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「ビッグデータ」で、企業の“個性”は消え去る!?

現在、飲食店チェーンが、店舗運営にビッグデータ分析を導入し始めている。客の嗜好の多様化や少子高齢化など、経営環境の変化に対応するためである。

客の求めるものを的確に把握することができれば、メニューの改善、新商品開発、店舗の改装・移転、従業員教育にいたるまで、もっとも効率の良い方法を知ることができる。

すなわち、ロスの少ない店舗運営、失敗の少ない経営を実現できるということである。チェーン店を運営する上で、これほど価値のある経営資源は他にあるまい。

だが、懸念材料はある。ビッグデータの活用法。ビッグデータの読み方と言っても良い。

ビッグデータが導き出す結論は、消費者の大多数の嗜好であり、意見である。もちろん、少数意見も導き出してはいるが、読み取る側が大多数のデータに注目してしまう。

最終的には「一番売れるもの」を知りたいので、当然、数の多い客層データを採用する。すると、客に受け入れられるものが開発でき、収益を安定させることができる。だが、はたしてそれは正しいことなのか。

もし、同業種がビッグデータを活用したら……。

大多数の嗜好は同じ結論となり、結果的に、同じ店、同じメニュー、同じ新商品が生まれる。つまり、同業種間で差がなくなるということである。

こう言うと、「それは経営陣次第だろ」と反論が出るだろうが、目の前の“失敗しない経営”を無視して、挑戦・冒険ができるだろうか。

また、ビッグデータによる成功は、人の能力を衰えさせる。すべてをデータに頼ってしまうので、経験や勘といった経営能力が育たない。データを読み解く、“技術者”でしかなくなる。

さらに、データによって成功した人間は、それを自分の才能だと勘違いする。そして、単なる“ビッグマウス”となってしまう。

データによるマーケティングは、一時的には成功をもたらすが、最終的に必要となるのは、経営感覚である。長年積み重ねてきた経験と勘こそが、ビジネスを大きく成長させる要素となるのである。

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