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ワタシの家族写真物語 ②

この投稿は『ワタシの家族写真物語 ① 』のつづきです。

愛は最初からそこにあった

カメラマンのチヱさんと話した後、
ふと昔の写真が見たくなって
ゲーム大会の写真を探す

すると、
表彰式の写真が見つかった

娘が椅子の上に乗って
賞状を読み上げていて、
夫と息子がそれを嬉しそうに
聞いているところだった

たしか賞状も
いくつか取ってあったはず

クローゼットをごそごそ探すと
賞状がいくつか見つかった

小学校に上がる前の息子が
「2いおめでとう!
まーくん(自分のこと)
すきなひとてをあげて」
と賞状に書いていて
家族で大笑いしたっけ

そして、実は
このゲーム大会は
私が生まれ育った家族がルーツだった

父の発案で
私が小学校の低学年の頃に始まった
家族のゲーム大会

アルバムの中に
そのときの写真があったような…

久しぶりにアルバムを開くと
あった、あった!

弟が私に賞状を手渡している写真、
父が私を胴上げしている写真、
そして
私と弟で母を胴上げしている写真

どれもみんな本当にいい顔してて、
あぁ、私は愛されていたんだなって
しみじみと感じられた

父に胴上げされている写真は
母が撮っていて、
母を胴上げしている写真は
父が撮っているはず

この瞬間を写真に残したいと思って
切り取ってくれた両親の愛だった

以前は同じ写真を見ても
感じなかったこと

両親の価値観を取り入れた私は、
ずっと生きづらさを抱えていた

そうした中で
心理学などを学び、
少しずつ楽になって
自分らしく生きられるようになってきた

でも、
今が幸せなんだから
過去はもういいじゃない
とはなかなか思えなかった

両親からは
マイナスのものしか受け継いでいない
と思い込んでいたけど、
ちゃんとプラスのものも受け継いでいた

すでに愛は最初からそこにあって
見ようとしなかっただけ、
感じようとしなかっただけだった

家族で歌を歌いたい

森の中でピアノを弾いている
YouTube動画を見つけた私は、
自然の中で家族が歌っているところを
撮影してほしいと思った

家族で歌を歌いたい
とチヱさんに相談して
古民家nanajigenの庭先で
歌うことになった

そういえば、
歌好きの夫と娘が歌のコラボをしたとき
「ああ、家族で歌いたいなぁ」
と望んだことがあった

家族が別々に録音した歌声を
夫に編集してもらおうとしたけど、
私自身が思うように歌えなくて諦めた

私が本当にやりたかったことは
一人ずつ録音して
編集するのではなくて、
みんなで一緒に歌うことだった
と気づいた

さて、何を歌おうか

ということで
家族で話し合い

「ジブリの曲がいいんじゃないか」
ということで
『カントリーロード』が候補に挙がる

試しに歌ってみると
明るくてテンポもよくて
なかなかいい感じ

どんな曲がいいか夫と考えていた時に
YouTubeで見つけた
嵐の『Journey to Harmony』も提案

元号が令和になった際、
天皇陛下即位の祝典で歌われたのだけど
歌詞に心が震えて
気が付いたら私は泣いていた

子どもたちも「いいね!」と賛同して
この2曲を練習することになる

ハモりは歌好きな夫と娘が担当

ハモりにつられそうになる
息子と私は
はじめは歌うのに必死だったけど、
練習の甲斐あって
いい感じのハーモニーになってきた

歌も父から
受け継いだものだった

歌好きの両親のもとに
生まれた私は、
幼い頃、父に童謡を
たくさん教わって
その歌声は
カセットテープに残されていた

家族で遠出をするときは、
決まって車の中で
歌のしりとりをしたり
輪唱を楽しんだりした

今回写真撮影する
ボードゲームも、歌も、
私が両親から受け継いで
子どもたちに手渡した
プラスの資産だった


毎朝、
嵐の『Journey to Harmony』を流して
一緒に歌いながら
撮影当日を想像して味わった

家族全員が笑っていた

サポートしてくれる
カメラマンのチヱさんも
ヘアメイクのTOMOMIさんも
着付け師のテリーも

きっと亡くなった人たちも
みんな集結してくれるはず

父方の祖父母
母方の祖父母

昨年11月に亡くなった夫の祖母は
旦那さんを連れて
来てくれるだろう

みんなが笑顔で
私たち家族を見守ってくれる姿が
目に浮かぶ

当日の撮影にはいないけど、
私たちの写真を見て喜ぶ
私の両親と夫の両親の顔も

感謝と喜びが内側からあふれてきて
涙が止まらなかった

深い、深い癒しが起こって
私の心の中に残っていた
わだかまりが氷解して
光になるのを感じた

頑なだった私が
こんなにも癒されてしまったら
きっと宇宙も喜んでいるだろう

そう思わずにはいられなかった


そんなある日、
訪問着の袋帯と
振袖の着付けの復習をしていた
テリーからメッセージがきた

「これまでは
認定試験に合格するために
タイムを気にしながら
やっていたけど、
大切なお客様の喜びのために
着付けができると思ったら
すごく嬉しくて楽しかった」

テリーの喜びの
一助となれたことが
とても嬉しかった

いよいよ撮影当日

撮影当日は
雨が危ぶまれたけど
どうにか曇り空

千葉の君津に向かいながら
嵐の『Journey to Harmony』を
カーステレオで流す

心震わせて
歌を口ずさんでいたら
「海は輝いている」の歌詞で
太陽の光が差してきて
キラキラと光輝く海面が
目の前に現れた

ああ、今日は大丈夫!

その光景を見た時に
根拠のない信頼が
内側から湧き上がった

雨予報で、
庭で歌を歌えるかどうか
不安があった私の心は
一気に安心感で包まれた

チヱさんの古民家nanajigenは
写真で見た以上に
素敵な空間だった

荒れていた空き家を
二年間かけて
コツコツ丁寧にリノベーションして
蘇らせていた


大きな存在感を持って
土間に鎮座していたのは、
「美の覚醒プロジェクト」の
スタイリストYOKOさんのお店で
なかなか買い手が付かなかったという
インパクトのある照明だった

ここにお嫁入りするのを
待っていたのではないかと思うほど
その空間にピッタリだった

まずはチヱさんお手製の
シナモンスパイスを効かせた
温かいルイボスティーをいただきながら
ホッと一息つく

畳に座った時に
何気なく窓から見える景色が
まるで絵画のようだった

ここで歌を歌えると思ったら
心が躍った

一枚板のヒノキのふすまは
自然な木目が美しい柄となっていて
写真映えしそうな予感がした


③へつづく


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