見出し画像

【4/23日記】リーフパイ一枚分の幸せ

実家からお菓子が届いた。

「大変な時だから、お菓子でも食べて頑張ってね」とのこと。ありがたや。

開けてみると、リーフパイが入っていた。しかも大きいやつ。下手したらモデルさんの顔くらいある。開けてすぐ頬張る。バターの香り。ほころぶパイの層。しゃくしゃくした砂糖のコーティング。美味しい。幸せの味がする。そう思いながらありがたくいただいた。

***

美味しいものを食べているときは、無敵だ。だって美味しいものは、人を幸せにするから。

これくらいの幸せのサイズ感、ちょうど良いなあと思う。たぶん幸せは大きすぎない方が良い。持て余してしまうだろうから。

例えば、明日一億円あげますと言われたらどうだろう。あるいは、あなたの書いたnoteが芥川賞候補です!とか。はたまたアラブの石油王からプロポーズされるとか。

どれも夢のあるおはなし。巨万の富や社会的成功。どれも手にしたことがないからわからないけれど、きっとそれらが手に入る瞬間は素晴らしいものなんだろうなあと思う。

でも、いざ目の前にしたら、幸せより、戸惑いが先にきそう。本当にいいのでしょうか、私なんかで。みたいな。それでも普通に一億円は欲しいけど。

だから、私には「リーフパイ」ぐらいの幸せがちょうどよい。身の丈に合っていて後ろめたくないサイズの幸せ。これくらいの幸せを、毎日かみしめていたい。

***

あまり本を読むタイプではないんだけれど、たまに読み返す本がある。

内田樹さんの「疲れすぎて眠れぬ夜に」という本。タイトルどおり、ちょっと疲れちゃったかな?という時にたまにパラパラと見返すようにして、自分を取り戻している。そんな大切な本。

その本の中に、好きな言葉がある。

簡単に幸せになれる人間というのは、なんだか薄っぺらでバカにされそうですけど、すぐに幸せになれる能力というのは一種の能力だと思います。

読んだ時、なんだか嬉しかった。それでいいんだよって言ってもらえた気がした。

私は幸せのハードルが低い。自分でも何となく自覚している。だからこそ、今の現状に甘んじてしまうんじゃないかって。より高みを目指そうとする気概はほとんどない。そんな向上心のかけらもない自分に引目を感じることがたまにある。

そんな時このページを開いては思い出すようにしている。私にとって大事なのはこういうこと。今の現状に甘んじようがなんだろうが今、幸せを感じているかどうか。そして今この時点が心地よい環境かどうか。私にとって、本来大切な軸とは何か。それを再確認できる言葉たちが溢れている。

リーフパイ一枚分。それを幸せと思える自分で良かったのかもしれない。

薄っぺらなようでいて、ほんとに薄っぺらな幸せだけど、これくらいがちょうどよい。もしアラブの石油王と結婚していたら、私はどうなってしまっていただろう。このお菓子を食べて美味しいと思っても、幸せだとは思わなかったかもしれない。

薄っぺらな幸せを積み重ねていく。とりあえずそんな自分で良かった。アラブの石油王の妻になれなかった自分で。

***

ところで件のリーフパイはクラブハリエのもの。大きくて美味しい。今度誰かにプレゼントする機会があったらこれにしようと思う。


この記事が参加している募集

一度はサポートされてみたい人生