【読書録】ザ・ビジョン(ケン・ブランチャード)
所感
よく言われる「ミッション」「ビジョン」「バリュー」というのが具体的にそれぞれ何を意味するか・何を考慮するべきなのかが少し分かるようになった一冊。
この本で定義されている「ビジョン」(上述の「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を包含しているイメージ)を創造するうえで個人的に特に重要だと思っているのが以下の2つ。
具体性
プロセス
ビジョンのあらゆる要素において、「具体性」がなければならない。
「具体性」とは何かというと、文面を見たときに具体的な「行動」をイメージできるかどうか、ということ。
具体的行動に繋がらないような、受けのよさそうな横文字を並べているだけのビジョンには、創造したときの若干の満足感を得られるだけで何の意味もない。
ビジョンは「中身」ももちろん重要だが、それと同じくらいいかに創造していくかという「プロセス」も大事。
理想はメンバー全員で徹底的に議論。
ビジョンが創造される背景や、議論の中で各メンバーの価値観を共有することができる。
ただ、やはり大きな企業となってくると、全員参加というのは必ずしも現実的ではない、と思っている。
その中においても、ビジョン創造までの「プロセス」を逐次共有することが重要だと思うし、「プロセス」の共有が熱量の伝播にも繋がると思う。
この本は組織におけるビジョンを創造する際に参考になるのはもちろん、「個人の人生のビジョン」を考えるうえでも非常に役立つと思う。
で、結局一番響いたのはこの一文。
これからも愚直に積み上げていきましょう~
以下は、個人用メモです。
0. まえがき
「どこか」こそがビジョンであり、明確なビジョンがなければ、リーダーシップを発揮しようがない。
また、どれだけリーダーシップに優れていても、ビジョンに共感性がなければ、単なる自己満足に終わる。
1. 本当のはじまり
言語化のメリット。
いざ、文章に起こしてみようとすると、全く書けないことが多いし、書こうとすると自分の頭の中を整理する必要が出てくる。
また、この「大切なもの」こそがビジョンに繋がってくる。
「大切なもの」を定期的に言語化する・振り返ることで、人生が豊かになってくる。
2. 「ビジョン」とは何か
明確かつ共感性の高いビジョンを掲げないと、“全速前進” できない。
スピード感がない理由として、至る所に無駄や滞留がある、というのはよく挙げられることだと思うが、そもそも “全速前進” 出来ていない、メンバーをフルパワーで稼働させれていないのでは。
3. ビジョンの要素① 有意義な目的
ビジョンを考えるときには、組織の「目的」「使命」を改めて認識する必要がある。
かつ、具体的に何をするのか・何をすべきなのか、も重要な気がする。
また、組織のメンバー全員が強く意識できるような目的や仕組みを考える必要がある。
上位レイヤーだけが目的を意識して、プレイヤーはただ動かされるだけ、では目的の意味がない。
常に自問し、メンバーと議論し続ける必要がある。
会社、組織にも当てはまることだが、各製品やサービスにも当てはまることだと思う。
これは組織的な話だけでなく、人生一般にも非常に当てはまると思う。
人生の「目的」を明確に持つことは容易ではないが、もし持てているなら今自分が取っている行動が「目的」に繋がっているか、を常に考えるべき。
「目的」という結果だけではなくて、その「目的」に至るまでのプロセスを共有することが大事。
「目的」というのは、メンバーに熱量を与えるものでなくてはならない。
4. ビジョンの要素② 未来のイメージ
最終結果のイメージングは基本的にポジティブな発想になるため、人々の意欲を掻き立てやすい。
具体的にイメージできるように、最終結果を落とし込む必要がある。
5. ビジョンの要素③ 明確な価値観
「目的」を達成して、「未来のイメージ」に進んでいくためには、日々どのような行動をとるかの判断基準となる「価値観」が重要である。
自分自身はもちろん、組織のメンバーの価値観も把握しておく必要がある。
加えて、具体的な行動が示されているも重要。
言葉だけ並べられても、行動に結びつかない。
自分の価値観に従って生きることこそが、自分らしく生きること。
自分の価値観を明確に意識できている人はどれだけいるか。
6. ビジョンを定義する
あるひとつのものごとを成し遂げ終わってしまうのは、それがビジョンではなく目標に過ぎないから。
明確なビジョンがあれば、すぐに次の行動に移れる。
これはビジョンを設定する上で迷ったときの1つの指針として、非常に参考になるはず。
また、このチェックリストを満たしているビジョンを掲げている企業がどれだけ存在するか見てみるのも面白そう。
7. ビジョンがぼやける
時間経過とともに、メンバーも入れ替わるし、世の中も大きく変化するため、ビジョンがぼやける・合わなくなることもあると思う。
そんなときはまたメンバーで時間をかけて、今のメンバーの特性・時代の流れを考慮しながら、ビジョンを修正すればいい。
ビジョンは指標ではあるが、固執するものではない。
8. いまがなければ、未来もない
(急に思考の雰囲気が変わるが笑)
上の言葉や章のタイトルを見たときに真っ先に思い出したのが、嵐の大野くんの言葉
「今、目の前にあることを頑張れないやつが何を頑張れんだ」
現状に対して向き合えていない組織がビジョンだの言っても、それは単なる絵空事にしか過ぎない。
9. 視界が開ける
これは確かに組織としては問題ではあるが、一個人の人生としては必ずしも悪いとは限らない。
一歩進めているだけで十分すごいし、どこに続くのか分からない道を歩むのも面白い。
11. 「3つのいかに」でビジョンを現実にする
個人的にはもはや「中身」より「プロセス」のほうが大事とまで思っている。
大企業だと、上のレイヤーだけで考えられ発信されることが多いが、その「プロセス」を共有できていないと、絶対に浸透しない、ただの飾りになる。
メンバー全員で議論、というのは現実的でないことも多いが、「プロセス」を共有できているかどうか、でビジョンを自分ごと化できるかどうかが大きく変わってくると思う。
また、この「プロセス」を共有することで熱量も伝播する。
12. ビジョンをいかに創造するか
これはすごく難しいポイント。
リーダとして、強固なビジョンを示す必要もあるし、メンバーを巻き込む必要もある。このあたりのバランスがすごく難しい。
13. ビジョンをいかに伝達するか
時代も変われば、メンバーも変わるので、ビジョンは作って終わり、ではなく絶えず議論していく必要がある。
なので、年度のはじめにビジョンを発信して終わり、では意味がない。
14. ビジョンのいかに実践するか
ビジョンだけ立てても実行できない。
ビジョン実現のための具体的な道筋も重要。
「計測可能」というのがポイントだと考える。
(個人の勉強などをイメージするとわかりやすい。何かしらの定量的な評価が可視化されるほうがモチベーション維持しやすい)
毎日毎日地道に一つずつ積み上げていく他ない。
いまできることを全力でやる。
15. あきらめずに進み続ける
新規事業をやっていると往々にして生じるのが、方向転換。
(活動費を獲得するためなど)年度初めに立てていた目標をガラッと変えることも珍しくない。
方向転換はした後の目標とビジョンとの整合性が大事。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?