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ツールド福島211kmで勝つためのフィジカルパフォーマンス|現状と目標設定と目標の細分化

持久系スポーツの中でも中長距離の強度耐性が求められるサイクルロードレース。競技特性上、フィジカルが9割と言っていいと思います。

どんなにいい体、いい機材、強いメンタルを持っていても、フィジカルパフォーマンスが劣っていては同じスタートラインに立つことはできません。何よりも優先してフィジカルを鍛え上げなければいけません

とはいえ、時間はかかります。その日1日だけいいトレーニングができたからといって、明日急に強くなるわけではありません。また、どこまでパフォーマンスを高めればレースで勝てるようになるのか、レースのカテゴリーや出場する選手のレベルを考え、勝つためのパフォーマンスレベルを知らないといけません。

では、どんなトレーニングをすればいいのでしょうか?プロの選手、社会人、学生、いろんな選手がいろんな情報を発信しています。情報が多すぎて混乱するという方も少なくありません。

でも、「強くなる」って、本来そんなに難しいことではないような気がしてます。ここでは、ロードレース、特にツールド福島211kmのように長丁場のレースで勝つための方法を、できるだけシンプルに解説します。参考にしてみてください。


1.現状分析


レースで勝つためのフィジカルパフォーマンスを目指すには、目標を据え、現状を確認し、その差を埋める作業が必要です。

今の自分の現状をかくにんすると、実業団のカテゴリーで例えるなら、E1上位に絡む選手と走っても、全くついていけません。地元にE1クラスのレースに出ている選手がいるのでよくわかります。練習で時たま一緒に走っては、一緒に走ることなく切れていってしまうので。たぶん、E3でも最後の着順まで争うことは難しいでしょう。

数字で表すならば、現状は、

FTP 4倍

これが今の実力です。

2024年1月18日のATトレーニング実施結果
40分で273w (÷67kg=4.07)
あと20分は歯を食いしばって踏めると仮定して

2.目標設定

FTP 5倍以上

当面はこれが目標のひとつになります。VO2MAX(最大酸素摂取量)とか、PWR(パワーウエイトレシオ)とか、いろいろ指標はありますが、1番重要な要素の一つであるFTPの数値目標を1つ設定したいと思います。

なぜに5倍なのか、参考にした記事があります。

ツールド福島211kmを勝とうというわけですから、E1トップクラスの選手をぶっちぎって勝っちゃうくらいのフィジカルが目標となります。それくらいは当然ですね。

それって、結局プロ並みってことです。E1上位の選手はプロのレースにも出てるし、10位以内でフィニッシュする選手もいるので。

という選手であれば、当然ながらFTPだけみても5倍以上は必須条件でしょう。

今の自分からすれば、1ランク、2ランク上のレベルになります。そこまでどうやってフィジカルを高めていくかが1番の課題です。

3.目標の細分化

FTPの話はさておき、もっとシンプルなアプローチで考えたいので、211kmという長丁場のレースであるという視点からも。

体もパフォーマンスも一朝一夕で目標を達成できるわけではありません。

最初に書きましたが、211kmという長丁場のレースで勝つには、まず211kmと言う距離と時間を走れなければいけません。レーススピードを平均時速約40kmとすると約5時間強。しかもレース環境という高い強度で、です。

今の自分には、まだまだ耐えられない距離・時間です。4時間以上の練習になると、途端に脚はなくなります。途中で強度を上げればなおさらで、レース強度では3時間もつかどうか。

そこで、目標を細分化しました。

①211km走り切るための体力づくり

まずは、5~6時間しっかり走りきる体力をつけようと思います。5〜6時間ひたすらペダルを回し続け、登りや下りなどのアップダウンを含めて自力で踏み続けられるようにしようというものです。

当然ながら走り込みをします。高強度の練習をする上で土台となる部分です。サイクリングではなく、延々ペダルを踏み続けます。脚がいっぱいになってもとにかく脚を回して踏み続けます。

社会人レーサーであれば、限られた時間で効率的に練習するという「短時間・高強度」で取り組むのが一つの方法ですが、ここではあえて「時間」を意識して取り組みます。3時間しか走れない選手がいきなり5時間のレースで戦えるようにはなりませんので。

ただ、最初から5〜6時間の練習をするのではありません。徐々に増やしていくことが必要です。(もう若くはないので

体力はすぐにつくわけではありません。レベルに併せて、1か月単位で少しずつ練習量を増やしていくといいと思います。

私の場合は、ツールド福島211kmで勝つという目標を据えた2023年9月以降、徐々に練習量を、増やしました。

9~10月は3~4時間をしっかり走れるように。10~12月は4~5時間を、年明けからは5~6時間。週末に練習時間が確保できる日は、できる限り時間を意識するようにして走りました。

②211kmの中の強度を上げていく

実際には①と並行して取り組みます。ただ淡々と何時間も走るだけでは、強度耐性は弱くなります。

ですので、練習の中でポイントを絞った練習も取り入れます。登り返しなどを利用した短時間高強度のスプリント、1〜2分から4〜5分程度の中距離を高強度で踏む練習。10分以上で最大出力を目指すミドルレンジの高強度などなど。

1人で練習することがほとんどの私は、よく地形を利用します。一定区間の登りでタイムを測ったり、STRAVAに代表されるようなSNS上でのタイムを目標にしています。

この、高強度で走る時間を徐々に増やしていくことで、強度耐性をつけていこうというものです。

と、①・②については「オン・ロード」の話しです。

③パワーマックスで数値管理

なんでいきなりこの話が出てくるか。

FTPの話まで戻します。

パワーメーターもつけていない今の自分の自転車では、感覚的なトレーニングに頼らざるを得ません。

FTPを現状の4倍から5倍にあげるためのアプローチは様々だと思いますが、やはり客観的な指標が必要です。現在のトレーニングが正しい方向に進んでいるのか、効果が現れているのか、常に分析し軌道修正する必要があります。それを確認するためにパワーマックスを使っています。(チームメイトのご好意で、2023年春から使っています)

基本「外乗り派」の私ですし、あんな記事を書きはしましたが、特に冬場は雪や氷で乗れないこともしばしば。2023-2024の冬はかなりの暖冬ですが、それでも朝の気温は氷点下を下回るので、平日早朝の限られた時間で強度を上げたい時に使っています。

というか、強度耐性を高めていくためのトレーニングをパワーマックスで実施するようにしました。外乗りの時間は減りましたが、確実にパフォーマンスは上がっていることが数値上でもわかっています。(パワーマックスを使ったトレーニングの詳細については別の記事で書きたいと思います)

とはいえ、レースをするのは屋外ですし、人と競い合うわけなので、フィジカルパフォーマンスを上げるための1つの選択肢として使っているという話しです。

④地元の練習会で1番になる

レースで勝つつもりなら、練習でも勝たないと。です。

距離も時間も乗れるようになり、自分なりに強度を上げて走れるようになったとしても、それは所詮1人きりの世界でしかありません。

1人での練習が主体となると、そこからさらに強度を上げるのは中々難しいと思います。やはり、競い合う相手がいて初めて自分を極限まで追い込むことができるものです。

そこで、1番効果的に練習強度を上げるのは地元の練習会に参加することです。タイムやパワーなどの数字だけではなく、強い選手と一緒に走った時、自分との差はどれくらいなのかを測ります。

自分が今どの立ち位置にいるかを確認し、自分よりも強い選手がいるなら、1人ずつ追いつくことです。そのために何ができるのかをさらに考えるのです。

仮にE1上位で走る選手に練習でついていけるとすれば、同じくらいの実力があると思って良いと思います。

ただこれ、あくまでもフィジカルパフォーマンスでの話。必ずしもレースで同じ結果が得られるわけではありません。フィジカルパフォーマンスとレースの走り方は別の話だからです。

⑤トレーニングとしてレースを走る

フィジカルパフォーマンスを高めるために「人と走る」ことの最たるものが、レースに出ることです。

「レースで勝つ」ことが目標であれば、レースに出ることもフィジカルパフォーマンスを上げるための1つの方法です。走り方にもよりますが、レースは最高の練習環境だからです。

自分のレベルに合ったカテゴリーのレースに出ることで、レース強度の耐性がつきます。前で展開できればなおさらで、勝負がかかった極限状態で自分を追い込むことができます。

ただ注意したいのは、トレーニングとして出ているレースにも関わらず、ひたすら集団の中で楽をすることです。集団の中にいても、後ろについていてもキツいくらい周りの選手とレベル差があれば別ですが、集団の中にいて楽に感じる場合には、トレーニングとしては強度が下がっているということも覚えておかないといけません。

出るレースをどのように捉えるかにもよりますが、トレーニングと割り切って参加するレースで十分に上位を狙える実力があると感じるなら、積極的に前で展開しなければトレーニングとしては不十分です。

もちろん、レースに出る以上勝つために走るわけですが、自分の実力に見合ったレベルのレースに出ていれば、苦しまずして勝つことはほとんどの場合ありません。フィジカルパフォーマンスを上げ次に繋げたいのなら、レースでも積極的に展開すべきです。

あとはやるだけ

目標を決めて、ある程度やるべきことがわかったら、あとはやるだけです。

この段階ではそこまで細かいことは気にしません。トレーニングメニューや細かいプログラムは決めず、とにかく早く動き出すことが重要です。

というのも、どのみち軌道修正は必要だからです。家族の体調不良で思うようにトレーニングができなかったり、仕事が忙しくて夜遅く帰ってくることが続いたり。いつでもどこでも不安要素は潜んでいるのです。

なので、何か突発的な問題が起きた時にいちいち細かい軌道修正をしなくてもいいように、基本路線を決めたらそこから大きく外れないようにトレーニング計画に沿って進めればいいと思います。

目標を決め、目標を細分化し、今の自分は時間と距離は乗れるようになってきました。とはいえ、まだまだ211kmまでには届きませんが、それでも段階を踏めば達成できると確信しています。

地元の練習会でも千切れるだけの社会人レーサーでも、やるべきことをきっちりすれば、結果は目に見える形となって現れることを証明したいと思います。

2023年の9月から始まったこの挑戦も、2024年1月で4カ月。9月のレースまで残り7ヶ月です。

時間は有限ですが、レースがスタートするその瞬間までできる限りすべてのことをしようと思います。




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