正岡子規『はて知らずの記』#14 七月三十一日 仙台(南山閣)
(正岡子規の『はて知らずの記』を紹介しています)
知人のいる別荘でマッタリ。三十一日、旧城址の麓より
間道を過ぎ、
広瀬川を渡り、
槐園子を、南山閣に訪ふ。
閣は、山上にあり、
川を隔てて、青葉山と相対す。
青葉山は、即ち城址にして、
広瀬川は、天然の溝渠なり。
東は、眺望、豁然と開きて、
仙台の人家、樹間に隠現し、
平洋の碧色、空際に糢糊たり。
主人、自ら風呂を焚きて、
もてなしなどす。
雲烟風雨の奇景を
眼下に見下しながら、
歌話、俳話に、一日の閑を消す。
雨晴れて