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「複雑な世界で。」


映画・「グリーンブック」を観た。

ジム・クロウ法という黒人を差別する法律があり今より顕著に差別が行われていた1962年アメリカ。

仕事を探していたトニーはコンサートツアーを行う天才黒人ピアニストの運転手としてスカウトされる。

仕事を引き受け二人はグリーンブック(黒人用旅行ガイドブック)を頼りに8週間のツアーに出かける。

という実話に基づいた映画。

昨年度のアカデミー賞作品賞を獲った映画でもあり映像も内容も良かった。



ただ良い映画だとは思ったんだけど、

この世は複雑だ。

とトニーが言っていたように世の中はかなり複雑なんだなと思った。


そう思ったのはこの映画に対しての評価だ。

恐らく人種差別が少ない日本人がこの映画を観たら、大半は良い映画だと思うだろう。

差別されることに対して絶対に暴力で対抗しない天才ピアニストシャーリー。
仲良くなったシャーリーを守るトニー。

あっこれは死ぬな。
とか
ツアー中止だな。
とか
予想されるシーンが幾つもあり何度も死亡フラグが立てられるんだけど、
それを乗り越え無事にツアーを達成しハッピーエンドで終わる。

言い方は悪いけど、結局ハッピーエンドで終わるから良い映画だと思うんだろう。


ただ、アメリカでの評価は違う。(違うというか別の評価がある。)

アカデミー賞を獲得したもののこの映画に対して批判的な評価が多いんだ。


なぜか?

それは「白人が黒人を差別から救う」描写が誇張されていることに背景があるらしい。

いわゆる白人の救世主と言われるやつでそれの何がダメかと言うと、

差別を描いて差別批判し多様性を持って仲良くしようという想いがあっても、描き方が「白人の救世主」だったら結局それは差別を助長してることと同じだからだ。

それに、白人に助けられる非白人は自分で問題を解決できない無能だと捉えることもできる。


これが批判されている主な理由なんだけど、

映画を観ただけじゃ俺みたいな何も知らない日本人はそんなこと思わないだろう。


でも、それが現実だ。
現実は意外と複雑なんだ。

そして、この複雑な現実や背景を知ることが多様性が広がる社会で必要なことだ。


多様性が今後広がり様々な国の人と関わりを持った時、複雑な背景を知らないまま接すると地雷を踏んでしまい人間関係や人生にかなりのダメージを負ってしまう。

ダメージを負うとは自分だけじゃなく、もちろん相手にもだ。


じゃあ、どうやって複雑な現実と背景を知っていけばいいのか?

それは歴史を学ぶことだ。

過去の延長線上で今があるなら歴史を学ぶことは必須。

それに加え、文化を知ることもいい。

歴史と文化はかなり繋がっているから、文化を知りなぜこの文化が生まれ拡がっていったのか?を知れば歴史も見えてくる。

知らないというつまらない理由でお互いが嫌な思いをするのは馬鹿らしいでしょ。



日本人は差別に疎いかもしれないけど、日本で働く外国人労働者に対しての差別がヒドイことは世界的に有名だ。

今後、外国人に頼るしかなくなるのにそんなことしていたら後進国が加速する。

日本人だからこそ今ある差別と歴史を知るべきだ。


この世は複雑だ。

歴史を知ろう。


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