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コーヒー知識

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2023年12月の記事一覧

珈琲の木とカフェイン

珈琲の木とカフェイン

珈琲の木の新芽にはカフェインが高濃度で含まれており、葉が成長するにつれて減ってきます。
珈琲の木の葉から作ったお茶は珈琲よりカフェインが少ないです。
珈琲の木で最もカフェインが多いのは種子、つまりコーヒー豆の部分です。
カフェインには他の植物の生育を阻害する作用があり、地面に落ちた種子から溶け出して周りに広がることで近くの植物を抑えて自分だけが上手く成長できるようにしてます。

また、新芽にカフェ

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珈琲の木の葉っぱ

珈琲の木の葉っぱ

珈琲の木の葉は先端が少し尖った楕円形です。表側は濃い緑でクチクラ層が発達しており、丈夫で光沢があります。クチクラ層とは葉の表面を覆う層です。水の蒸発を防いだり、葉を保護する役割があります。
クチクラ層の発達は照葉樹の特徴で、強すぎる日差しを反射して遮る役割を持ちます。
葉の裏側には隆起した葉脈があります。葉脈の枝分かれする部分は少し膨らんでおり、ダニ室と呼ばれるダニや微生物がすむ空間があります。無

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コーヒー豆は豆じゃない

コーヒー豆は豆じゃない

コーヒー豆と呼ばれますがコーヒー豆は豆ではありません。
大豆やあずきなどのマメ科植物の種子は、胚乳が消失している無胚乳種子です。
一方でコーヒー豆は、種子の大部分が胚乳で構成されている有胚乳種子です。有胚乳種子を食用に利用する例は、米、小麦、とうもろこしなどです。
コーヒー豆はいわゆる豆と呼ばれるものの仲間ではありません。

原生林で育つ珈琲

原生林で育つ珈琲

野生のアラビカ種はエチオピアの原生林にいます。
果実を採取する時に周りの草木を刈るなどの人の手が完全に加わっていない完全なる野生をフォレストコーヒーと呼び、少し加わってるものをセミフォレストコーヒーと呼びます。なのでエチオピアの珈琲の品種はよく「エチオピア野生種」「エチオピア半野生種」と記述されます。
また、エチオピアのハラー地方のジェルジェルツー村には高さ8mの樹齢100年以上の古木があります。

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アラビカ種の起源

アラビカ種の起源

アラビカ種が持つ44本の染色体のうち、22本がカネフォラ種、残りの22本がユーゲニオイデス種のものに近いことが分かってます。ユーゲニオイデス種はタンザニアに自生する種で、自家受粉は不能です。現地では珈琲として飲むこともあるそうです。また、カフェインが少ないことから低カフェイン品種の開発のために注目されてます。

また、母親のみから受け継がれる葉緑体とミトコンドリアのDNAを遺伝子解析すると、アラビ

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アラビカ種の特徴

アラビカ種の特徴

コーヒーノキ属を代表する存在であるアラビカ種ですが、125種の中で1番の変わり種です。

染色体数が44本!

アラビカ種以外のコーヒーノキ属の染色体数は22本ですが、アラビカ種だけ倍の44本です。

自家受粉が可能!

アラビカ種は自家受粉が可能です。コーヒーノキ属にはおしべやめしべが花の付け根の花托(かたく)から飛び出すほど長いものと、花托に収まる短いものがあります。
長いものは自分の花粉とめ

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リベリカ種とは?

リベリカ種とは?

珈琲の三原種と呼ばれるのは、アラビカ種、カネフォラ種、そしてリベリカ種です。

リベリカ種は西アフリカのリベリアで最初に見つかり、カネフォラ種より少し前からインドネシアで栽培されてました。
苦みが強く、品質はアラビカ種に劣ります。耐病性はアラビカ種とカネフォラ種の中間くらいで一部のさび病には抵抗性を持ちます。

リベリカ種の生産量はごくわずかでほとんど出回っていません。しかし、西アフリカやフィリピ

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アラビカ種とは?

アラビカ種とは?

アラビカ種は主にドリップコーヒーに使用される品種です。インスタントコーヒーに使用されるのはカネフォラ種です。

アラビカ種は15〜17世紀に飲用が広まった最初の珈琲であり、その後の数百年間はアラビカ種が唯一の珈琲でした。現在も7割アラビカ種です。
アラビカ種の原産地はアビシニア高原です。エチオピア西南部には今でも野生のアラビカ種が自生してます。

アラビカ種は標高1000〜2000mの気温が低めの

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珈琲の木の誕生

珈琲の木の誕生

珈琲の木の祖先は2700万年前くらいにクチナシの祖先から分岐し、その後1400万年前にシロミミズの祖先と分岐して下ギニア地方で生まれたと言われてます。
ここからアフリカ熱帯地域全体に広がった後、アフリカ大陸を縦断する大地溝帯や海峡、サバンナなどで森林が分断された地域に分かれ、それぞれの環境に適応して進化し始めました。これが400万年前くらいだと推定されてます。これらの地域には現在もそれぞれ固有のコ

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アカネ科とは?

アカネ科とは?

珈琲の木はアカネ科のコーヒーノキ属に属する常緑樹です。

今回はそのアカネ科について書きます。
アカネ科には染料の原料となるアカネやマラリアの特効薬キニーネが発見されたキナノキなどがあります。

植物の科の中ではキク科、ラン科、マメ科に次いで種類の多い科です。植物全体の約4%を占めます。草やつる状の草本植物と樹木になる木本植物の両方ありますが、熱帯性の低木が多いです。
一部の例外を除いてアカネ科植

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ジャコウネコの糞珈琲

ジャコウネコの糞珈琲

コピ・ルアクという珈琲をご存知でしょうか??

ジャコウネコの糞から未消化のパーチメント珈琲を取り出して作った珈琲です。パーチメントという硬い殻に覆われた状態なので直接糞に触れているわけではなく、衛生的に問題はありません。

100g1万円以上もする高級な珈琲です。「コピ」は珈琲、「ルアク」はジャコウネコを意味する現地語です。
19世紀後半のフランスの文献で紹介されるくらいその歴史は古いです。

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珈琲の精製方法

珈琲の精製方法

果実から種を取り出し生豆にするまでの工程を精製と呼びます。

今回はその方法について書きます。
3つの精製方法を紹介します。

①ナチュラル
収穫した果実をまるごと天日干しし乾燥させる方法です。乾燥が進むとパルプ(果皮と果肉)、ミューシレージ、パーチメントがくっつき、厚い殻になります。これをハスクと呼びます。ハスクを割るだけで生豆が出てきます。
歴史的に最も古い方法です。水を使わない方法なので水の

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珈琲ってどうやって作るの?

珈琲ってどうやって作るの?

僕らが普段口にする珈琲は一体どのような工程を経てできているのでしょうか??

①果実の収穫
②果実から生豆を取り出す
③生豆を焙煎する
④焙煎豆を砕いてお湯で抽出する

大きくはこのような工程を経て作られています。

①果実の収穫
多くの珈琲豆は海外の珈琲農園で収穫されます。赤道周りの北緯23°から南緯23°くらいの地域のコーヒーベルトで栽培されています。
珈琲の木になる果実を摘みます。大規模な農

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珈琲の果実の構造

珈琲の果実の構造

珈琲豆は実は珈琲の木の実の種です。珈琲を知るにあたって珈琲の果実の構造を知ることは欠かせません。今回は珈琲豆の構造について書きます。

外側から順に

①果皮
②果肉
③ミューシレージ
④パーチメント
⑤シルバースキン
⑥生豆

という風に構成されてます。

①果皮
果皮は赤くて厚みのある皮です。実の見た目がチェリーのようなのでコーヒーチェリーと呼ばれます。

②果肉は食べると甘くて美味しいのです

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