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◇5 躁鬱、いまここ


ぐるぐる針を回して、双極性障害とつきあってきた時間のことを書いてきました。

さて、時計は現在に戻ります。

「いまここ」に居る、私のはなしです。



新卒での就職にあっけなく失敗し、退職をしたひと月後。

私は区役所にいました。



障害者手帳の申請をするためです。


必要書類を埋めているとき、気がつくと涙がぽたぽた紙を濡らしていました。

障害者雇用枠で募集されているお仕事は、難易度の低いルーティンワークが多いです。


もう、自分が勉強してきたことや考えてきたことは、仕事に生かせないのだ

そんな「諦め」が、液体となって頬をつたったのだと思います。



就職のためにスタジオでヘアメイクをして撮ってもらった写真は、障害者手帳にモノクロで印刷される「本人の写真」に変わりました。



あの写真、めっちゃ盛れたのになあ



そのあと、就労移行支援を利用しました。

自分に合った支援者の方に出会えて、順調に回復しました。

数社で実習経験を積み、「もう大丈夫だな」と思ったので、就職活動をして、ある会社に就職が決まりました。


幸運でした。


障害者雇用では叶わないと思っていた、自分の専攻を生かせるお仕事でした。


しかし、初出勤が日ごと近づいてくるなかで、だんだんと不安が心を襲い始めました。


また、以前と同じことになるのではないか?

人間関係で失敗するんじゃないか?

そもそも私は、その仕事に値するほどの能力があるのか?


なんとか、初日は行きました。

帰り道、土日のうちに自殺することを決意しました。

また、食べて吐くだけの廃人になってしまいました。


数週間後、私はスマートフォンを没収され、滅菌空間に足を踏み入れました。

人生で通算、5回目の入院でした。



それがこの前の冬のことです。



でも、良いことがひとつだけ、あった。

主治医が、めちゃくちゃ自分に合っているひとに変わったのです。



この人についていったら、もしかして、何か変わるんじゃないか?

がらんどうになったお正月の病院でぼーっとしながら、ささやかな希望を持ち始めました。



いまは、作業所に通っています。



思ったこと全部口に出しちゃう人とか、社会通念上不適切な言葉をつぶやきながら私のうしろを通る人とか、女の子にだけしか挨拶しない人とか、職員にめちゃくちゃ歯向かう人とか、もう変な人ばっかりです。


まともな人もいますが、おしゃべりできるような雰囲気ではないです。

こっちが頭おかしくなってきます。


でも、私はいま、その人たちと社会的に同列なのです。


そのことをそろそろ、受け入れないといけませんね。


さて、双極性障害といっしょに歩んできた人生のことをつらつら書いてきました。

また、ものごとが前に進んだら、続きを書こうと思います。


そのときは今より元気だといいなあ。


まあ、別に元気じゃなくたっていいや!

若いうちに死ぬことを望んでいた私なんだから、ただ「生きている」というだけで、はなまるです。


夏っぽいこと、しない夏

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