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香港中国化の中でサバイブする

AGOSアジアMBA夏祭りのパネルディスカッションに参加しました。

香港代表として、

・MBA生活
・現地ビジネス&就職環境
・今後の展望

について話したので、Noteにも要点纏めて書いてみます!!

<自己紹介>

HKUST(香港科技大学)MBAを2020年に卒業し、現在は日系化粧品メーカーの香港新設会社で財務・管理責任者を務めています。

新卒で証券会社IPOアドバイザリー、その後海外で働きたいと思い香港に転職し、日系総合電機メーカーの香港統括会社で経営企画などを経験し、その後退職し私費でMBAに進学しました。

卒業後は、日本で1年間ベンチャー企業の経営企画で働き、昨年4月に今のポジションに転職し香港に戻ってきました。

最初に香港へ来た時から数えると香港在住歴11年です。

<MBA>

MBAを目指した経緯

十数年働いてきた中で、上司のやり方を真似たり、自分で考えながらやってきて、本当に正しかったのかと思い始めたのがきっかけです。

グローバルなMBAプログラムで学んで軸ができれば、もっと自信を持って働ける、キャリアアップできると考えました。

※エッセイはもっと綺麗なストーリーラインで書きました。

MBA生活

一つ一つ言い始めたら切りがないのですが、何が一番良かったかというと、様々な国籍・職種・業界の同級生たちと、熱量高く、濃密な期間を過ごせたことです。

HKUSTの場合は、「ダイバーシティ」を大切にしていて、まさにアジアのグローバルという感じで、中国・インド・韓国・日本・台湾・東南アジア・カナダ・アメリカ・ヨーロッパから集まってクラスが構成されます。

また、「チームワーク」「Give精神」も大切にしるので、そういった学校方針の下、スクリーニングされて集まったクラスの雰囲気や熱量は、他では味わえないものでした。

MBA卒業後、アジア現地で仕事をするに至った経緯

MBA卒業後は、事業会社の経営層のポジションを希望して転職活動していました。

日系大手高級車ブランドから、サマーインターンを経て、フルタイムのオファーを頂いたのですが、大手企業の細分化された役割責任よりも、もう少し小さい規模で裁量をもったポジションの方が成長できると思い、最終的に日本のベンチャー企業の経営企画を選択しました。

1年ほど働き、経営企画だけではなく、マーケティングや財務管理も任されるようになり、CFOの後任としてもお話頂いてた中で、香港のエージェントから、今のポジションを紹介いただきました。そのエージェントの方とは、MBA卒業後に一度コンタクトしていただけなのですが、案件が入ったと同時にお声がけいただき、本当に運と縁だったかと思います。

最終的に、MBAを取得して経営が分かっている・会社(経営)の視点でとらえられる財務経理にも明るいスタートアップ環境にも適応できる等を評価いただき転職にいたりました。

また、家族は香港に残し、私が日本と香港を行き来しながら働いていたので、コロナがあって家族に会えないこともあり、香港に戻る決意をしました。

<現地ビジネス&就職環境>

コロナ禍を経て香港のビジネス状況はどのように変化しているのか

ニュースに出てることを言っても面白くないと思うので、私自身が感じたこと、今働いている小売業界、周りの知人・友人から聞いた話などで、感じた変化をあげます。

・Asia HQ (Asia Headquaters) の移管

小売、特に高級ブランド(Luxury Retail)業界で顕著です。

今まで、香港にAsia HQをおいて、香港から中国・東南アジアをみていた企業が、香港のHQチームを解消し、
・中国地域は上海から
・東南アジア地域はシンガポールから
という動きがあります。

コロナ前、1年で5000万人、中国本土から香港に観光客がきていました。

香港マーケットは大きかったのでHQ機能も維持できましたが、観光客がいなくなって状況が変わりました。

・中国人の採用

これは、金融業界での主な動きです。

コロナの影響ではなく、香港の変化によるものが大きいですが、銀行などの金融機関で、主要ポストが香港人から中国人にかわった、という動きをいくつか聞きました。

また、最近中国人のクラスメイトが香港に戻ってきて、香港大手金融機関のDXチームに転職したのですが、話をきくと、元々駐在員や香港人がやっていたポジションが空いたあと、中国人を雇う動きがあると言ってました。

香港は、「中国へのゲートウェイ」から、流れが逆になり、「中国のオフショア拠点」という位置づけが、より強調されてきたことを感じます。

・人材の流動性の高さ

香港全体の話で、雇用側の目線で言えば「離職率が高い」、求職者の視点で言えば「1-2年で仕事を変える」ということです。

元々、香港はジョブホッピングで3年たったら転職するのが普通ですが、最近は、特に若手が1-2年のサイクルで仕事を変えています。

辞めるスタッフに理由を聞いて非常に興味深かったのですが、今まで毎年3%自動昇給していたのがコロナでなくなったので、「今は転職して給料上げていくしかない」、と言っていたことです。

企業側はそれでも雇っているので、人材がひっ迫していると言えます。

アジアMBAの価値はどのように活かせるのか

・クラスメート・学校のネットワーク

ひとつは、間違いなく、クラスメート・学校のネットワークです。クラスメート・同窓というだけで、相談したらすぐアドバイスをくれます。

例えば、某ITテック企業に勤めている同級生がいますが、「香港で一番良いパートナー企業どこ?」ときいて即レスで教えてくれるといった感じです。

普通だったら、なかなか分からない情報も、香港・アジアであれば、同じスクールの人が、主要企業の主要なポジションにいるので、聞くことができます。

・卒業後も仲間がアジアにいる

アメリカのMBAと決定的に違うのは、仲間が卒業した後もアジアのどこかで働いていることです。言い換えれば、アジアで起きてるコトの中心に、常に学校の仲間がいるということです。

また、ビジネス、チーム、また給料等、同じことを悩んでいる仲間が近くにいて、いつでも相談できるのは、心の支えになります。

・中から学ぶアジア

もちろん欧米のMBAに行ってもアジアビジネスについて学ぶと思いますが、「外から学ぶアジア(欧米の視点でアジアのことを学ぶ)」と、「中から学ぶアジア(アジアの視点でアジアのことを学ぶ)」は全く違うので、アジアのMBAにいくと、よりアジアの本質を学ぶ・知ることができると考えます。

<今後の展望>

香港で働く魅力、今後のビジネス環境の展望

私の場合、今のポジションで、再び香港で仕事することを選んだわけですが、その理由が何なのかと改めて考えると、「純粋に香港が好きだから」です。

香港の何が好きなのか?ということは、次の点が挙げられます。

・日本人にとって住みやすい街

根底に「香港人が日本好き」というのがあるかもしれません。今まで香港で嫌な思いしたことありません

日本の食材が手に入りやすい日本にも気軽に帰れるという点も大きいです。

それでいて「国際都市」というのが私にとって最大の魅力です。

・経済に勢いがある、欧米のビジネス慣習

香港は中国経済で支えられてますから、最終的には中国が、ということになりますが、今でも経済成長しています。

だからこそ街に活気があり勢いがあります。

また、香港は、欧米のビジネス慣習があり、非常にフレキシブルに、欧米スタイルで働けるのも魅力です。

・同じ責任・役割だったら香港の方が稼げる

MBA卒業後、日本で転職活動したときの相場観と比較すると、香港の方がシニアのポジションになればなるほど、日本よりも稼げます

香港は欧米式でジョブ型雇用が浸透していて、それぞれ各ポジションのマーケットレート(ベンチマーク)があり、人材も流動的ですし、企業側もベンチマークの給与出さないと良い人材が取れないことが、給与水準を上げている要因かもしれません。

個人所得税がMax17%なので、手元に残るお金も全然違います

・香港の中国化の影響は?

最後に、そうはいっても香港大丈夫か?、と思われている方がいらっしゃるかもしれません。確かに、ここ2-3年で香港に大きな変化があったことは事実です。しかしながら、香港で生活する・仕事をするうえで全く問題はありません。日常生活で何か問題になることがあったかというとなかったです。なので、香港に興味を持たれた方は、どうぞ安心していらっしゃってください。

<最後に一言>

今回の話をきいて、少しでも「アジアMBAに行きたい」と思った方は、躊躇せず飛び込んでください!

私が10年以上香港で働いて思うのは、アジアで経験を積めば積むほど、希少価値が高まるということです。

アジアでは「経営」×「日本人」で十分バリューを出せます。経済的にもビジネス的にも成長しているところに身を置くと、自分自身も成長することができます。

今後グローバルで経済成長を牽引するのは中国・アジアです。日系企業が成長するには、中国・アジアマーケットで事業拡大していくしかありません。
アジアのビジネスを熟知して実経験のあるリーダー人材を欲しがるのは間違いないです。

最後に、母校HKUSTの宣伝を少しさせてください。

HKUSTは「ダイバーシティ」を掲げているだけあって、日本人卒業生のキャリアもユニークで、コンサル・投資銀行・PE・事業会社・起業・海外と、多岐に亘ります。自分の強みを理解して、自分の信じた道を突き進んでる人が多いからだと思います。本当に魅力的な方が多いので、ぜひ在校生・卒業生に連絡とってみてください。

私も、Twitter等でDM頂けましたら対応しますので、お気軽にご連絡ください!!

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