イジメ現象学とは 序文

 世の中からイジメがなぜ一向に無くならないかといえば、それはイジメが雨や風のような一種の自然的な現象であるからだ、と考えるのが「イジメ現象学」である。


 現象ゆえにそれはどこにでも発生し得る問題で、そして気が付くといつの間にか消えてなくなってしまうかのような性質を持っている。

世の中では実に多くの人がイジメを「悪」の問題だと仮定しているように思えるが、それは言うなれば「雷」を「神の怒りだ」と認識しているが如く、実に“古風”な捉え方であると形容しておく。


 イジメが悪であるという認識が誤りだとは思わない。しかし、悪だけとは言えないからこそ多くの場面で対処しきれない実態が噴出し続けている現実がある。

イジメ現象学では、語り尽くされている悪的な側面よりも、むしろイジメの“善的”な側面に光を当てるような観点から話を展開していく心算である。


 悪と正義、暴力と秩序が入り乱れるその中に、イジメという現象の本当のカタチが捉えられるようになることを目指して。

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