというセット提案を多数受注することができました。お客様からの評価としては、新入社員に伝えるべきことが「ワンパッケージに全て含まれている」というものでした。当初の企画思想が当たりました。これによってプロフェッショナルスタンス100本ノックは、アルーの社内でも認知度が高まっていきました。


④継続的な改定によるバージョンアップ

2007年4月の新入社員研修大量納品を控えた2月頃、生命保険会社様への初回納品時の課題を解決するためにバージョン2へと改定をすることになりました。

当時在籍したOさん(現在はアルーのパートナー講師としてご活躍)、落合社長を中心に改訂に取り組みました。この時に開発されたものが「ノック1本目ゴールの確認:ホテルの選定」という演習です。

この「ホテルの選定」という演習は、ネタばれ防止のため内容詳細の記載は控えますが、新入社員の方が思い込みで行動をしてしまいがちなシチュエーションを設定しており、演習問題として非常にインパクトがあるものです。(2021年現在でもよく用いられる演習です)

これによって研修の冒頭から受講生に気付きを与えるインパクトを持った研修に生まれ変わりました。

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(※上記画像は2007年Ver1で作成したスライド)


2008年バージョン3への改訂。様々な演習上の不整合が修正され、ラーニングポイントが明確になり充実した内容になりました。


特にG- PDCAサイクルの各項目に対応したメッセージが研ぎ澄まされ、受講者の記憶に残すということが重視されました。一方で研修教材のボリュームが増えすぎてしまい、研修現場において講師オペレーションが大変になってしまったというのがバージョン3の特徴でした。


バージョン3に改定をした頃には、プロフェッショナルスタンス100本ノックはアルーの中で代表的なプログラムとして地位を確立していました。


他のプロフェッショナルシリーズと比較しても、高い社内認知がありました。G-PDCAサイクルというキーポイントが普遍的かつシンプルであり、演習構成も良くできていたためだったかと考えています。


2009年バージョン4への改訂。資料ページ数を大幅にカットし、講師オペレーションのしやすさを追求しました。バージョン3時点において、パワーポイントスライドが180ページあったものを120ページまでカット。(同タイミングにて他研修プログラムも同時にページ数の20%カットを実施しました)。


コスト、オペレーションしやすさ、印刷枚数の削減というECO観点からもメリットがある改定でした。


また、教材における「解説の構造」をWHAT→WHY→HOWの順番に統一しました。これは重要概念を理解する際の基本フレームワークであり、教材作りに導入したのはプロフェッショナルスタンス100本ノックバージョン4が最初でした。


プロフェッショナルスタンス100本ノックは、定期的なバージョンアップ改定をしながら、納品クオリティと商品力を高めてきたことが特徴です。
(2021年時点においてはバージョン12を超えています。最新のバージョンはリモートワーク環境に適応した仕事の進め方を学ぶ内容となっています)


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プロフェッショナルスタンス100本ノック 開発における教訓


DNA6:競合プログラムの徹底的な研究・ベンチマーキングは重要
複数の競合企業のプログラムの研究を行った
公開情報から得られる情報を徹底的に収集し分析する


DNA7:タイトルは重要。普遍的であるが、差別化されたものをつけることが大切
プロフェッショナルスタンス100本ノックと改称してから売れた
「プロスタ」というような略称が付くことは重要(覚えやすい)


DNA8:対象者に対して必要な学びがワンパッケージで入っているという構成が重要
新入社員に対して必要となる学びが全部入っているというコンセプトがお客様ニーズに合致した


DNA9:定期的な改訂、バージョンアップを繰り返し、完成度を高める
1年に一度改定を繰り返したことで高いクオリティを実現している


DNA10:講師のオペレーションのしやすさを考えボリュームを絞り込む
1日プログラムならページ数は120ページ以内にした
コスト、受講者理解のしやすさ、環境など大きなメリットがある

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よろしければ、続きの記事もご覧ください!

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本noteでは別途アルーの創業からの歴史をまとめた「スタートアップ企業としての営業組織づくりノウハウ」を公開しています。ぜひご覧ください。

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