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バンド 【完結】

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#超短編小説

バンドをしている2 (ヒロナ)

【ヒロナ】  照明が暗い間にステージに上がるのが好き。お客さんが暗がりの中で、私たちに気…

井川文文
3年前
6

善意という名の攻撃 (マキコ)

【マキコ】  「わたしは、あなたの夢を奪おうなんて思ってないし、そんなことは一言も言って…

井川文文
3年前
8

バンドをしている (ミウ)

【ミウ】  「マキコちゃん、大丈夫?」  誰もが違和感を覚えていたが、ヒロナが真っ先に声…

井川文文
3年前
5

母の教育 (マキコ)

【マキコ】  「あなたは女なんだから、自分を大切にしなさい。そのためにも、強くなりなさい…

井川文文
3年前
8

じゃ、ライブで (ミウ)

【ミウ】  「うち、メンバー4人しかいないのに、毎年文化祭のクラスリーダーがいるって珍し…

井川文文
3年前
9

机の下のキック (ヒロナ)

【ヒロナ】  「明月祭ってこんなに大変なんですね」  「確かに初めてだと驚くよね! 外か…

井川文文
3年前
7

無理してね! (ヒロナ)

【ヒロナ】  文化祭には間に合わないと思っていた。  ミウが主導する新曲制作は難航し、本番1週間前まで進捗がなかったのだ。  もし間に合わなくても、しょうがない。その時はセットリストを差し替えればいいだけだ。だから、待つことを決めていた。  ミウがいない間に、アキちゃんとマキコちゃんには伝えてある。  「本番が近づいたら焦る気持ちが出てくるかもしれないけど、絶対に苦しむミウを責めたりしちゃダメね。あと、急かすことを言うのも禁止。私たちは、自分に出来ることを必死でやって、と

鐘が鳴る瞬間 (ミウ)

【ミウ】  新曲制作は難航した。  歌詞を作ったはいいが、メロディがまるで出来上がらない…

井川文文
3年前
6

外側にいる人が持つナイフ  (マキコ)

【マキコ】  思い返せば、笑っているのはいつも外側にいる人だった。自分は何もしないで、た…

井川文文
3年前
3

背中を押す  (ヒロナ)

【ヒロナ】  新曲制作は想像以上に骨が折れたが、とても楽しい。  難易度が高い問題を解い…

井川文文
3年前
8

私の中に潜む母  (マキコ)

【マキコ】  自分の中に潜む母の影を目撃してしまった。  母のようにはなりたくない。母の…

井川文文
3年前
8

産声  (ヒロナ)

【ヒロナ】  文化祭でワンマンライブの企画が立ち上がった。  これまでは有志企画としてバ…

井川文文
3年前
11

大人には見えない根っこ  (ミウ)

【ミウ】  新学期。たった一ヶ月と少しの時間なのに。肌の色が黒くなる子。身長が伸びた子。…

井川文文
3年前
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目的は一つのはずだった。  (ヒロナ)

【ヒロナ】  頭の中がバンドでいっぱいになりすぎた。  スカウトの一件で、一瞬だけ私たちの心は分裂した気がする。それぞれの想いの方向性が定まっておらず、みんな、迷子のようになっていた。今までは「ひとまず」「とりあえず」根性で続けたり、挑戦をしてきたが、高校生の私たちにとって「芸能界」の三文字はさすがに荷が重すぎたのかもしれない。  おかげで不安と同時に欲望が生まれてしまった。  これまでは、不安に感じることといえば“ライブが盛り上がるかどうか”だけだった。間違えずに演奏で